酔いどれ烏の夢物語 たった一人の 2023-06-01 18:19:40 | ポエム たった一人の それはまるで目に見えない糸で 手繰り寄せられたような瞬間で 僕と君がこの広い世界で出逢った 例えば空に雲があるように 例えば海に波が立つように ごく自然な出逢いだった 躊躇する僕の背を押すかのように 彼は僕の顔を見て微笑んだ 君がこの広い世界でたった一人の 乾いた大地に降る雨のような 暑い日差しを遮る木陰のような 孤独を取り除いてくれる人 まるで一人で踊るワルツのように クルクルと目まぐるしく 繰り返す出逢いと悲しい別れ そんな僕に春を告げる花のように そよそよと頬を撫でるそよ風のように 僕に未来を与えてくれた人
酔いどれ烏の夢物語 紫陽花の咲く頃に 2023-06-01 17:22:02 | ポエム 紫陽花の咲く頃に 紫陽花の咲く頃には戻って来るよ 彼はそう言って何時もの様に旅に出た 彼はカメラマン 風景を撮っている 彼の写真はまるで絵葉書のようだ バイト代を貯めては旅に出る 僕らの暮らす小さなマンションの 中庭に紫陽花の木が沢山並んでいる 僕は大学があるので一緒には行けない 卒業したら彼と一緒に世界を回りたい きっと楽しい旅になるだろう もうすぐ紫陽花の花が咲く そうすれば彼は帰ってくるはず 彼の笑顔と 土産話が楽しみだ 鬱陶しい梅雨入りも楽しく過ごせる 早く彼にお帰りと言いたい