かなぶち鍼灸調体堂の「先ずは只管打歩」なほぼ毎日譚

基盤を追求すると、ついに「歩く」迄遡ってきました。

癌の諸症状/治療に伴う副作用に対する補完統合医療について

2015年05月21日 | 米国補完代替医療研究センター公開文書
中2日空けての更新になりました。
走らないと、つい更新を怠ってしまいます。反省。

因みに、更新を怠っていた日は

5月19日(火):所要で終日外出していたので、ランニングは休み
5月20日(水):前日の夕食でビール→日本酒を楽しんだので、ついランニングは休み
5月21日(木):スケジュール調整と言い訳をして、やっぱりランニングは休み

と、久し振りにまとまって休んでしまいました。
明日から、心機一転して走る意気込みだけは有ります。

【今朝の体組成】(5日間移動平均値)
除脂肪体重:57.14kg(前日比△0.34kg)
体脂肪  : 4.54kg(前日比▼0.02kg)
----------------------------------------
体重   :61.68kg(前日比△0.32kg)
体脂肪率 : 7.4%(前日比変わらず)

【今日の昼稽古】
お休みしました・・・。

【今日の補強運動】
こっちもつい休んでしまいました・・・。

いかんがー。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
標記の件、米国国立補完統合医療センターのニュースレターからの引用です。
がんそのものを鍼灸/マッサージなどで治療することは不可能ですが、付随する諸症状をある程度緩和することは可能みたいです。
ご参考になれば幸いです。

May 2015 "NCCIH Clinical DIgest for health professionals"

癌の諸症状/治療に伴う副作用に対する補完統合医療について


 アメリカでは、癌と診断された人の多くが補完統合医療の治療方法を利用している。2007年の国民健康アンケート調査によると、癌と診断された経験がある人の65%が、補完統合医療の治療方法を利用したと回答している。癌と診断された人は他の人に比べ、健康状態の維持/免疫力の向上/疼痛緩和を目的として補完統合医療の治療方法を利用する傾向が見られる。

 鍼/マッサージといった補完統合医療の治療方法が、癌の諸症状/治療に伴う副作用への対処法として有効である可能性があることについては、多くの研究報告によって立証されている。本稿では、癌に関連する諸症状/治療の副作用に対する補完統合医療的アプローチに関し、客観的なデータを基にした情報を紹介する。

【鍼】
 化学療法によって誘起される吐き気の抑制に鍼治療が有効である可能性は、複数の研究報告を通じ明らかにされている。一方、癌による痛み/疲労感/火照り/口腔乾燥症が鍼治療によって緩和されるかどうかについては、一定の結論を出すのに必要な科学的証拠は揃っていない。

<有効性について>
●2009年に米国統合腫瘍学会が発表した臨床ガイドラインでは、
・痛みの制御が上手くいっていない
・他の治療方法に因る副作用が著しい
・化学療法/手術時の麻酔に関連する吐き気が抑制出来ていない
・鎮痛剤の使用量の低減が治療の目的である
といった場合において、補完的な治療方法として鍼治療を推奨している。しかし、他の症状(疲労感/火照りなど)に対する鍼治療の効果は立証されていないと記している。

●2013年に米国胸部専門医学会が発行した、肺がん患者に対する補完統合医療についてまとめたガイドラインでは、化学療法/放射線療法に伴う吐き気の補完的な治療方法として鍼治療を推奨している。また、癌に関係する痛み/末梢神経障害等に対する補完的な治療方法としても、鍼治療を推奨している。 

●口腔乾燥症の患者を対象にした9件の研究報告をまとめたコクランレビュー(2013年発表)では、放射線治療を受けている口腔がん患者を被験者とした研究報告が4件含まれているが、同レビューでは鍼治療が唾液の分泌量を僅かながら増大させると結論づけている。但し、その研究報告の質は余り高くないとも報告している。

●2015年に報告された臨床試験(被験者数=70名)では、化学療法によって誘起される遅発性の吐き気の抑制に関し、鍼治療はオンダンセトロン(制吐作用を有する薬品)と同程度に有効であると報告されている。鍼治療を受けた被験者では、副作用の発生が少なく、生活の質(QOL)の向上も見られた。

<安全性について>
 専門教育を受けた鍼灸師が滅菌済みの鍼を用い、適切な手順に従って治療を行えば、鍼治療の合併症は滅多に見られない。化学療法/放射線治療は免疫を抑制する副作用を誘起する可能性があるので、それらの治療を受けている患者に対し鍼治療を行う場合は、鍼灸師は鍼の殺菌に特に注意を払うべきである。

【マッサージ】
 マッサージが癌に関連する諸症状(痛み/吐き気/不安感/抑うつ状態等)の緩和に有効な可能性を示唆する研究結果が複数報告されている。しかしながら、研究の規模が小さいことから、マッサージ療法の効果に関し何らかの結論は打ち出されていない。

<有効性について>
●2009年に米国統合腫瘍学会が発表した臨床ガイドラインでは、不安感/痛みを覚える腫瘍患者に対し、多様な治療方法の一つとして、腫瘍患者に適切なマッサージ方法を学習した施術者によるマッサージ療法を推奨している。

●2014年に米国統合腫瘍学会が発表した臨床ガイドラインでは、乳がんの手術をした後の患者に対し、気分障害の改善を目的とした統合的なサポートケアの手法としてマッサージ療法を推奨している。

●2013年に米国胸部専門医学会が発行した臨床ガイドラインでは、肺がん患者を対象に、通常のケアでは不安感/痛みが改善しない場合において、複数の治療方法で構成されるサポートケアプログラムの一つにマッサージ療法を推奨している。

●12件の研究報告(被験者総数=559名)を対象としたメタ分析(2014年報告)で、がん患者に対するマッサージ療法の効果を調査した。その結果、マッサージ療法は痛み(特に手術後の痛み)の緩和に有効であると結論づけている。

<安全性について>
 副作用を防止する為に、マッサージ施術者は深部に働きかける/強圧のマッサージをなるべくしないのが望ましい。また、腫瘍/血栓を直接刺激する部位や、放射線治療によって肌が刺激に対し敏感になっている部位は施術しないようにすべきである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リラクゼーション療法について ①不安感/不安神経症

2014年12月18日 | 米国補完代替医療研究センター公開文書
いよいよ今朝の最低気温@大阪市は0.2℃。今冬最低を更新したとのことです。
天気予報でも午前中(6-12時)は何と「みぞれ」だったので、吾輩の闘志は早々に萎えてしまいました。
明日は走ろうっと。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
標記の件、NCCAM(米国国立補完代替医療研究センター)の文書です。
分量が多いので、複数回に分けて掲載していきます。

ちなみにリラクゼーション療法には、
・漸進的弛緩法
・誘導イメージ療法
・バイオフィードバック療法
・自己催眠
・深呼吸運動
等が含まれるそうです。

リラクゼーション療法の効果について

 リラクゼーション療法は様々な健康状態の管理に有用である可能性がある。ここで言う「様々な健康状態」には、
・病気/医療に付随して発生する不安感
・不眠症
・労働に伴う苦痛
・化学療法の副作用としての吐き気
・顎関節機能不全
等が挙げられる。これらの一部に対し、リラクゼーション療法は他の治療方法と組み合わされて適用されている。またリラクゼーション療法の効果/効能についての研究も進められているが、現時点ではリラクゼーション療法が有用であるとは明確には示されていないし、研究結果も玉石混交状態だし、そもそも研究結果の報告数自体が少ない。

(1)不安感/不安神経症
 リラクゼーション療法が※以下に該当する人に対し、その不安感を短期的に若干緩和する効果がある可能性が研究を通じ示されている。

※…心臓病/炎症性大腸炎の患者、乳房生検術/歯科治療等の治療を受診中の人
 
 また、高齢者の不安神経症患者に対してもリラクゼーション療法が有用であることが示されている。逆に、全般性不安障害の患者に対しては、長期的な観点からはリラクゼーション療法より認知行動療法の方が有効である事が明らかとなっている。

