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第3話(3)

フジ・ショック(3)

 「野菜生産技術センター」のあるワラルは、治安がよく、親日的だ。
そのため、リマから帰ってきた目には“これで大丈夫か?”と写る。

 センターの正門には、ガードマンが2人いて、入門者をチェックしているが、緩やかなものだ。
朝、ガードマンのガルシアに挨拶する。
「Buenos dias 、ガルシア」
「Hola 、タケダさん」
「昨日リマにいたとき、爆弾騒ぎがあったよ。」
「リマは物騒だね。ここは俺が居るから大丈夫。」
と言って、腰のピストルをたたき、ウインクした。

 何か胸騒ぎがして、午前中は研究棟の建物から離れた温室で作業をすることにする。
マルコが苗のデータ記録を手伝ってくれる。
マルコはアヤクチョの山村からリマに働きに出てきたのだ。

「お金を貯めて、早く両親を呼び寄せたい。」
「山では生きていくのがやっとです。それに、いつゲリラと政府軍の戦闘に巻き込まれるか、わかりません。」

 一休みしようとしたとき、センターを取り囲む塀の方から“ドサッ”という異音が聞こえた。
数人の男が、温室の前を駆け抜ける。
異変を感じ、マルコと温室内の棚の影に隠れた。

 “パン、パン”鋭い銃声が響く。
怒号と走り回る音が聞こえる。

 数分後、3人の男が覆面をした男らに銃で小突かれながら、建物の中から出てきた。

 3人は建物の壁の前に立たされる。
真田さんと大木さん、三浦さんだ。
リーダーらしき小柄な男が何か言っている。
“------- 帝国主義の手先------- ”

 真田さんが一歩前に出て、何かしゃべろうとした、その時、
“タタタタタッ”
叩きつけるような銃声がして、3人は崩れ落ちた。

 男たちは脱兎のごとく、武田たちの隠れている温室の前を駆け去って行った。
武田が立ち上がろうとするのを、マルコが引き留めた。
「まだ、仲間が居るかもしれない。」
     
     
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