ローマとカルタゴ（2）

原本はイギリス人、Shippen Edwardにより書かれた「Naval battles of the world: from Salamis to Japan Sea」（1905年刊）で、サラミスの戦いから日本海海戦までの歴史的な海戦を紹介している。　日本は周囲を海に囲まれてはいるが、とても海洋国家とはいえない。日本人がはるかなる海に眼を向けたのは、室町や明治のほんの一時期にすぎない。世界では海の支配をめぐり、いくたびかの戦いが繰り広げられた。それを垣間見ることにより、歴史の舞台では忘れられがちな部分にスポットを当ててみよう。

ROMANS AND CARTHAGINIANS (2)
　　　　　As soon as Rome rose to assured power, and began her course of conquest, trouble with the powerful State of Carthage ensued. Their clashing interests soon involved them in war, and Sicily and the Sicilian waters, being necessary to both, soon became their battle ground.

The Carthaginians had obtained a footing in Sicily, by assisting Roman renegades and freebooters of all nations who had taken refuge there. The Romans therefore passed a decree directing the Consul, Appius Claudius, to cross over to Messina and expel the Carthaginians who, from that strong point, controlled the passage of the great thoroughfare, the strait of the same name. Thus commenced the first Punic war. The Romans were almost uniformly successful upon land, but the Carthaginians, deriving nautical skill from their Phenician ancestors, overawed, with their fleet, the whole coast of Sicily, and even made frequent and destructive descents upon the Italian shores themselves.

ローマとカルタゴ（２）
　　　　　ローマが確固たる力を握り、征服への道を進み始めるやいなや、強力な国家、カルタゴとのトラブルが続いて起こった。　　ローマとカルタゴの相反する関心は、まもなく両者を戦争に巻き込んでいく。　　そして、両者にとり必要なシシリーとシシリー水域は、まもなく戦場になった。

　　　　　カルタゴはローマの反逆者やシシリーに避難してきた全ての国の盗賊どもを助けることにより、シシリーに足場を得ていた。　　従って、ローマ人は執政官アッピウス・クラウディウスにメッシナを超え、航海術にたけた彼らの長所により、同じ名前をもつ大いなる水路（メッシナ海峡）の通行をコントロールしていたカルタゴ人を掃き出す政令を通した。　　かくして、第1次ポエニ戦争が開始された。　　ローマ軍はほぼ一定して陸上では成功していたが、フェニキア人の祖先から受け継いだ航海術を引き出したカルタゴ軍は、艦隊によりシシリーの全海岸線を威圧し、さらに、イタリア沿岸に対し、頻繁に破壊的な急襲を行いさえした。
　　　　　
（ひとこと）　
　　　　ヨーロッパ人にとり歴史上、「ローマ」の名前は「ギリシャ」よりずっと重きをなす。　　ローマ帝国（紀元前は共和制なので、正確には古代ローマ）はBC270年にイタリアを統一し、AD476年に滅亡するまで約700年間にわたり地中海世界を支配した。　　さらにローマ帝国の正統な後継者として、コンスタンティノポリスを首都とする「東ローマ帝国」はAD1453年に滅びるまで、約1000年！！！も存続した。　　また、実態は「帝国」ではなかったが、古代ローマ帝国の継承を称した、現在のドイツを中心とした「神聖ローマ帝国」はAD962年から1806年まで、800年余存在したのである。