【科学的証拠について】

 現時点では、不安感/不安神経症に対するリラクゼーション療法の有効性に関する科学的証拠については、幾つかのレビュー及びメタ分析結果/多数の無作為化臨床試験結果が報告されている。しかしながら、それらの大半は規模が小さいか、その質的内容が低い。 

【有効性について】

・2009年に報告されたレビュー(=無作為化試験5つとメタ分析結果2つをまとめたもの)では、心臓病患者約2,700名以上を対象として調査した結果、リラクゼーション療法が不安感の解消に若干ながら有意に有効であることが示されている。

・2012年に報告された無作為化比較試験では、炎症性大腸炎患者39名を対象として調査した結果、リラクゼーション療法を受けた人ではその不安感/気分/生活の質/ストレス/痛みが改善した(統計的有意性有り)。

・2006年に報告された無作為化比較試験では、乳房生検を受けた女性236名を対象として調査した結果、リラクゼーション療法によって被験者の不安感は軽減した(統計的有意性有り)。なお、通常の治療を受けた人では不安感は増大し、自己催眠療法を受けた人では変化しなかった。しかし痛みについては効果が無かった(=痛みが増大した)。

・2008年に報告された無作為化比較試験では、歯科治療時の不安感を対象に調査した(被験者数=90名)。短期的なリラクゼーション療法/音楽に拠る気分転換は共に、何もしない場合に比べ不安感の軽減に対し有効であった。また、効果は短期的なリラクゼーション療法の方が高かった(統計的有意性有り)。

・2009年に報告されたメタ分析結果(臨床試験19例をまとめたもの)では、不安神経症を患っている高齢者に対し、リラクゼーション療法/認知行動療法が心理社会的治療法として有効であることが示されている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

線維筋痛症に対する補完代替医療について

2014年06月26日 | 米国補完代替医療研究センター公開文書
…という、米国補完代替医療センターの文書を日本語化しました。
原本はこちらです。

線維筋痛症の原因が不明である以上、治療も対処療法にならざるを得ないのは仕方ありません。
また、鍼治療については、どうしても対照群の設定が困難なので、科学的にその是非を結論付けるのはまず無理です。ただ、筋肉の柔軟性低下≒硬化に対しては、原理的に効果があると考えます。

線維筋痛症に対する補完代替医療について
NCCAM Clinical Digest, June 2014


 線維筋痛症とはよく見られる、慢性疾患である。症状面での特徴は、
・広範囲に及ぶ痛み
・筋肉の柔軟性低下
・疲労感
を始め、多岐に渡る。それらの症状により、日常生活を営むのが困難となる例も見られる。米国の成人では500万人が線維筋痛症を患っていると推測される。その内の80~90%は女性であるが、勿論男性/子供もなり得る。その場合、他の症状が併発している例が多い。線維筋痛症の原因は不明であるが、幾つかの要因が重なっていると考えられている。研究者達は最近、中枢神経系に於ける痛覚の処理の異常に注目している。

 線維筋痛症の診断/治療は困難である。米国リューマチ学会が、最新の診断基準を公表している。治療は個人の状態に合わせて行われる場合が多いが、代表的な治療方法は投薬治療/運動療法/筋力強化トレーニング/認知行動療法/体操療法/マッサージ/鍼等である。

 本稿では、補完代替医療に属する幾つかの治療方法について、その科学的情報をまとめた。

 一般的には、線維筋痛症に対する補完代替医療の研究は予備的なレベルに留まっていると考えられている。しかしながら最近では、太極拳/気功/ヨガ/マッサージ療法/鍼等が、線維筋痛症の症状を緩和する可能性を示唆する臨床研究結果が報告され始めている。

(1)体操療法(太極拳/気功/ヨガなど)


【有効性について】

・2013年に発表されたシステムレビュー/メタ分析では、7つの個別の臨床試験結果(被験者数:362名)を解析している。その結果、太極拳/気功/ヨガといった体操療法等が、睡眠障害/疲労感/抑うつ感等の穏やかな改善に有効な可能性があるとした。また、睡眠障害に対しては、試験終了後3~6ヶ月間に於いても効果があるとしている。ただ、これらの結果が科学的に正しいと結論付けるには、より質の高い/大規模な臨床試験が必要であるとしている。

・2010年に発表された、米国補完代替医療センター(NCCAM)が資金提供を行った研究結果では、線維筋痛症に対する、太極拳と(健康教育+ストレッチング)の効果を12週間に渡り調査した。その結果、太極拳を実践したグループで痛み/睡眠障害/抑うつ状態等の症状が有意に改善されている事が明らかとなった。そしてその効果は、試験終了後24週間に渡り維持された。より大規模な試験(これもNCCAMが資金を提供している)は、現在進行中である。

【安全性について】

・太極拳/気功に関しては、一般的には安全であると考えられている。しかしながら、妊娠中の女性/ヘルニア患者/関節に痛みがある人/腰痛症の人/骨折している人/重度の骨粗鬆症患者等は、かかりつけ医の指示に従うべきである。

・ヨガも、適切な指導者の指示の下で行う限りは安全であると考えられている。しかしながら、高血圧症/緑内障/坐骨神経痛/妊娠中の人等は、幾つかのポーズは避けた方が良い。

(2)マッサージ

【有効性について】

・2010年に発表されたシステムレビューでは、様々な方式のマッサージについて行われた6つの小規模臨床試験のデータを検討している。その結果として、マッサージは線維筋痛症に対し穏やかな/短期間の効果があるとしている。しかしながら同時に、全ての実験について、その方法に問題があるともしている。なので、線維筋痛症に対しマッサージが安全かつ有効な治療方法であるかどうかを判断するには、よりきちんとした臨床試験が必要であると結論付けている。

【安全性について】

・専門教育を受けた/経験の長い施術者が行う限り、マッサージは危険性が少ないとされている。しかしながら、特定の健康状態の人に対しては注意が必要である。

(3)鍼

【有効性について】


・2013年に発表されたコクランレビューでは、線維筋痛症に対する鍼治療の効果について、9つの臨床試験結果を纏めている。その結果、何も治療をしない/標準的な治療を行う場合に比べ、鍼治療によって痛みの緩和/筋緊張の緩和については穏やかな改善が見られるとしている。一方、疲労感/睡眠障害については、対照群(偽薬ならぬ偽鍼治療)と効果が余り変わらないとしている。但し、実験規模の小ささ/鍼治療の不均質性を理由に、それらの結果を強力に支持することは難しいともしている。

・2010年に発表されたシステムレビューでは、線維筋痛症に対する鍼治療の効果について調べた7つのランダム化臨床試験(被験者数:385名)のデータをまとめている。その結果、鍼治療には限定的な鎮痛効果があると報告している。しかしここでも、上記の効果は対照群(同じく偽鍼治療)と明確に区別することは出来ないとしている。そして、線維筋痛症に対する治療方法として鍼治療は推奨出来ないと結論付けている。

【安全性について】

・一般的に鍼治療は、経験の長い施術者が殺菌済みの鍼を用いて施術を行う限りは安全であると考えられている。鍼治療に関する医療事故は殆ど報告されていない。

・鍼治療による重大な副作用は極めて稀であるが、感染症/器官の損傷が発生する例がある。

・鍼治療に伴う副作用は、痛みを伴う筋骨格系の疾患(線維筋痛症/変形性関節症等)に対して為される標準的な薬物療法(抗炎症剤の使用/ステロイド剤の注射等)に比べると少ない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

変形性(膝)関節症とサプリメント

2014年05月25日 | 米国補完代替医療研究センター公開文書
【今朝の体組成】
体脂肪量  :
6.7kg
除脂肪体重:58.1kg
------------------------------
体重    :
64.8kg
体脂肪率 :10.3%

今朝は、本来ならばTRAP朝練で高槻山中でヒーヒー言わされているところだった筈ですが、幸福の不覚の二度寝で意識を取り戻したら7時でした。
そうは言っても天気は快晴だったので、罪滅ぼしで軽くLSDランに勤しみました。

