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無敵艦隊(30)

 原本はイギリス人、Shippen Edwardにより書かれた「Naval battles of the world: from Salamis to Japan Sea」(1905年刊)で、サラミスの戦いから日本海海戦までの歴史的な海戦を紹介している。 日本は周囲を海に囲まれてはいるが、とても海洋国家とはいえない。日本人がはるかなる海に眼を向けたのは、室町や明治のほんの一時期にすぎない。世界では海の支配をめぐり、いくたびかの戦いが繰り広げられた。それを垣間見ることにより、歴史の舞台では忘れられがちな部分にスポットを当ててみよう。

THE INVINCIBLE ARMADA (30)
 In other parts of Europe great joy was felt, for both England and the Continent were delivered from the nightmare of universal empire and the Inquisition. Well might England rejoice, and proceed to build up more powerful navy.

 The Spanish marine was irretrievably wrecked, and never again rose to its former position; and the loss of the preponderance of Spain in European affairs began at this time.

 The commander first selected for the Armada, Alvaro de Bazan, a fine seaman, died just before it left Lisbon. He would, no doubt, have handled it better than Medina Sidonia; and he certainly would have attacked the wind-bound English fleet in Plymouth, in spite of orders, and if he had done so would probably have destroyed it.

 Philip had disregarded the advice of Parma and Santa Cruz, experienced soldiers, to secure a point in Flanders, before attacking England; and he erred in binding down Medina Sidonia not to take the initiative and attack the English fleet until he had been joined by Parma’s transports.

無敵艦隊(30)
 ヨーロッパの他の国は無敵艦隊の敗北に大いなる喜びを感じた。  イングランドと大陸諸国は、世界帝国と異端審理宗教裁判所から解放されたのである。  イングランドは大いに喜び、より強力な海軍建設を継続した。

 スペイン海軍は回復できない程に破壊され、決して以前のポジションに戻ることはなかった。  ヨーロッパ問題でのスペインの主導権もこの時から失われていった。

 最初に選ばれた“アルマダ”の司令官は、優秀な船乗りであるアルバロ・デ・バザン(サンタ・クルス侯爵)だった。  しかし、彼は艦隊がリスボンを離れる直前に死んでしまった。  彼は、疑いもなく“アルマダ”をメディナ・シドーニアよりうまくコントロールしたであろう。  また、彼だったら命令に逆らって、プリマスにいた逆風のため出港出来ないでいるイングランド艦隊を攻撃したに違いない。  もしそうしていたなら、彼はたぶんイングランド艦隊を打ち破っていたろう。

 イングランドを攻撃する前にフランドルを平定すべきだ、という経験豊かな兵士であるパルマとサンタ・クルスの忠告に、フェリペは耳を貸さなかった。  そして、パルマの兵士を積んだ輸送船団と合流するまでイングランド艦隊を自分の方から進んで攻撃するな、とメディナ・シドーニアを束縛するという誤りを犯した。

(ひとこと)
 スペイン無敵艦隊の敗因を見て見よう。  戦略的失敗はパルマ公軍の洋上護衛のための制海権確保(イングランド艦隊牽制)をイングランド艦隊撃滅より優位においてしまったことだろう。  そのため、積極的な作戦行動ができず、受身、受身に回ってしまった。  古今東西を問わず、戦いでは先手を取ったほうが圧倒的に有利である。  戦術的失敗は砲戦主体になりつつあった海戦を真に理解せず、大砲は敵船の動きを鈍らせるもので、接舷、白兵戦で制圧する、という従来の戦術から抜け出せなかったことだろう。

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