gooブログはじめました!

4-2

 連続運転には到らず(2)

 乾坤一擲のマリアナ海戦に敗れて以降は、戦局は日本にとり、ますます不利になった。

 南方原油を積んだ日本のタンカーは、アメリカの潜水艦に次々と沈められた。
撫順工場に運ばれてくる原油も、減少の一途を辿った。

 ソ満国境も不穏となり、満州にいる日本成人男子は根こそぎ動員される。
鈴木も徴兵され、日露戦争で使った小銃を渡された。


 1945年8月、日ソ不可侵条約を破り、ソ連軍が満州に侵攻してきた。
一週間後、日本は無条件降伏する。

 日本のつくった満州国は幻のごとく消え、満鉄もその中に姿を消した。

 ソ連軍の捕虜となった鈴木はシベリアに送られ、2年間の過酷な抑留生活を強いられることになる。

 シベリアに向かう車窓から荒涼とした大地を眺めながら、鈴木はこの10年間の人造石油生産への苦闘を振り返った。


 “これからは、産業にとり、石油が大切な資源になることは間違いない。”

“これまでの失敗や経験は、日本の復興に必ず役に立つ。何としても生き延びて、日本に帰るんだ。”

     
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「石油の一滴は血の一滴」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事