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[政治短評]「震災前」なき「震災後」議論

2012-02-24 22:54:44 | マネー&ポリティックス

震災後の外交、日本はどのような見通しを持つべき?
この記事についての意見:



歴史上、自然現象が直接的あるいは間接的な原因で、それまでの政治もしくは外交の流れが変わらざるを得なかったことはいくつもあると思います。元寇での「神風」やナポレオンのロシア遠征での「冬将軍」もそうですし、昨年の中東の春もひとつには気象現象の変化による食物の価格高騰が人々の生活を苦しめ、それが結果的には多くの富を支配する独裁政権への反発に繋がったと考えられています。

しかし東日本大震災はその範疇には当てはまらないと思います。日本は政治にしろ経済にしろ、そして外交にしろ、震災前から明確な主張を持っていなかった一方で、そのいずれも問題を抱えていたからです。「自称」知識人の中には、震災のことを「第二の敗戦」だと言う人がいますが、日本人が震災前は何を押し進めていたというのでしょうか。そして震災によって日本は何に対して負けを認めななければならないのでしょうか。別に日本は一貫して自然現象とも、それ以上に明確な敵と戦っていたわけでもありませんし、第二次大戦と違い、何かに負けたわけでもありません。そういうことを言う人達は、震災を敗戦と結びつけていかにもカッコイイ主張をしている自分に酔いしれているだけなのではないでしょうか。

だいたい震災がなかったとしても、日本は20年近くの沈滞から変わらざるを得ないことは明らかでした。外交に関して言えば、例えば震災の半年前にはあれだけ尖閣問題で騒いでいたではないですか。あれほど身近なできごとでかつわかりやすい、戦後日本の根底に流れる外交問題を浮き彫りにした出来事はなかったと思います。だから震災後の日本外交をどうすべきか、なんていう議論自体が意味を成さないと思います。ただひとつ言えるのは、震災によって変わらざるを得なくなったのではなく、変化すべきか否かを問わず、震災によって外交の指針を示さなければならない期限が早まった程度ではないでしょうか。

震災及び震災後の社会をわざわざ特別視する必要なんてありません。震災を受けて具体的に何をするべきかということ以前に、粛々と目の前の外交問題に対してどのように対処すべきか、そして長期的な視点では、どのような主義のもとで外交を進めていくのかを明確にすることが重要なのではないかと思います。

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