賞味期限ぎれの為
相思相愛の相手の許に辿り着けなかったからしれんこん。
辛いものが苦手なくせに、
賞味期限切れを気にするくせに、
口にすることを決意したひとりの漢ががいた。(恐らくネタの為)
それでもどうしても拭い切れない一抹の不安を誤摩化すべく、
道連れ相手を呼び出す。
23時55分:二人でからしれんこん(以下K.R.)をつつきだす
24時00分:賞味期限切れ2日となる
24時30分頃:K.R.に飽き始める
25時00分頃:胃が痛くなってくる
注)原因は期限切れではなく空腹時の急激な刺激物摂取にあると思われる
25時30分頃:K.R.に箸が向かわなくなる
26時00分頃:K.R.の表面が乾燥し始める
26時15分頃:意図的にK.R.から視線を逸らし始める
26時30分頃:相手が見ていない隙に自分から遠ざけ出す
26時45分頃:K.R.の断面が収縮し始める
27時00分頃:あんたはもっと食った方がよい。とお互いに勧め合いだす
27時45分頃:K.R.の構造・製法・歴史・文化的背景等について議論。概ね否定的な意見。
28時00分頃:もはや無理して食う必要性は皆無。という空気が暗黙の元に完成。
28時15分頃:やれることはやった、という正当性を結論とするため最後に一切れかじる。
28時15分頃:直後、やめときゃよかった、と思う。
28時30分頃:全量の五分の二のK.R.を残し、解散
集合から解散まで概ね4時間半、
只管阿呆な会話が続いていたが
どちらかがK.R.を口にしたその刹那、静寂が訪れた。
一瞬の静寂。
薄暗い空間はSTINGの柔らかい声とストリングスの音色で満たされる。
赤ワインの、甘く、タンニンの効いた、鼻孔をくすぐるような香りに気付く。
傍らに置かれた観葉植物の新芽の若い碧さに、ふと昔日を想い起こす。
ある意味、癒し系かも。 >からしれんこん