壊血病(3):リンドの臨床試験
アンソン卿航海の壊血病による重大な損失を受け、壊血病治療法の研究が始まった。
レモンとオレンジが病気に効くという報告もあったが、レモンやオレンジは貴重で高価であったこともあり、忘れ去られてしまう。
代用としてリンゴや乾燥野菜も提案されたが、効果はいま、ひとつだった。
その他、酢や硫酸エレキサー、下剤などが治療薬として登場する。
18世紀半ば、軍艦ソールズベリー号に乗り組んだ船医、リンドは画期的な臨床試験を行う。
12人の壊血病患者を2人ずつに分け、それぞれに6種類の異なった抗壊血病薬を与え、その効果を調べた。
その結果を、下表に示す。
リンドはこれらの結果を含め、「壊血病論集」として、世に出した。
その中で、次のことを述べている。
- 壊血病の予防には、生野菜やかんきつ類が最も効果がある。
- 壊血病の原因は、人体のアルカリ度のバランスが崩れることによる。
(2)の壊血病の原因に関しては、後で誤りであることが分かった。
(1)に関しては明快な証明にもかかわらず、広く世に認められることはなかった。
壊血病は何が原因で起こるのか、長い間わからなかったため、治療法の整理がつかず、その効果を正確に解釈できなかったのだ。
参考図書:「壊血病」、スティブン・バウン、国書刊行会、2014