【今日の朝稽古】
内容       :アフリカLSDラン
走行時間    :1時間03分51秒
走行時間    :11.6km(→
5分30秒/km
消費エネルギー:724kcal(→
62.4kcal/km

<月間累計>
・走行距離
 ラン :
183.3km
 バイク:366km

・消費エネルギー
 ラン :
12,161kcal
 バイク:8,242kcal
 合計 :
20,403kcal

あと134kmでバイクも500km/月超え、と思うと、ちょっと頑張ろうという気になります。
ランはあと17kmで200km/月超え。これは問題ないでしょう。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
NCCAM(米国補完代替医療研究センター)の一般向け文書が出ましたので、日本語化しました。
何度も取り上げられているネタですが、改めて「サプリは効かない」というのが結論みたいです。

吾輩の経験からすると、変形性膝関節症が顕著に見られるのは75歳以上の先輩方です。
変形性膝関節症対策として有効なのは
・痩せる
・運動で膝関節周囲の筋力を上げる
なのですが、はっきり言って後期高齢者にはこの2点は無理です。
だから、なってしまったら症状が著しく進行しないよう、だましだましやっていくしか無いのかな、と思います。

で、吾輩が言いたいのは「若い内に(有酸素)運動で痩せてね♪」ということです。
60歳代はちょっと厳しいかもしれませんが、50歳代はまだ間に合います。
脚が痛くて歩くのが辛いと言って、晩年を日長一日TVの前で過ごさざるを得ない、というのもつまらないですから。

変形性関節症とサプリメント
NCCAM Clinical Digest, May 2014


 アメリカ合衆国で2,700万人が患っていると推定されている変形性関節症は、高齢者で最も多い行動障害の原因である。加齢に肥満(主要なリスク要因)が加わると、変形性関節症の発症率は増大する。米国リウマチ学会が発行した治療ガイドラインでは、股関節/膝関節/手関節の変形性関節症について、
・有酸素運動 and/or 筋力トレーニング
・減量(肥満者の場合)
・薬物などを使用した治療
を推奨している。

 変形性関節症を患った人の多くが、痛みの緩和/機能の改善を目的として様々なサプリメントを服用していると報告されている。しかしながら、サプリメントが変形性関節症の症状/原因となっている疾患の改善に有効であるとする、合理的な証拠は報告されていない。本稿では、変形性関節症の患者によく利用されている幾つかのサプリメントについて、その科学的事実をまとめた。対象となっているサプリメントは、
・グルコサミン
・コンドロイチン(正しくはコンドロイチン硫酸)
・ジメチルスルホキシド(DMSO)
・メチルサルフォニルメタン(MSM)
・S-アデノシル-L-メチオニン(SAMe)
・ハーブ類
である。

(1)グルコサミン/コンドロイチン各単体&組み合わせ
 グルコサミンとコンドロイチンは、各々単体&組み合わせという形で摂取することにより、関節の健康状態を支持すると宣伝されている。そして、変形性関節症の治療に広く利用されている。しかしながら、それらが変形性関節症の痛み/関節の機能に対し、科学的に正しいと考えられる効果は認められないとする多くの研究結果が報告されている。2012年に米国リウマチ学会が、また2010年に米国整形外科学会がそれぞれ独立して発表した治療ガイドラインでは、変形性関節症の治療にグルコサミン/コンドロイチンを使用しないことを推奨している。国際変形性関節症研究学会(Osteoarthritis Research Society International)が2014年に発表した指針では、現時点では変形性膝関節症の治療にグルコサミン/コンドロイチンを用いることを肯定/推奨する研究結果は存在しないとしている。但し、その症状軽減に有効かどうかという点は不明としている。

有効性について


・2009年に報告されたコクランレビュー(25件の研究報告をまとめた)では、ある製薬会社(訳者注:社名は不明)が製造したグルコサミン製剤を用いた場合でのみ、関節の痛み/機能の改善が認められたと報告している。なお、他の製薬会社のグルコサミン製剤では効果が認められなかった。

・米国衛生研究所(NIH)が資金を提供した、「グルコサミン/コンドロイチンを用いた、関節炎に対する臨床試験(Glucosamin / chondroitin Arthritis Intervention Trial)」の結果をまとめた3件の報告では、グルコサミン/コンドロイチン硫酸/両者の組み合わせ/セレコクシブ(ファイザー社が製造する非ステロイド性消炎鎮痛剤「セレブレックス(日本ではセレコックス)」の有効成分)/プラシーボの効果を比較した。その結果、臨床試験(6ヶ月)終了時/試験終了2年後の時点に於いて、関節の痛み/機能について有意な違いは認められなかった。また、グルコサミン/コンドロイチン各々単体及び組み合わせての使用による、変形性関節症の進行(関節間隙の間隔で評価)を妨げる効果も認められなかった。

・2007年に報告されたメタ分析(20件の臨床試験結果をまとめた)では、股関節/膝関節で変形性関節症が発症した3,846名を被験者として、コンドロイチン/プラシーボを比較した。その結論は、「症状の改善という点では、コンドロイチンの効果は認められないか、あっても極く僅かである。従って、定期的な治療方法としてコンドロイチンを使用することは止めるべきである」であった。
 
・2010年に報告されたメタ分析(10件の臨床試験をまとめた)でも、股関節/膝関節で変形性関節症が発症した3,803名を被験者として、グルコサミン/コンドロイチンの効果を比較したが、結果は同様であった。結論として、グルコサミン/コンドロイチン各々単体及び組み合わせての使用によっても痛みは有意に軽減されないし、関節間隙も変化しなかった(比較対象はプラシーボ)。

・2014年に報告された二重盲検ランダム化臨床試験では、変形性膝関節症の患者605名を被験者とし、グルコサミン/コンドロイチン各々単体及び組み合わせの使用の効果をプラシーボと比較した。全ての試験群に於いて症状の改善が認められたが、その程度に差は認められなかった。なお、試験終了2年後の時点で、グルコサミン/コンドロイチンを組み合わせて使用した試験群に於いて関節間隙が極く僅か(統計的に有意なレベル)狭くなるという現象が認められた。

安全性について

 一般的には、グルコサミン/コンドロイチンは比較的安全であることが立証されており、指定の服用量を守る限り2年以上に渡って服用しても問題は無いとされている。但し、幾つかの特殊な場合においては、副作用発生の可能性/他の薬物との相互干渉を考慮する必要がある。

・グルコサミン/コンドロイチン各々単体及び組み合わせを3年間服用した場合では、重大な副作用は報告されていない(訳者注:3年間以上服用した試験結果が報告されていないと思われます)。

・但し、グルコサミン/コンドロイチンはワーファリン(抗凝固剤の1つ)と相互干渉する可能性がある。

・米国食品医薬品局(FDA)が実施した試験では、大量のグルコサミン塩酸塩をラットに経口投与すると軟骨の再生が促進される可能性が認められた。但し、同時に重篤な腎臓障害も発生することが確認されている。

(2)ジメチルスルホキシド(DMSO)とメチルサルフォニルメタン(MSM)
 これらは共に関節炎の治療に用いられているサプリメントである。しかし、これらが変形性関節症の症状に対し有効であることを示唆する科学的証拠は示されていない。

有効性について

・2011年に報告されたメタ分析では、DMSOの経皮投与/MSMの経口投与の変形性膝関節症に対する効果が検討されている。その結果は、それらがプラシーボと比較して痛みの軽減に有効ではないというものであった。

安全性について

・安全性に関するデータは少ないが、DMSOの経皮投与については幾つかの副作用例が報告されている。具体的な副作用の内容は、胃の不調/皮膚の炎症/ニンニク様の口臭・体臭がする、といったものである。

・MSMについても軽微な副作用が報告されている。具体的な内容は、アレルギー反応/胃の不調/皮膚での発赤、である。

(3)S-アデノシル-L-メチオニン(SAMe)
 SAMeは人体内でも生成される物質であり、サプリメントとしてよく摂取されている。但し、股関節/膝関節の変形性関節症に対しその使用を支持する科学的証拠は充分ではない。

