かなぶち鍼灸調体堂の「先ずは只管打歩」なほぼ毎日譚

基盤を追求すると、ついに「歩く」迄遡ってきました。

治療目的のマッサージについて

2014年03月03日 | 米国補完代替医療研究センター公開文書
という、米国国立補完代替医療センターの文書を日本語化しました。

ご参考にして頂ければ幸いです。

理由は何であれ、マッサージ療法は継続して受けられることが大切です。
その為、弊堂では月会費制度を実施しております。
ご検討下さい。

米国国立補完代替医療センター文書:臨床ダイジェスト
治療目的のマッサージについて
Feb. 2014


 マッサージ療法の起源は数千年前に遡る。そして、その発祥の地は無数である。マッサージ療法に分類される手法は数多くあり、治療者が患者に加える力の強さも様々であれば、筋肉/柔組織の刺激方法も様々である。

 マッサージ療法の臨床効果に関する科学的研究は数多く為されている。その多くは予備実験レベルであり、結果も様々ではあるが、様々な症状に伴う痛み等の兆候に対する効果も数多く報告されている。例えば、うつ病性気分障害/がん/HIV・AIDS等の患者におけるQOLの向上や、腰痛の緩和にマッサージ療法が効果があることが立証されている。しかしながら、研究結果の多くにおいて、マッサージ療法の効果が短期的なものであることが示唆されているので、患者は継続してマッサージ療法を受ける必要がある。

 本文書では、複数の症状(痛み/がん/うつ病性気分障害等)に対するマッサージ療法の臨床効果について述べる。

(1)痛み
【研究結果】
・2008年に発表されたコクランレビュー及び2011年に米国国立補完代替医療センターが資金を提供して実施された臨床試験の結果から、マッサージ療法が慢性的な腰痛に対し有効である可能性が示された。米国内科学会/米国疼痛学会が共同で発表した臨床指針では、セルフケアで慢性腰痛/亜急性腰痛の症状が改善しない患者に対し、治療者が追加的な治療方法として、集中的・包括的リハビリテーションプログラム/運動療法/鍼治療/マッサージ療法/脊椎矯正/ヨガ/認知行動療法等を推奨している。

・2009年に米国国立補完代替医療センターが資金を提供して実施された臨床試験では、マッサージ療法が慢性の頚部痛に有効である可能性が示された。

・2012年に米国国立補完代替医療センターが資金を提供して実施された研究では、変形性膝関節症に伴う痛みに対しマッサージ療法が有効である可能性が示された。

・働く女性を対象としたある研究では、マッサージ療法によって痛みが緩和されると共に、他の疼痛緩和療法に対する満足度が増大するという結果が示された。ただし、2012年に発表されたレビューでは、その根拠は薄弱であると指摘されている。

・頭痛に対するマッサージ療法の効果に関する臨床試験は、現時点では予備実験レベルであり、その効果も一定でない。

(2)がん
【研究結果】
・数多くの系統的レビュー/臨床試験を通じ、少なくとも短期間なら、がん患者に対するマッサージ療法は痛みの緩和/リラクゼーションの促進/快方への気分転換に効果があることが示されている。

(3)うつ病性気分障害
【研究結果】
・2010年に発表された、17例の臨床試験結果をまとめたメタ分析は、マッサージ療法によってうつ病性気分障害の程度が軽減される可能性があると結論づけている。

・米国国立補完代替医療センターが資金を提供した予備的研究(2012年発表)では、うつ病性気分障害を発症した妊婦を対象に、ヨガ/マッサージ療法を2回/週×12週実施した結果を比較した(対照群には標準的な出生前ケアのみ実施)。その結果、ヨガ/マッサージ療法は、うつ病性気分障害の症状/不安感/腰痛/脚部痛の軽減に効果があった。また、ヨガ/マッサージ療法を受けた妊婦から出生した乳児は、対照群の妊婦から生まれた乳児に比べ、出生時の体重が重かった。しかしながら、2013年に発表されたコクランレビューによると、うつ病性気分障害を発症した妊婦に対しマッサージ療法を推奨する事を支持する科学的事実は無いと結論づけた。

(4)線維筋痛症
【研究結果】
・2010年に発表されたレビューによると、マッサージ療法により、線維筋痛症に伴う痛み/疲労感等の症状が一時的に改善される可能性があるとされている。しかし、その根拠は強力ではない。当該レビューの筆者らは、マッサージ療法によって痛みを発生させないことが大切であると指摘している。

(5)HIV/AIDS
【研究結果】
・2010年に発表された系統的レビューによると、4つの小規模な臨床試験の結果、マッサージ療法がHIV/AIDS患者のQOLを向上させる可能性があると結論づけている。

(6)その他の症状

 終了した/現在進行中の研究で得られた結果は、以下の事項に対しマッサージ療法が有効か否か結論付けるには不充分である。
・乳がんの助成に対する免疫機能
・心臓病の手術を受けた後の患者における不安感/痛みの改善
・糖尿病患者のQOLの向上/血中グルコース濃度の制御

<マッサージ療法の安全性>

 専門家によって適切に施術される限り、マッサージ療法には危険性が少ない。しかしながら、以下の状態にある人がマッサージ療法を受ける場合には注意が必要である。

・米国がん研究所はマッサージ施術者に対し、あるがん患者がマッサージ療法を希望する場合には特別な注意が必要であると共に、以下の部位にはマッサージ療法を避けるのが望ましいと警告している。
◯解放傷がある/出血している/皮膚が損傷している部位
◯腫瘍の発生部位
◯血管に血栓が出来ている部位
◯放射線治療後に敏感になっている部位

・出血に関する何らかの障害を患っている/血小板が少ない/抗凝血剤(ワーファリン等)を服用している等の患者に対しては、力強い/深部組織に対するマッサージは避けるのが望ましいと考えられている。
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