ソナーで探知した目標の位置には、海面上のゴムボートからロープでマーカーを下ろしてもらった。
大塚らは、そのマーカーを基点に捜索を行う。
海水が濁り、視界は思っていた以上に悪い。
パートナーの銀色の酸素ボンベを、ようやく識別できる程度だ。
“あった!”
海中にゆらゆら揺れる係維機雷だ。
周囲を確認後、艇に戻る。
機雷は現場で爆破処分をすることになった。
炸薬と導爆線を背負い、機雷に向かう。
係維ワイヤの垂れ下がる機雷の下に行こうとするが、流れが強く、なかなか思った位置に付けない。
焦ると、ただでさえ狭い視野が、さらに狭くなる。
安全監視している中村の、緊急合図が目に入る。
動いてきた係維ワイヤに足を絡ませるところだった。
冷汗がどっと出る。
作戦を立て直すため、一旦艇に戻った。
司令ら隊の幹部との打合せの結果、掃討作戦は潮の流れが弱まる午前中2時間と午後2時間に行うこととなった。
今度は、前より動きやすくなった。
ゆっくりと機雷底部に近づく。
サビが浮き出ている。
斜め上に突き出した触角(信管部分)が不気味だ。
機雷底部に触れる。
自分の心臓の鼓動が聞こえる。
底部に炸薬を貼り付ける。
炸薬に結ばれた導爆線を、背中に背負った袋から慎重に取り出す。
中村3曹と一緒に、ケーブルに張力がかからないように伸ばしていく。
退避した艇の上から、爆破スイッチを押す。
海面に、巨大な真っ白い盛り上がりが生ずる。
“ズズン!”
壮大な水柱が、むくむくと湧き上がる。
大塚の胸に、最初の頃の“ヤッタ”という高鳴りはない。
ホッとして腰を下ろした。
参考図:「写真集・湾岸の夜明け作戦全記録」、神崎宏他、朝雲新聞社、1991
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