有効性について


・2009年に報告されたシステムレビューでは、股関節/膝関節の変形性関節症に対し、SAMeの使用を肯定する科学的証拠は無いと結論付けている。レビューの著者によると、一部の研究では痛み/関節機能の改善に若干の効果があるとしているが、全ての研究でそのような現象が見られたわけではないとしている。

安全性について

・SAMeは一般的には安全と考えられている。

・普遍的に見られる副作用は、消化器系の不調/唇の渇き(ドライマウス)/頭痛/発汗/めまい/イライラ感の亢進等である。

(4)ハーブ類
 幾つかの研究報告では、ハーブ類の一部が変形性膝関節症の症状改善に有効な可能性があると示唆されているが、全体的にはその有効性を支持するには不充分である。更に、全てのハーブ類が研究されているわけでもないし、安定的に加工/調整されているのでもない。そして、ハーブ類が有効であるとする研究報告の結論についても、議論の余地が残されている。なお、ハーブ類を原料とするサプリメントについては、安全性に関するデータが不足気味でもある。

(a)アボカド/大豆の不けん化物
 アボカド/大豆の不けん化物(Avocado/Soybean Unsaponifiables)のサプリメントは、アドカド油/大豆油抽出物を原料としている。それらは、主に欧州において変形性関節症に対する効果が研究されている。

有効性について

・ASUについての研究報告2件をまとめた2009年のコクランレビューでは、痛み/関節機能を始め総合的評価として、ASUが有効であるとしている。

安全性について

・ASUの安全性に関するデータは不足している。

(b)その他のハーブ類を原料とするサプリメント

有効性について

・2009年のコクランレビューでは、柳の樹皮/カプサイシンの経皮投与/tipi tea(訳者注:これが何かわかりません)について、その使用を肯定する科学的証拠は乏しいと結論づけている。

安全性について

・ハーブ類を原料とするサプリメントについては、安全性に関するデータが不足している。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

治療目的のマッサージについて

2014年03月03日 | 米国補完代替医療研究センター公開文書
という、米国国立補完代替医療センターの文書を日本語化しました。

ご参考にして頂ければ幸いです。

理由は何であれ、マッサージ療法は継続して受けられることが大切です。
その為、弊堂では月会費制度を実施しております。
ご検討下さい。

米国国立補完代替医療センター文書:臨床ダイジェスト
治療目的のマッサージについて
Feb. 2014


 マッサージ療法の起源は数千年前に遡る。そして、その発祥の地は無数である。マッサージ療法に分類される手法は数多くあり、治療者が患者に加える力の強さも様々であれば、筋肉/柔組織の刺激方法も様々である。

 マッサージ療法の臨床効果に関する科学的研究は数多く為されている。その多くは予備実験レベルであり、結果も様々ではあるが、様々な症状に伴う痛み等の兆候に対する効果も数多く報告されている。例えば、うつ病性気分障害/がん/HIV・AIDS等の患者におけるQOLの向上や、腰痛の緩和にマッサージ療法が効果があることが立証されている。しかしながら、研究結果の多くにおいて、マッサージ療法の効果が短期的なものであることが示唆されているので、患者は継続してマッサージ療法を受ける必要がある。

 本文書では、複数の症状(痛み/がん/うつ病性気分障害等)に対するマッサージ療法の臨床効果について述べる。

(1)痛み
【研究結果】
・2008年に発表されたコクランレビュー及び2011年に米国国立補完代替医療センターが資金を提供して実施された臨床試験の結果から、マッサージ療法が慢性的な腰痛に対し有効である可能性が示された。米国内科学会/米国疼痛学会が共同で発表した臨床指針では、セルフケアで慢性腰痛/亜急性腰痛の症状が改善しない患者に対し、治療者が追加的な治療方法として、集中的・包括的リハビリテーションプログラム/運動療法/鍼治療/マッサージ療法/脊椎矯正/ヨガ/認知行動療法等を推奨している。

・2009年に米国国立補完代替医療センターが資金を提供して実施された臨床試験では、マッサージ療法が慢性の頚部痛に有効である可能性が示された。

・2012年に米国国立補完代替医療センターが資金を提供して実施された研究では、変形性膝関節症に伴う痛みに対しマッサージ療法が有効である可能性が示された。

・働く女性を対象としたある研究では、マッサージ療法によって痛みが緩和されると共に、他の疼痛緩和療法に対する満足度が増大するという結果が示された。ただし、2012年に発表されたレビューでは、その根拠は薄弱であると指摘されている。

・頭痛に対するマッサージ療法の効果に関する臨床試験は、現時点では予備実験レベルであり、その効果も一定でない。

(2)がん
【研究結果】
・数多くの系統的レビュー/臨床試験を通じ、少なくとも短期間なら、がん患者に対するマッサージ療法は痛みの緩和/リラクゼーションの促進/快方への気分転換に効果があることが示されている。

(3)うつ病性気分障害
【研究結果】
・2010年に発表された、17例の臨床試験結果をまとめたメタ分析は、マッサージ療法によってうつ病性気分障害の程度が軽減される可能性があると結論づけている。

・米国国立補完代替医療センターが資金を提供した予備的研究(2012年発表)では、うつ病性気分障害を発症した妊婦を対象に、ヨガ/マッサージ療法を2回/週×12週実施した結果を比較した(対照群には標準的な出生前ケアのみ実施)。その結果、ヨガ/マッサージ療法は、うつ病性気分障害の症状/不安感/腰痛/脚部痛の軽減に効果があった。また、ヨガ/マッサージ療法を受けた妊婦から出生した乳児は、対照群の妊婦から生まれた乳児に比べ、出生時の体重が重かった。しかしながら、2013年に発表されたコクランレビューによると、うつ病性気分障害を発症した妊婦に対しマッサージ療法を推奨する事を支持する科学的事実は無いと結論づけた。

(4)線維筋痛症
【研究結果】
・2010年に発表されたレビューによると、マッサージ療法により、線維筋痛症に伴う痛み/疲労感等の症状が一時的に改善される可能性があるとされている。しかし、その根拠は強力ではない。当該レビューの筆者らは、マッサージ療法によって痛みを発生させないことが大切であると指摘している。

(5)HIV/AIDS
【研究結果】
・2010年に発表された系統的レビューによると、4つの小規模な臨床試験の結果、マッサージ療法がHIV/AIDS患者のQOLを向上させる可能性があると結論づけている。

(6)その他の症状

 終了した/現在進行中の研究で得られた結果は、以下の事項に対しマッサージ療法が有効か否か結論付けるには不充分である。
・乳がんの助成に対する免疫機能
・心臓病の手術を受けた後の患者における不安感/痛みの改善
・糖尿病患者のQOLの向上/血中グルコース濃度の制御

<マッサージ療法の安全性>

 専門家によって適切に施術される限り、マッサージ療法には危険性が少ない。しかしながら、以下の状態にある人がマッサージ療法を受ける場合には注意が必要である。

・米国がん研究所はマッサージ施術者に対し、あるがん患者がマッサージ療法を希望する場合には特別な注意が必要であると共に、以下の部位にはマッサージ療法を避けるのが望ましいと警告している。
◯解放傷がある/出血している/皮膚が損傷している部位
◯腫瘍の発生部位
◯血管に血栓が出来ている部位
◯放射線治療後に敏感になっている部位

・出血に関する何らかの障害を患っている/血小板が少ない/抗凝血剤(ワーファリン等)を服用している等の患者に対しては、力強い/深部組織に対するマッサージは避けるのが望ましいと考えられている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

休むも芸の内/禁煙と補完代替医療

2014年01月23日 | 米国補完代替医療研究センター公開文書
今朝も脚に若干の違和感を覚えたので、ラントレーニングは休みました。
特に春先にレースは予定されていないからなぁ…、ってのも後押しになっています。
明日は寒さが少しマシになりそうなので、脚の調子が悪くなければ15km程度走るつもりはあります。

