酔いどれ烏の夢物語

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酔いどれ烏の夢物語 掌

2023-06-09 10:37:41 | ポエム

     

       

僕の掌は他人より少しだけ大きい

けれどこの手に掴めるものは

決して多くは無いと知っている

それでも大切なものを一つだけ

たった一つだけ守りたいと思った

確かにそこにあった大切なものは

いつの間にか僕の掌の中から

霧のように消えてしまっていた

 

君の掌は大きくてとても暖かい

その手をしっかり掴んでいれば

きっと幸せになれると信じていた

それなのにいつの間にか僕は

君の手を放してしまっていた

二人だけの大切な時間は

あたかも幻のように消えた

僕が君を傷つけたあの日から

 

君の掌は優しくてとても暖かい

僕の掌はとても冷たくて

二人で手を繋いでいると丁度いい

そんな風に笑っていた君の

笑顔がすごく嬉しくて

毎日会えるのが楽しみで

もう一度君に逢いたい

君が僕を許してくれるなら

 

僕は自分の掌をじっと見つめた

何がいけなかったのだろう

どうして僕は嫌われたのだろう

どんなに考えても分からなくて

今はただ逢いたくて

あの日別れた場所にいた

どんよりとした空から

冷たい雨が降り出した

 

僕の掌は他人より少しだけ小さい

だから多くのものは掴めない

けれど傘を持つことは出来る

雨が降る中立ち尽くす君を

冷たい雨から守る位なら出来る

顔を上げた君の涙を拭う事も

僕より大きくて泣き虫の君を

抱きしめてごめんねと言った

 

 



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