かなぶち鍼灸調体堂の「先ずは只管打歩」なほぼ毎日譚

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ω-3脂肪酸のサプリメントについて

2013年08月29日 | 米国補完代替医療研究センター公開文書
標記のニュースレターが、米国国立補完代替医療センターから発行されましたので、日本語化しました。ご参考まで。

日本人なら、青魚≒鰯を食べましょう、ってとこです。

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NCCAM臨床報告(2013年8月):ω-3脂肪酸について

 最近の研究で、ω-3脂肪酸と前立腺がんの発症リスクに何らかの関連があるらしいことが判明した、というニュースが発表された。ω-3脂肪酸は、アメリカで広く利用されているサプリメントの一つである。事実、2001年に報告された全国健康調査によると、天然物由来のサプリメント(=ビタミン/ミネラル類を除く)の中で成人に最も利用されたのは魚油(fish oil)/ω-3脂肪酸/DHAのサプリメントであった(児童でも第2位)。

 魚介類を摂取することが健康状態に何らかの好影響を与えているらしいとする研究結果は既に報告されているが、ω-3脂肪酸をサプリメントで摂取することが健康状態に及ぼす影響については余り明らかになっていない。例えば、ω-3脂肪酸と心臓病の関係について調べた複数の研究結果はバラバラだし、複数の研究データを纏めて分析した報告書(2012年発表)でも、ω-3脂肪酸が心臓病の予防に効果があると結論付けるだけの証拠は得られなかったとしている。

 ω-3脂肪酸がリューマチ性関節炎の症状を緩和するのに幾らかは役立つとする研究結果は複数報告されている。また、ω-3脂肪酸は加齢性黄斑変性症に対し有効である可能性も報告されている。ただ、その他の症状に対するω-3脂肪酸の効果についても研究はなされているが、何らかの結論は未だ得られていない。本文書の目的は、幾つかの症状(心臓病/リューマチ性関節炎/胎児・乳児の発育/眼・脳の病気など)に対するω-3脂肪酸の効果と安全性について、科学的事実を基にした情報を提供することである。

(1)心臓病

①科学的な証拠について
 心臓の健康状態を改善しうる食事には、ω-3脂肪酸を多く含む魚介類が含まれているべきである、という点について専門家の意見は一致している。しかしながら、ω-3脂肪酸をサプリメントによって摂取することが心臓病の予防に有効であるとする証拠は報告されていない。

②研究結果
<魚介類が豊富な食事について>
■30年以上前に実施された疫学調査によると、魚介類を多く摂取するイヌイットでは、循環器病による死亡率が比較的低いと報告されている。それ以来、魚介類と心臓病の関係について数多くの研究が為されている。それらの結果では、魚介類の摂取が心臓病に対し比較的有効であろうとされている。ただし、魚介類を最低週1回以上摂取する人の心臓病による死亡率が、魚介類を滅多に食べない/全く食べない人のそれに比べ低いと結論付けるだけの証拠は報告されていない。
■アメリカ人の為の食事ガイド(2010年版)によると、成人では一週間に240g以上の魚介類(=魚類+甲殻類)を摂取することが推奨されている。理由は、ω-3脂肪酸を含む多種多様な栄養成分を摂取するためである。また同ガイドには、推奨量の魚介類を摂取することは、心臓病による死亡率を低減させるのに有効であると記されている。

 <ω-3脂肪酸のサプリメントと心臓病の発症率>
 ω-3脂肪酸のサプリメントを摂取した人(=試験群)とそうでない人(=偽薬を投与された人、対照群)の間における、循環器症状(心臓発作/脳卒中など)の発生率/死亡率を比較した研究が為されている。
■これらの研究の被験者には、既に心臓病と診断された人が含まれている。ただ、幾つかの研究では、心臓病の発症歴が無い人も含まれている。
■研究結果はまちまちである。ω-3脂肪酸に(心臓病の)予防効果があると報告する研究もあれば、そうでないと報告する研究もある。
■2012年に2つの研究グループが、これ迄の研究結果を纏めるメタ分析を実施した。一つの研究グループは既に心臓病と診断された人を被験者とした研究結果のみを分析した。もう一方の研究グループは、心臓病と診断された人とそうでない人の両方を被験者とした研究結果を分析した。しかしどちらのグループも、ω-3脂肪酸に(心臓病の)予防効果があると結論付けるだけの証拠は見出だせなかった。

 <魚介類を摂取することと、心臓病の予防について解っていること>
■ω-3脂肪酸を豊富に含む魚介類を週に数回摂取することで、心臓を保護するのに充分な量のω-3脂肪酸が摂取出来ると目されている。但し、過剰摂取には要注意である。最近行われたメタ分析研究の結果では、魚介類を週に1~4人前摂取することで心臓病による死亡率が有意に減少することが明らかにされている。しかしながら、魚介類を週に5人前以上摂取しても(1~4人前摂取することに比べ)死亡率が更に有意に減少することは無い。
■食事を通じて定期的に魚介類を摂取するメリットには、ω-3脂肪酸以外の成分も寄与している可能性があるし、魚介類を摂取することで他の健康に良くない食品の摂取が抑制されている可能性も考えられる。
■更には、魚介類を定期的に摂取する人の生活様式は一般的に健康に良い場合が多く、それによって循環器病の発症率が抑制されていることも考えられる。