【今朝の体組成】
体脂肪量  =5.1kg(前日比
+0.1kg
除脂肪体重=55.9kg(前日比
+0.1kg
------------------------------
体重    =61.0kg(前日比
+0.2kg

やっぱり、体脂肪量が5kgを超えるとちょっと感覚に影響が出てきたみたいです。
ここから、走って体脂肪だけ落としたいです。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
久々の、米国国立補完代替医療研究センターのニュースレターです。

ラントレーニングしていると、歩き煙草の人が吐き出す煙の匂いが気になります。
「吸うな」とまでは言いませんが、不特定多数の人が存在する場所ではちょっと控えて欲しいです。
それが”大人のマナー”と思いますが。

禁煙と補完代替医療
Jan. 2014


 新年を迎え、「禁煙」を目標に立てた喫煙者も多いだろう。喫煙者の約2/3は禁煙したいと考え、約1/2は実際に禁煙に挑戦している。しかし米国疾病対策予防センター(CDC)の調査によると、禁煙に挑戦した人の大半は失敗に帰している。ただ、かかりつけ医からのアドバイス(個人面談/グループ面談/電話面談など)や禁煙薬の投与はある程度の効果があるとされている。

 最近では、禁煙に対する催眠療法/ヨガ/”気付きの瞑想”といった補完代替医療の手法への関心が高まっている。現在、予備的/非無作為化試験を通じ、それらにも一定の効果があることが示されている。ただ、心身療法が、既にその有効性が立証されている手法と同等の効果があると証明する研究結果は充分集まっていない。またサプリメントについては、S-アデノシル-L-メチオニン/酢酸銀/セントジョンズワートについて、タバコ依存治療における効果が研究されているが、天然物が禁煙率を向上させるといった結果は報告されていない。

 本文書では、幾つかの補完代替医療の手法について、その禁煙効果の有無に関する科学的事実を紹介する。

禁煙に関する補完代替医療の手法について知っておくべき5つの事実

 成人の喫煙者の約70%は禁煙したいと考えている。現代医学的な禁煙手法(カウンセリング/投薬等)を利用すると、禁煙の成功率は2~3倍となる。

 禁煙する為の手段として、補完代替医療の手法を試す人も見られる。以下では、禁煙に関する補完代替医療の手法について知っておくべき科学的事実について紹介する。

(1)幾つかの心身療法は禁煙に有効である可能性がある
 幾つかの心身療法(瞑想を基礎とした療法/ヨガ/誘導イメージ療法等)が喫煙本数/喫煙衝動の抑制に有効である可能性を示唆した研究結果は複数報告されている。

(2)その他の心身療法(鍼/催眠療法を含む)は、有効性を立証する研究結果が少ない
 2010年に発表された系統的レビューによると、催眠療法はその他18種の治療方法と同等に、禁煙に対し有効ではなかった。また、2011年に発表された系統的レビューによると、禁煙に対する鍼治療の効果は一定ではなかった。ただ、逆に云えば、実験の質/量は共に不十分なので、それらの治療法の有効性を否定するだけの結果も得られなかった。

(3)サプリメントが禁煙に有効とする研究結果は無い
 サプリメント(S-アデノシル-L-メチオニン/酢酸銀/※ロベリン/セントジョンズワート)の、禁煙に対する効果を調べた研究は幾つかあるが、それらでは有効性は立証されなかった。

※ロベリン:Lobeline。Lobelia inflataからの抽出物。呼吸興奮薬の一つ。禁煙補助剤としても使われるし、覚せい剤/コカイン等の薬物依存症の治療役として使われる場合もある。

(4)本文書で取り上げている心身療法については、健常人が適切に実践する限りは安全と思われる。
 健康上に何らかの問題がある人は、心身療法を実践する前にかかりつけ医/心身療法の指導者に相談するのが望ましい。

(5)サプリメントについては、「天然物(”natural”)」は必ずしも「安全」を意味しない
 副作用を発生させるサプリメントもあるし、他の医薬品/サプリメントと反応して副作用を発生させるものもある。特に、セントジョンズワートと反応する医薬品は多い。

禁煙に対する補完代替医療の手法:科学的事実について

(a)”気付きの瞑想”
 ”気付きの瞑想”とは、集中力/注意力を維持する能力を開発し、現在に対する注意力を高めることを目的とした心身療法である。催眠療法に不安感/抑うつ状態/慢性痛を緩和させる効果がある可能性を示す研究結果が報告されている。

<科学的事実の確からしさ>
 現在、”気付きの瞑想”の禁煙に対する効果を調べた無作為化試験の結果が複数報告されているが、それらを総合する限り、禁煙効果が立証された他の治療方法と同程度に効果があるとは認められていない。

<研究結果>
・2011年に報告された研究結果では、”気付きの瞑想”と標準的な行動療法を無作為化試験で比較しているが、それによると、”気付きの瞑想”を実践した被験者の禁煙成功率は、実験終了直後~17週間後で高かった。

・”気付きの瞑想”が喫煙者の前帯状皮質/前頭前皮質(”渇望”や自己制御を司る大脳の部位)に及ぼす影響について、機能的核磁気共鳴装置(fMRI)を用いて調べた研究結果が2つ報告されている。その内の1つでは、被験者の自己申告だが、”気付きの瞑想”によって煙草への渇望が減少した。更に、”気付きの瞑想”によって前帯状皮質の渇望に関連する部位の神経活動が減少したことがfMRIで確認された。もう1つの研究によると、瞑想を2週間(計5時間)行った結果、リラクゼーションのトレーニングを受けた対照群の被験者に比べ、喫煙量が有意に減少した。また、両群の被験者の脳をfMRIで調べた結果、瞑想を行った試験群の被験者では前帯状皮質/前頭前皮質の活性が増大していることが認められた。

<安全性>
・健常者が実践する限り、瞑想は安全と考えられている。

・心理状態に何らかの問題がある人が瞑想を実践した場合、何らかの悪影響が見られるという報告が稀に発表されている。ただ、詳しくは調査されていない。

(b)催眠療法

 催眠療法については、複数の症状(不安感/頭痛/禁煙/疼痛緩和/乳がん患者の火照り/過敏性腸症候群等)に対する効果が研究されている。

<研究結果>
・2010年のコクランレビューでは、催眠療法を始めとする18種の治療方法を調べた11の研究結果をまとめている。その結論は、6ヶ月間の治療後の禁煙率で評価する限り、催眠療法はその他の治療法と同等に効果が無いというものであった。また、催眠療法がカウンセリングより有効であるかどうかを結論づけるだけの結果は得られなかった。

・2012年に発表された、無作為化臨床試験のメタ分析によると、催眠療法/鍼治療/嫌悪療法は喫煙を節制する効果が認められた。しかし、対象となった臨床試験の被験者数は少なく、禁煙したかどうかは生化学的手段によっては確認されていない。

・2008年に実施された無作為化試験(被験者=喫煙者286名)の結果では、長期間の禁煙率については(催眠療法+ニコチンパッチ)≧(行動カウンセリング+ニコチンパッチ)であった。

<安全性>
・専門家の指導の下で実践する限り、催眠療法は安全と考えられている。

・自己催眠療法も、殆どの人に対しては安全と考えられている。自己催眠の結果、事故が発生したという報告は無い。

(c)ヨガ

 ヨガとは、古代インド哲学を起源とする心身療法である。典型的なヨガは、ポーズ(姿勢)/呼吸術/瞑想・リラクゼーションを組み合わせている。現在、ヨガ教室は数多くある。アメリカ/ヨーロッパで最も広く普及しているハタ・ヨガでは、ポーズ(”asana”)と呼吸法(”pranayama”)を強調している。ハタ・ヨガに含まれる流派には、イエンガー(Iyengar)/アシュタンガ(Ashtanga)/ヴィニ(Vini)/クンダリーニ(Kundalini)/ビクラム(Bikram)などがある。

