壊血病(5):謎の解明
壊血病の原因は、いろいろ考えられた。
〇病原菌
〇タンパク質不足、カリウム不足
〇酸の血中濃度
〇中毒
20世紀に入り、人間の生存、活動には、主栄養素のほかに、微量栄養素(ビタミン)が必要不可欠であることが、明らかにされる。
その微量栄養素の不足が壊血病を引き起こしていたのだ。
そして、その微量栄養素は人間の体内で生合成できないので、植物などから摂取する必要があった。
1932年、ハンガリーのジェルジは、モルモットの実験から、有効な抗壊血病化合物の分離に成功する。
それはアスコルビン酸(ビタミンC)と名付けられ、分子構造も解読された。
レモンやオレンジは特別、ビタミンCの100グラムあたりの含有量が多かったのである。
その後、ビタミンCの合成方法も考案された。
こうして、船員の職業病としての壊血病は、永久に姿を消したのである。
「壊血病」
壊血病は人間の体を構成するコラーゲンが正常に作られなくなるため、起こる。
コラーゲンは細胞間を貼り合わせたり、骨や腱を作っている。
このコラーゲンの繊維構造をしっかりしたものにするため、ビタミンCが必要となる。
ビタミンCが不足すると、弱いコラーゲンしか作れなくなる。
すると、歯茎がもろくなり、出血、歯の脱落を引き起こす。
また、腱が弱くなり、立ち歩きができなくなるなどの症状が出る。
参考図:「ビタミンC」、Wikipedia