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第3話(1)

 最悪のMDA-10海域(1)

 7月下旬には、MDA-7海域の掃海は完了した。

 掃海部隊はドバイに引き上げ、3日間の短い休暇を楽しんだ。
そして、次の任務地であるMDA-10海域に向かった。

 最後まで掃海の残ったこの海域は、ペルシャ湾の最奥部、チグリス、ユーフラテスの流れを合わせた、シャトル・アラブ河河口の沖合にあった。
ここは一部にイラン、イラク、クウェートの領海が含まれており、政治的に難しいところだ。

 さらに、掃海するには最悪の条件を備えていた。
河口近くのため、流れが速く、河が運んでくる土砂のため、視界が極端に悪い。

 さらに、水深は10メートル前後と浅く、海底には生きている原油パイプラインが走っている。
ここに、イラク軍は多国籍軍のイラク上陸を阻止するため、機雷を敷設したのだ。

 原油パイプラインを損傷しかねないため、掃海具による掃海は行えない。
結局、ソナーにより探知した目標を、EOD員が潜水、確認し、処分することになった。

 EOD員による打合せを行う。
「潮流が毎時4キロと速く、時間により方向が変わる。」
「視界が今まで以上に悪いと言うことだ。1人が作業しているときは、ペアの1人は必ず安全監視の役にまわること。」

 「今まではソ連製感応機雷UDMと係維機雷LUGM相手だったが、ここには対上陸用舟艇のイタリア製感応機雷“マンタ”が敷設されている可能性が高い。これがその概略図だ。」
「まさにマンタですね。しかし、ちゃちい。」
「油断は禁物だ。外殻がFRP製でソナーに探知されにくく、磁気や音に非常に敏感なものらしい。」

 「ここまで無事故で来たんだ。絶対に1人も欠けることなく、任務を遂行しよう。」

     
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