(2)リューマチ性関節炎

①科学的な証拠について
■リューマチ性関節炎の症状に対するω-3脂肪酸の効果については数多くの研究が為されている。

②研究結果
■2012年に報告された系統的レビューでは、魚介類/魚油に存在するω-3脂肪酸の一部には、リューマチ性関節炎の症状を若干緩和する効果があると結論づけられている。具体的には、魚油を摂取することにより、
・起床直後の筋緊張が短時間で解消する
・関節の腫脹/痛みが少ない
・抗炎症剤の摂取量が減る
と多くの被験者が報告している。

(3)乳幼児の発育
①科学的な証拠について
■乳幼児の発育(特に脳/眼の発育)に対するω-3脂肪酸の影響について、多くの研究が実施されている。

②研究結果
■適量のω-3脂肪酸(特にDHA)を妊娠期~授乳期に摂取することにより、乳幼児の健康状態が改善する事、特に脳/眼の発育に好影響を及ぼしている事を示唆する研究結果が複数報告されている。
■アメリカ人の為の食事ガイド(2010年版)では、妊娠/授乳期の女性は、多種多様な魚介類を240~360g/週摂取することが推奨されている(但し、水銀含有量が高いとされる魚介類は避けた方が良い)。

(4)脳及び眼の病気
①科学的な証拠について
 脳/眼の病気とω-3脂肪酸の関係に関する研究は現在進行中である。現時点では、何らかの結論を導き出すに足る証拠は報告されていない。

②研究結果
 DHAは脳/眼の機能発揮に於いて重要な役割を担っている。多種多様な脳/眼の症状の予防/治療に於けるω-3脂肪酸の役割について精力的に研究が進められている。
■眼については、加齢性黄斑変性症/ドライアイ症候群を対象に研究が進められている。特に加齢性黄斑変性症については、米国国立衛生研究所(NIH)が資金提供している大規模な研究(加齢に伴う眼病研究2、AREDS2)のテーマである。その結果では、(ビタミンC+ビタミンE+βカロチン+亜鉛)といったサプリメントの組み合わせにω-3脂肪酸を追加しても、効果が増強されることは無かった。
■脳神経系の症状(認知症/多発性硬化症)を対象とした研究も行われている。
■心理/行動上の症状(抑うつ性気分障害/注意欠陥多動性障害/自閉症/双極性気分障害/境界性人格障害/統合失調症)を対象とした研究も行われている。

(5)ω-3脂肪酸の安全性について

■ω-3脂肪酸のサプリメントは、適量を摂取している限り通常は副作用は発生しない。発生したとしても、大抵の場合は軽度の消化器系症状(げっぷ/消化不良/下痢など)である。
■魚類/甲殻類に対しアレルギー反応を示す人が、魚油のサプリメントを安全に摂取出来るかどうかについては、余り研究が為されていない。
■ω-3脂肪酸のサプリメントを摂取することにより、出血時に血液が凝固する迄の時間が延長する場合がある。血液の凝固に関する薬剤(抗凝固剤/非ステロイド性抗炎症剤等)を摂取している人は、ω-3脂肪酸のサプリメントを摂取するに当たり、事前にかかりつけ医に相談するべきである。
■魚(鱈など)の肝油は、魚油とは別物である。魚の肝油には、ω-3脂肪酸の他にビタミンA/Dが含まれている。これらのビタミンを過剰に摂取するのは有害である。魚の肝油に含まれているビタミン類の量は、製品間で異なる。
■アメリカ人の為の食事ガイドでは、妊娠/授乳期の女性は魚介類を240~360g/週摂取することが推奨されている。但し、胎児/乳幼児の神経系に障害を発生させ得る水銀を多く含む一部の魚類の摂取は避けるべきである。
■前立腺がんの発症リスクとDHAの関係については、対立する研究結果が報告されている。
・3つの大規模な研究結果では、ω-3脂肪酸/DHAサプリメントの摂取が、前立腺がんの発症リスクを高める可能性があると報告されている。2013年に報告された研究結果によると、血中のω-3脂肪酸濃度が高い男性では、前立腺がんの発症リスクが高いと示されている。また、2011年に報告された研究結果によると、血中のDHA濃度が高い(≒脂肪酸の摂取量が多いことを反映している)男性に於いて、高グレード(≒より進行した)の前立腺がんが発症するリスクが高いとされている。更に、それらより以前に報告された研究結果でも、血中のDHA濃度が高い男性で前立腺がん(高グレード/低グレード共に)の発症リスクが高まっているとされている。
・他方、複数の研究結果を纏めたデータ分析結果では、DHA供給源である魚介類を摂取することにより、前立腺がんでの死亡率が低下することが示されている。


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