<研究結果>
・2012年に発表された、米国国立補完代替医療研究センターが資金提供した研究では、禁煙に対するヨガの効果を調査した。その結果では、ヨガは女性の禁煙に有効な補完的手法である可能性が示唆された。

・2011年に発表された研究結果では、身体的活動(有酸素運動及びハタ・ヨガ)が煙草への渇望/禁煙に及ぼす効果を調査した。身体的活動を実践した被験者では、煙草への渇望が減少し、積極的な感情が増大する一方、否定的な感情が減退した。

<安全性>
・ヨガは一般的に低刺激であり、経験豊富な指導者の下で適切に実践する限り、健常者にとっては安全である。

・包括的に見る限り、ヨガを実践している人で何らかの副作用が発生する率は低い。また、ヨガによって重大な事故が発生する危険性は極めて低い。但し、何らかの麻痺/神経痛が発生する可能性は否定出来ない。

・妊婦及び何らかの症状(高血圧/緑内障/坐骨神経痛等)を患っている人は、特定のポーズを避ける/修正するのが望ましい。

(d)鍼治療

 「鍼治療」という単語は、広義には体表上の特定の部位を様々な技術を用いて刺激する方法を指す。最もよく科学的に研究されている方法は、細く固い金属製の針を皮膚を超えて刺入し、それを手/電気で刺激する方法である。

 アメリカ合衆国で鍼治療を受けている人は数百万人と推定されているが、その大半は慢性痛対策である。ただ、その治療効果は常に論議の的である(プラシーボ効果が否定出来ないから)。鍼治療の疼痛緩和効果については、複数の研究が進められている。

<研究結果>
・2011年に発表されたコクランレビューでは、鍼治療/指圧/レーザー療法/電気鍼治療等が禁煙に有効であると結論付けるだけの証拠は無いとされた。しかし逆に、その効果を明確に否定するだけの証拠も無いとされている。

<安全性>
・鍼治療による合併症については、施術を受けている人の数に比べると米国食品医薬品局(FDA)への報告例は比較的少ない。合併症が発生するのは、鍼の殺菌が不十分な場合/施術方法が不適切な場合である。

・施術方法が不適切な場合、感染症/器官の損傷といった重大な副作用が発生する危険性はある。

(e)太極拳

 太極拳は中国の武術を起源とし、「動く瞑想」と言われることもある。というのも、実践している人は、周囲に対する注意心を高め、深呼吸しつつ、身体をゆっくりと動かすからである。

<研究結果>
・2013年に発表された研究結果では、太極拳を実践することにより、煙草への依存/喫煙習慣を絶つことに対する意識が高まる効果がある可能性が指摘されている。

<安全性>
・一般的に太極拳は比較的安全である。妊婦/ヘルニア/関節痛/腰痛/骨折/重度の骨粗鬆症という人は、特定のポーズを修正する/避けるのが望ましい。







 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

認知症/アルツハイマー病に対するサプリメントの効果

2013年12月18日 | 米国補完代替医療研究センター公開文書
…という題の、米国国立補完代替医療研究センターのニュースレターを日本語化しました。
結論を言ってしまえば、「科学的に効くと断言できるサプリメントは無い」です。

そう言えば、先日は「G8認知症サミット」ってのも開催されていたなぁ、と思いつつ。

ご参考になれば幸いです。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
認知機能/認知症/アルツハイマー病に対するサプリメントの効果について
米国国立補完代替医療センター、Dec. 2013


 物忘れがひどくなったかどうか不安に思うことが、アルツハイマー病の初期徴候であるのは広く知られている。特に高齢者はこの点を心配に思いがちである。そのような方から、サプリメントの服用について質問される機会も多いだろう。というのも現在、様々な商品が記憶の増強/脳機能の改善を謳って販売されているからである。

 本稿では、認知機能/認知症/アルツハイマー病を対象に研究が進められている幾つかのサプリメントについて、その科学的事実を紹介する。また、ここで紹介する以外のサプリメントについても、認知機能の低下/アルツハイマー病に対する効果の有無が調べられている。更に、音楽療法/心的イメージ療法といった心身療法は、認知症に関連する幾つかの兆候への対処法として有効であることが示されているが、それらがケア提供者の受けるストレスの軽減に有効かどうかも調査が進められている。

(1)イチョウ葉エキス(Ginko)


【研究結果】

・米国国立補完代替医療センターと国立加齢研究所が資金を提供し、その特徴が解っているイチョウ葉エキス製品(EGb-761)を対象に大規模な臨床試験(「記憶/学習に対するイチョウ葉エキスの評価」)が実施された。その方法は、

被験者               :75歳以上のボランティア3,000名以上
摂取したイチョウ葉エキスの量:240mg/日
追跡調査期間          :平均で約6年間

であった。
 その結果、EGb-761は高齢者の認知症/アルツハイマー病の兆候を改善する効果は見られなかった。また、試験結果を精査した所、イチョウ葉エキスは認知機能の低下/血圧の低下/高血圧の改善などに対し有効ではなかった。

・国立加齢研究所が資金提供した小規模の試験で、記憶の増強に対するイチョウ葉エキスの効果が調べられた。その方法は、
被験者 :60歳以上の健常者200名
イチョウ葉エキスの摂取期間 :6週間
であった。
 その結果、記憶力の増強効果は認められなかった。

【安全性】

・イチョウ葉エキスの副作用としては、頭痛/吐き気/胃腸機能の不調/下痢/倦怠感/アレルギー反応の皮膚への表出等が挙げられる。また、より重篤なアレルギー反応も報告されている。

・イチョウ葉エキスが出血傾向を促進する可能性があるというデータも報告されている。なので、抗凝固剤を服用している人/出血障害を有する人/手術・歯科治療を受ける予定がある人などは、イチョウ葉エキスを服用する際は事前にかかりつけ医に相談することが望ましい。

・生の銀杏(イチョウの種子)は「イチョウ毒(”ginkgotoxin”)」という物質を大量に含有している。このイチョウ毒は、時として重篤な副作用を惹き起こす可能性がある。また、焼いたものも安全とは言い切れない。標準的なイチョウ葉抽出物から製造されたサプリメントにはこのイチョウ毒は殆ど含まれていないので、適量を経口摂取する分には問題無いと思われる。

(2)ω-3脂肪酸

【研究結果】

・現時点では、魚油のサプリメントがアルツハイマー病の治療に有効かどうか結論付けるだけの研究結果は得られていない。

【安全性】

・適量摂取を守っている限り、ω-3脂肪酸は成人にとって安全である。米国食品医薬品局(FDA)は魚油を原材料としたω-3サプリメントについて「一般的に安全であると認められる」と結論づけている。

・幾つかの種の魚から高濃度の水銀/殺菌剤/PCBが検出されたことを理由に、魚油を原材料としたサプリメントの安全性に対し疑問を呈する意見も見られる。しかしながら、魚油を原材料としたサプリメントからこれらの物質は検出されていない。

・魚油を原材料としたサプリメントを摂取した場合、軽度の胃腸の不調/下痢/胸焼け/消化不良/腹部膨満感が発生する可能性はある。

・魚油を大量に摂取した場合、特定の医薬品(抗凝血剤/高血圧治療薬など)と相互に反応する可能性がある。

(3)ビタミンB群

【研究結果】

・50歳以上の成人を対象とした短期間の臨床試験では、ビタミンB群の摂取で認知機能が改善するという結果は見られなかった。なお、この試験で調査対象となったのはビタミンB12/B6/葉酸であった。

【安全性】

・ビタミンB群の過剰摂取は健康上に何らかの問題を惹き起こす。更に、ビタミンB6は特定の医薬品と反応する。例えば、抗生物質シクロセリン(”cycloserine”)や 抗けいれん薬等は血中ビタミンB6濃度を下げる効果がある。また、ビタミンB12はメトホルミン/プロトンポンプ阻害薬/抗生物質クロラムフェニコール/H2受容体拮抗剤等と反応する可能性がある。

