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[2011ワールドシリーズ #2]守備も攻撃の一部分

2011-10-22 03:49:17 | MLB
Late mettle helps Rangers even Series (MLB.com)
Glove love: Elvis puts on defensive clinic (MLB.com)
Texas Rangers' ninth inning changes the Series (ESPN)
Ogando gets bitter taste of deja vu vs. Craig (MLB.com)
Motte hopes to rebound from loss (Stltoday.com)


テキサス・レンジャーズはアメリカンリーグのチャンピオンシップ第6戦の3回裏、40分近くを独占しタイガースから9点を奪うことが出来ました。しかし、今年のワールドシリーズにおいては、ここまで17イニングが終わりましたが、両チームの合計得点数はわずかに8点です。これはワールドシリーズの歴史上、61年ぶりの最初の2戦での得点の低さなのだそうです。

ただし、たった8点といえども、その中身はかなりの濃度の高さを示していると言えるでしょう。今年のワールドシリーズ第2戦は7回までの投手戦と8回、9回の攻防が物語っていると思います。しかしそれ以上にこの試合で注目すべきだったのは、打撃が自慢だったレンジャーズで得点源とならなければならない1・2番の動きです。

セカンドで1番打者のイアン・キンズラーは初戦では2安打を打ちましたが、1回表にヒットで1塁に出た後、サイン違いなのか盗塁を試み失敗をしました。プレイオフにおいてひとつのチャンスを倍増させてきたレンジャーズはいきなりその流れを掴みかけることもできませんでした。一方2番でショートのエルビス・アンドラスは第1戦ではノーヒット(犠打一つ)で、ポストシーズンを通じてもバッティングでは不調続きです。1番と2番が塁上を賑わせられないため、カーディナルスのバッテリー陣は3番で股関節に痛みを感じているジョシュ・ハミルトンを抑えることに専念できるようになりました。

しかしこの二人は第2戦においてカーディナルスへ向かいかけていた流れを止めることに成功しました。まずは4回裏、センターへ抜けそうなあたりに難なく追いついたアンドラスが、軽くバックハンドトスでキンズラーへボールを送り、そこから併殺を完成させました。

また、5回裏2アウトランナー1・2塁、それもレンジャーズ先発コルビー・ルイスが相手先発のハイミー・ガルシアを四球で歩かせてのピンチの場面。ラファエル・ファーカルが放ったセンターへ抜けそうな球足の早いゴロに対し、アンドラスが飛びつき、倒れた状態から2塁へトスします。そのとき塁上のカバーに入っていなかったキンズラーは走って塁へ戻り、地面に落ちかけたボールを取り、3アウト目を取りました。トスされたボールに間に合ったキンズラーの巧さもさることながら、アンドラスの捕球は、あのウィリー・メイズの「ザ・キャッチ」と並ぶのではないかとMLB.comでは紹介されるほどです。こうしたプレイの連続が得点の多い試合では見えない濃度の高さを表しているように感じます。

こうしたプレイのおかげで、このふたりが9回表に逆転劇の立役者になるのは不思議ではないといえるでしょう。そしてこの9回表だけでもさまざまなことを語れてしまうイニングにもなりました。


(ESPNより)

なけなしの1点を守りたいカーディナルスは当然抑えのジェイソン・モッテをマウンドに送ります。それに対してキンズラーがライト前ヒットで1塁に出て、その後果敢に盗塁をし2塁に達します。そしてアンドラスがセンター前へシリーズ初ヒットを放ちます。ノーアウト、ランナーを得点圏に置いて、ジョシュ・ハミルトンが打席に立つという、レンジャーズが待っていた状況ができました。そこでハミルトンは犠牲フライで同点に追いつき、続くマイケル・ヤングも犠牲フライで、レンジャーズは逆転に成功します。接戦ゆえこうした絞り取るような得点、それも最終回での逆転はレンジャーズにとっても、カーディナルスにとっても非常に大きいものだと言えるでしょう。

キンズラーとアンドラスが守備からその調子を上げたのとは反対に、9回表にカーディナルスは記録に出ない失策を犯します。アンドラスのヒットの際、1塁手のアルバート・プーホールズがセンターからの返球を取りそこね後ろに逸らします。それを見たアンドラスは1塁から2塁へ進むことができました。記録上は投球間の進塁とされていますが、一部ではこれが失策とならないのはおかしいという声もあります。激しいマークゆえ、プーホールズもここまでノーヒットですが、記録に残らない失策により、さらにその不調が際立ってしまうようにも感じられます。

さて、ワールドシリーズは移動日をおいてアーリントンでの第3戦に移ります。史上稀に見る1点を争う試合が続く中、どうしてもアーリントンでのシリーズで調子を上げていかなればならいリリーフ投手がそれぞれのチームにいます。カーディナルスでは上記のように抑え役をできなかったモッテ。そしてレンジャーズは、アレックス・オギャンドーでしょう。オギャンドーはまたしても代打のアレン・クレイグにヒットを打たれ、この試合で均衡を破る得点を与えました。しかも今回は先に代打として出たクレイグに対して、レンジャーズベンチはあえてオギャンドーをぶつけたのではないかというくらいの形でマウンドへ向かい、そして打たれました。

打点や四死球での出塁がありながらも未だノーヒットが続くハミルトンとプーホールズ、リーグチャンピオンシップのときとは違い大人しくなってしまったネルソン・クルーズなど、マークされて当たり前の選手が不調に陥るのはある程度仕方ないことです。ただし野手は守備から調子を取り戻すことができます。問題はそういうことが難しいリリーフ投手で不調が出た場合です。セントルイスでの2戦を見てもわかるように、今年のワールドシリーズは細心の注意を要するチェスマッチが展開されています。そうなるとリリーフ投手の継投と、その選手がいかに相手打線を抑えるかが重要になってくるはずです。その中でオギャンドーとモッテはどうしても1日の移動日を使いつつ気持ちを切り替えていかなければならないように感じます。


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1 Comments

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Unknown (kaiser)
2011-10-23 14:17:10
お久しぶりです。
今日の試合で流れが大きくカージナルスに行きそうな雰囲気ですね。
レンジャーズはまたしてもオガンドーが打たれ、しかも絶対に眠らせておかないといけない現役最強打者を完全に目覚めさせてしまいましたからね。
レンジャーズがWS制覇するには明日のジャクソンもさることながらその次に再度当たるカーペンターを攻略して勢いづいた状態でセントルイスに戻ることが不可欠だと思います。
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