皆無斎残日録

徒然なるままに、日々のよしなし事を・・・・・

雑感~食べ物

2010年06月06日 18時37分32秒 | 随想

今時の水っぽいトマトを食べていて、「昔嫌いだったあの独特の臭いのトマトが食べたい」とふと感じた。


食べ物に旬というものがなくなってきたのはいつ頃の事だろう。高度成長時代の前迄はまだまだ旬があったか。我々が子供の頃は、確かに季節々にしか出回らない物がほとんどだった様な記憶がある。


今は悲しい事に、年から年中、トマト、キュウリ、イチゴがあっても不思議さを感じなくなってしまっている。特徴的な臭み、苦み、辛み、酸味、甘味といったものは無くなり、無味無臭で食べ易い甘さだけが際立つ。それでもまだ何とか魚に救いはあるが、それでも冷凍技術の進歩と流通の発展よって、大凡の魚はいつでも手に入る様になっている。子供の頃のあの独特の青臭いトマトなどどこへいったか。大量生産大量消費の便利さの中で我々は無感覚になっていった。


日本の四季の境目はくっきりとしてではなく、晩冬、初春、晩春、初夏、盛夏という風に、知らず知らずのうちに徐々に変化して移ろって行く。また、季節を表現する言葉も数多ある。食べ物にもそれが感じられたはずだ。食べ物は風土と旬を背負っていてこそ食べ物ではないか。それを失ったものは、食品という名の無味乾燥した工場製品にすぎない。



↑よろしくね↑

ブログランキングの画像は人気ブログランキングのフリー素材を利用させていただきました。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