(4)朝鮮人参

【研究結果】

・朝鮮人参の効果/効能を決定的に支持する研究結果は無い

【安全性】

・推奨量を短期間摂取する分については、朝鮮人参は安全である。ただ、長期間摂取した場合については、副作用が発生する可能性が複数の研究結果で報告されている。

・朝鮮人参の服用により、血糖値が下がる可能性が示唆されている。これは糖尿病患者においてやや顕著である。従って、糖尿病患者が朝鮮人参を服用する際(特に血糖値を下げる薬を服用している場合)には注意が必要である。

・朝鮮人参の服用による代表的な副作用は頭痛/睡眠障害/胃腸の不調などである。

・朝鮮人参はアレルギー反応を惹き起こす可能性がある。

・朝鮮人参の服用により、乳房の圧痛/生理不順/高血圧などが発生するという報告もある。ただ、それらの研究で用いられたサプリメント製品の成分は分析されていないので、真の原因は不明である。

(5)ビタミンE

【研究結果】

・2012年に発表されたコクランレビューによると、ビタミンEがアルツハイマー病/軽度の認知機能低下に対し何らかの効果/効能があると認めるに足る臨床試験結果は報告されていない。

【安全性】

・食品を通じビタミンEを摂取することによる副作用の発生は認められていない。しかしながら動物実験では、α-トコフェノールを大量に摂取した場合、大出血/血液の凝固阻害が発生する可能性が認められた。また試験管レベルの実験では、ビタミンEの大量投与によって血小板の凝集が阻害された。

・最近報告された、「セレンとビタミンEの抗癌作用について」という臨床試験の結果によると、ビタミンEの服用(400 IU/日)によって前立腺がんの発生率が増大する可能性が示唆された。なお、追試は現在継続中である。

・ビタミンEのサプリメントは基本的に、幾つかの医薬品(抗凝固剤/抗凝集剤/シンバスタチン/ナイアシン)や化学療法/放射線療法と拮抗する可能性がある。

(6)ブドウ種子抽出物


【研究結果】

・ブドウ種子抽出物が認知機能低下/アルツハイマー病の予防/治療に有効かどうか結論付けるだけの科学的証拠は得られていない。

【安全性】

・経口摂取する限り、ブドウ種子抽出物は一般的に安全である。臨床試験の結果からは、8週間迄の服用は安全と認められる。

・これまで報告されている副作用としては、頭皮の乾燥・痒み/倦怠感/頭痛/高血圧/蕁麻疹/消化不良/吐き気等がある。

・ブドウ種子抽出物と他の医薬品/サプリメントとの相互作用については余り調べられていない。

(7)クルクミン


【研究結果】

・アルツハイマー病に対するクルクミンの効果/効能は立証されていない。

【安全性】

・クルクミンは、成人が服用する分には安全であると考えられている。但し、大量服用または長期間の服用により、消化不良/吐き気/下痢が発生する可能性が指摘されている。

・動物実験では、クルクミンを極めて大量に服用した場合、肝臓障害が発生することが確認された。人間については、クルクミンの服用による肝臓障害例は報告されていない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今日も休養/糖尿病と栄養補助食品

2013年11月22日 | 米国補完代替医療研究センター公開文書
主観的な体調はなんら問題なかったのですが、
・安静時心拍数が59拍/分と昨朝よりさらに高かった
・家事をしてたら時間が…
ということで、今朝も朝稽古を休みました。

今週(11月16日~22日)はテンポ走もロング走もしたし、73kmも走ったし、まいっか、ってとこです。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
久しぶりに米国補完代替医療研究センターのニュースレターを日本語化しました。

日本でも(糖尿病+糖尿病予備群)の方が全国民の27%に達したとか(厚生労働省 2011年国民健康・栄養調査報告)。
結論は、残念ながら栄養補助食品(サプリメント)が効くとは言えない、ってことです。

NCCAM(米国国立補完代替医療研究センター) Clinical Digest

糖尿病(タイプ2)と栄養補助食品
2013年11月


 糖尿病患者は数百万人に達している。糖尿病の治療がうまくいかないと、重大な病気が発症しかねない。糖尿病患者にとって役に立つと主張する数多くの栄養補助食品が流通している。それらについて医療関係者に尋ねる患者も多い。幾つかの栄養補助食品については、糖尿病(タイプ2)のコントロールに有効かどうか/重大な病気の発症リスクを低下出来るかという点について研究されている。しかし現時点では、否定的な結果しか報告されていない。西洋医学的な治療を受けること/健康的な生活習慣を実践すること(例えば、体重を毎日測定する等)といった事が、糖尿病の予防/病状のコントロール/進行の阻害に有効である。

 本稿では、幾つかの栄養食品に関し、糖尿病との関係について臨床試験の結果を紹介する。対象としているのは
・α-リポ酸
・クロミウム
・ハーブ系栄養補助食品
・マグネシウム
・ω-3脂肪酸
である。

 結論から先に述べると、いずれの栄養補助食品についても、糖尿病(タイプ2)の予防/コントロールという点で科学的な有効性を示していない。逆に、栄養補助食品の利用が腎臓病の発症と関連しているとする複数の例が報告されていることに注意を払うべきである。というのも、アメリカでは、糖尿病が慢性腎臓病の原因になるとされているからである。なので、既に腎臓障害が発生している/発生リスクが高い患者については、栄養補助食品の利用については慎重に監視すべきである。

【ミネラル類】
(1)マグネシウム
 マグネシウムは、人体によるグルコースの消費に関与し、多くの食品(非精製穀類、ナッツ類、緑黄色の葉物野菜等)に含まれている。マグネシウムの欠乏は糖尿病と関連がある。

<研究結果>
・マグネシウムが欠乏した状態での糖尿病のコントロールにおいて、マグネシウムの投与が有効であるとする臨床試験結果は報告されていない。
・2011年に発表されたメタ分析レポートでは、13の研究結果を対象に、マグネシウム摂取量と糖尿病の発症リスクとの関連を分析した。その結果、マグネシウム摂取量が少ない人で糖尿病が発症するリスクが高かった。
・上記のレポートで対象となった研究結果の内、2007年に行われた大規模な臨床試験では、穀物由来の食物繊維&マグネシウムの摂取量の多さと、糖尿病(タイプ2)の発症リスクの低さとの間に相関関係が認められた。具体的には、マグネシウムの含有量が多い食事を摂取している人では、糖尿病(タイプ2)の発症率が15%低かった。

<安全性>
・糖尿病患者に16週間に渡りマグネシウムを栄養補助食品として投与した際には、重篤な副作用は認められなかった。しかしながら、糖尿病患者がマグネシウムを栄養補助食品として長期間に渡り摂取した場合の安全性については確立していない。
・マグネシウムを大量摂取した場合、下痢や胃部の痙攣が発生する可能性がある。また、極めて大量(=5,000mg/日以上)に摂取した場合、死に至る可能性がある。
 
(2)クロミウム
 クロミウムは多くの食品に含まれる必須微量ミネラル類である。クロミウムの摂取量が極端に少ないと、グルコースを有効利用出来ない。

<研究の有効性>
・クロミウムと糖尿病予防/症状のコントロールの関係については、数多くの研究が実施されている。但しそれらの多くは規模が小さいか、内容について質的に問題がある。

<研究結果>
・研究結果(2007年の系統的レビューを含む)では、クロミウムの摂取が糖尿病の症状コントロール/進行リスクの低減に何らかの効果があるとは示されていない。

<安全性>
・栄養補助食品としてクロミウムを摂取した場合、胃痛/胃部膨満が発生する可能性がある。
・大量に摂取した場合、腎臓障害/筋肉に何らかの問題/皮膚反応が発生すると複数の研究結果で報告されている。

