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 撫順人造石油工場(3)

 鈴木らが人造石油生産に苦闘している間に、日本をとりまく情勢は厳しくなっていった。

 日本軍は大陸に百万の兵を送るも、重慶政府を屈服させることができず、泥沼の消耗戦を強いられていた。

 そして、中国を支援するアメリカは中国への軍需品援助を行う。
アメリカ、イギリスおよびオランダは中国と結び、日本への圧力を強める。

 ヨーロッパでは、イギリス、フランスとドイツとの間に全面戦争が始まった。

 「日独伊三国同盟」が締結されると、アメリカは日本への経済制裁を強める。
  ○航空機用揮発油の対日輸出禁止
  ○くず鉄の対日輸出禁止

 そして、中国への援助ルートを断とうと、日本軍が南部仏印に進駐すると、アメリカは石油の対日全面禁輸に踏み切った。

 石油がなければ戦争はできない。
国内産石油は無きに等しい。
頼みとする人造石油は、まだ大量生産の見通しが立っていない。

 南方のインドネシアには、豊富な石油資源がある。

 窮した日本は、明確な戦略がないまま、南方進出を決める。

 南方にはアメリカ、イギリス、オランダの植民地がある。
当然、それらの国と戦争になった。

 初戦の電撃戦により、日本軍は広大な南方領域を占領する。


 日本軍が占領した南方油田の精油施設再建のため、石油技術者の徴用が始まった。

 鈴木と一緒に人造石油工場立ち上げに苦闘した加藤研究員も南方に行くこととなった。

 「まだ工場が順調に動いていないのに、去るのは心残りだ。鈴木君、一日も早く石油の大量生産ができるようにしてくれ。」
「南方の石油が必要なくなるよう、がんばる。元気で帰ってきてくれ。」

     
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