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英語で読む海戦史(13)

原書は、著名なアメリカの海戦史家Samuel Eliot Morisonの「The Two-Ocean War」です。内容は第2次世界大戦におけるアメリカ合衆国海軍の太平洋と大西洋における戦いを描いたものです。日本との太平洋における戦いの部分に関しては、光人社から「モリソンの太平洋海戦史」(大谷内一夫 訳)として出版されています。あまり知られていない、ドイツとの大西洋における戦いの部分に関して、英語の勉強をかねて読んでみました。

(原文)
Chapter Ⅴ Destruction in the Atlantic
13.
Panama, the only sea frontier with a foot in each ocean, had a baffling task. Relative to its responsibilities and extent, it was the most poorly provided with means of defense. On the Atlantic side alone, this frontier included the entire coast from the Yucatan Peninsula to Punta de Gallinas, Colombia. But its prime, overriding charge was defense of sea approaches to the Panama Canal and of shipping in transit― the Army protected the Canal from sabotage, land attack or air attack. They also had to cope with a difficult political situation.

Only the ten-mile wide Canal Zone was under United States’ control; the rest of the frontier was divided among several independent republics, officially at war with Japan and Germany but somewhat dubious as to who would win. In any case, these republics had no naval vessels capable even of inshore patrol; thus, the entire burden of their defense fell on the United States Navy. The same was true of two republics in Hispaniola. Authorities in the British and Dutch West Indies were most cooperative. Venezuela, Colombia and Mexico were rather “sticky” and the French islands remained stiffly neutral until a commissioner from DE Gaulle took over in 1943.

Mexico finally declared war on the Axis after one of her fully lighted tankers had been sunk by a U-boat off Miami; Colombia, too, became a loyal ally after some of her small freighters had been sunk. Cuba was our most useful ally in North America, excepting Canada; her fleet of small gunboats took care of her coastal traffic and helped to escort the Florida-Havana seatrains. CS-13, an 83-foot Cuban Navy subchaser which sank U-176 in the Old Bahama Channel in May 1943, was the only small craft of any navy to kill a submarine in American waters.


(訳)
第5章 大西洋での破滅
13.
パナマは太平洋と大西洋、2つの海洋に足場をもつ唯一の前線海域だが、難しい任務を持っていた。その責任と担当範囲に比べて、パナマは防衛手段に関しては貧弱なものしか供給されていなかった。大西洋側では、この前線はユカタン半島からコロンビアのプンタデガリナスまでの全沿岸を含んでいた。しかし、その主要な、最優先の任務は、パナマ運河への接近航路と航行船団を守ることだった。一方、陸軍は破壊活動および陸や空からの攻撃から運河を守っていた。彼らはまた、難しい政治状況とも取り組まなければならなかった。

運河地帯の幅10マイルのみがアメリカの管理下にあり、他の前線は、いくつかの独立した共和国に分かれていた。それらの共和国は公式的には日本とドイツに宣戦布告はしてはいたが、誰が勝つだろうかというような、曖昧な態度であった。いずれにしても、これらの共和国は、沿岸パトロールできる艦艇さえも持っていなかった。というわけで、すべての防衛の負担はアメリカ合衆国海軍にかかってきた。スペイン系の二つの共和国の実情も同じだった。イギリスとオランダ西インド当局は最も協力的だった。ベネズエラ、コロンビア、メキシコは動きが鈍く、フランス領諸島は、ド・ゴール派の行政官が1943年に支配するまでは、固い中立に留まった。

メキシコは、十分に明かりをつけた自国のタンカーの1隻がマイアミ沖で沈められるに及んで、やっと枢軸国に宣戦布告をした。コロンビアも自国の小さな貨物船の何隻かが沈められた後、忠実な味方になった。キューバは、カナダを除いて、北アメリカで最も役に立つ味方だった。キューバの小さな砲艦より成る艦隊は、キューバ沿岸交通を守り、またフロリダーハバナ間の定期船団をエスコートするのを助けた。83フィート級キューバ海軍駆潜艇、CS-13はオールドバハマ水路で1943年5月にU-176を沈めた。それはアメリカ水域で潜水艦を沈めた唯一の小艦艇だった。

(注釈)
    パナマ運河は、スエズ運河と並んで、世界海上交通にとり、ということは軍事的にも非常に重要な運河です。それは今も当時も変わりません。パナマ運河は、ガツン湖のあるパナマ地峡を横断して、大西洋と太平洋を結ぶ全長80Kmの運河です。1914年開通し、長い間アメリカの管理下にありましたが、1999年末パナマに返還されました。通過できる船の大きさに制限があり、それ以上の大きさの軍艦を作れば(大きな軍艦には大きな大砲が積める)、アメリカ艦隊に勝てるとの考えのもと建造したのが、世界最大の戦艦「大和」、「武蔵」だったわけです。
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