【ハーブ類及びその他の栄養補助食品】
 ハーブ系栄養補助食品が糖尿病の症状コントロールに役立つとする証拠は報告されていない。

(1)シナモン

<研究結果>
・糖尿病患者がシナモンを摂取した場合、特に効果もリスクも認められていない。2012年に報告された系統的レビューでは、10のランダム化比較試験の結果をまとめているが、それによると糖尿病(タイプ1&2)に対しシナモンを服用することを支持する結果は得られていない。

<安全性>
・ヨーロッパで普通に売られているシナモン/桂皮を調べた所、多くの商品にクマリンが含まれていた。クマリンは人によっては、肝臓病を発症/悪化させる可能性がある。さらに、抗凝血剤を服用している人がクマリンを含む食品を摂取するのは危険な場合がある。というのも、抗凝血剤とクマリンが反応した場合、出血する可能性が高まり得るからである。

(2)α-リポ酸
 α-リポ酸とは、栄養補助食品として販売されている抗酸化剤であり、一般の食品(レバー/ほうれん草/ブロッコリ/トマトなど)にも含まれている成分である。

<研究結果>
・2011年に実施された臨床試験(糖尿病患者467名を被験者とする)では、α-リポ酸を600mg/日投与した場合、糖尿病に伴う黄斑浮腫(かすみ目を伴う眼の症状)を予防できなかった。
・2011年に実施された臨床試験(糖尿病(タイプ2)患者102名を被験者とする)では、α-リポ酸/ビタミンEをそれぞれ単独/組み合わせて投与しても、血中コレステロール値/インスリン抵抗性は改善されなかった。

<安全性>
・α-リポ酸を過剰に服用した場合、吐き気/胃のムカつき/疲労感増大/不眠が発生する可能性がある。

(3)ω-3脂肪酸

<研究結果>
・2008年に報告された系統的レビューによると、糖尿病患者にω-3脂肪酸の栄養補助食品を投与しても、その血中糖濃度のコントロールには役に立たなかった。
・2012年に報告された研究結果(メタ分析+系統的レビュー)では、海産物/野菜類とω-3脂肪酸を組み合わせて摂取した場合と、糖尿病(タイプ2)の進行リスクの関係を調査した。その結果、それらの間には殆ど関係は認められなかった。

<安全性>
・ω-3脂肪酸の栄養補助食品には通常、負の副作用は無い。仮に発生したとしても、大抵の場合は消
 化器系の軽い不調(げっぷ/消化不良/下痢など)である。
・ω-3脂肪酸を摂取した場合、出血時間が延長する可能性がある。

(4)その他の栄養補助食品
<研究結果>
・現時点では、高麗人参/アメリカ人参を糖尿病の治療に用いることを支持する研究結果/臨床試験結果は報告されていない。

<安全性>
・糖尿病患者がハーブ系栄養補助食品を服用する際の安全性について、現時点で発表されている情報からは何らかの一般的な結論は導き出せない。
・ハーブ系栄養補助食品と糖尿病の処方薬との相互作用については充分に研究されてはおらず、健康上何らかの問題が発生する可能性は否定出来ない。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ω-3脂肪酸のサプリメントについて

2013年08月29日 | 米国補完代替医療研究センター公開文書
標記のニュースレターが、米国国立補完代替医療センターから発行されましたので、日本語化しました。ご参考まで。

日本人なら、青魚≒鰯を食べましょう、ってとこです。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
NCCAM臨床報告(2013年8月):ω-3脂肪酸について

 最近の研究で、ω-3脂肪酸と前立腺がんの発症リスクに何らかの関連があるらしいことが判明した、というニュースが発表された。ω-3脂肪酸は、アメリカで広く利用されているサプリメントの一つである。事実、2001年に報告された全国健康調査によると、天然物由来のサプリメント(=ビタミン/ミネラル類を除く)の中で成人に最も利用されたのは魚油(fish oil)/ω-3脂肪酸/DHAのサプリメントであった(児童でも第2位)。

 魚介類を摂取することが健康状態に何らかの好影響を与えているらしいとする研究結果は既に報告されているが、ω-3脂肪酸をサプリメントで摂取することが健康状態に及ぼす影響については余り明らかになっていない。例えば、ω-3脂肪酸と心臓病の関係について調べた複数の研究結果はバラバラだし、複数の研究データを纏めて分析した報告書(2012年発表)でも、ω-3脂肪酸が心臓病の予防に効果があると結論付けるだけの証拠は得られなかったとしている。

 ω-3脂肪酸がリューマチ性関節炎の症状を緩和するのに幾らかは役立つとする研究結果は複数報告されている。また、ω-3脂肪酸は加齢性黄斑変性症に対し有効である可能性も報告されている。ただ、その他の症状に対するω-3脂肪酸の効果についても研究はなされているが、何らかの結論は未だ得られていない。本文書の目的は、幾つかの症状(心臓病/リューマチ性関節炎/胎児・乳児の発育/眼・脳の病気など)に対するω-3脂肪酸の効果と安全性について、科学的事実を基にした情報を提供することである。

(1)心臓病

①科学的な証拠について
 心臓の健康状態を改善しうる食事には、ω-3脂肪酸を多く含む魚介類が含まれているべきである、という点について専門家の意見は一致している。しかしながら、ω-3脂肪酸をサプリメントによって摂取することが心臓病の予防に有効であるとする証拠は報告されていない。

②研究結果
<魚介類が豊富な食事について>
■30年以上前に実施された疫学調査によると、魚介類を多く摂取するイヌイットでは、循環器病による死亡率が比較的低いと報告されている。それ以来、魚介類と心臓病の関係について数多くの研究が為されている。それらの結果では、魚介類の摂取が心臓病に対し比較的有効であろうとされている。ただし、魚介類を最低週1回以上摂取する人の心臓病による死亡率が、魚介類を滅多に食べない/全く食べない人のそれに比べ低いと結論付けるだけの証拠は報告されていない。
■アメリカ人の為の食事ガイド(2010年版)によると、成人では一週間に240g以上の魚介類(=魚類+甲殻類)を摂取することが推奨されている。理由は、ω-3脂肪酸を含む多種多様な栄養成分を摂取するためである。また同ガイドには、推奨量の魚介類を摂取することは、心臓病による死亡率を低減させるのに有効であると記されている。

 <ω-3脂肪酸のサプリメントと心臓病の発症率>
 ω-3脂肪酸のサプリメントを摂取した人(=試験群)とそうでない人(=偽薬を投与された人、対照群)の間における、循環器症状(心臓発作/脳卒中など)の発生率/死亡率を比較した研究が為されている。
■これらの研究の被験者には、既に心臓病と診断された人が含まれている。ただ、幾つかの研究では、心臓病の発症歴が無い人も含まれている。
■研究結果はまちまちである。ω-3脂肪酸に(心臓病の)予防効果があると報告する研究もあれば、そうでないと報告する研究もある。
■2012年に2つの研究グループが、これ迄の研究結果を纏めるメタ分析を実施した。一つの研究グループは既に心臓病と診断された人を被験者とした研究結果のみを分析した。もう一方の研究グループは、心臓病と診断された人とそうでない人の両方を被験者とした研究結果を分析した。しかしどちらのグループも、ω-3脂肪酸に(心臓病の)予防効果があると結論付けるだけの証拠は見出だせなかった。

 <魚介類を摂取することと、心臓病の予防について解っていること>
■ω-3脂肪酸を豊富に含む魚介類を週に数回摂取することで、心臓を保護するのに充分な量のω-3脂肪酸が摂取出来ると目されている。但し、過剰摂取には要注意である。最近行われたメタ分析研究の結果では、魚介類を週に1~4人前摂取することで心臓病による死亡率が有意に減少することが明らかにされている。しかしながら、魚介類を週に5人前以上摂取しても(1~4人前摂取することに比べ)死亡率が更に有意に減少することは無い。
■食事を通じて定期的に魚介類を摂取するメリットには、ω-3脂肪酸以外の成分も寄与している可能性があるし、魚介類を摂取することで他の健康に良くない食品の摂取が抑制されている可能性も考えられる。
■更には、魚介類を定期的に摂取する人の生活様式は一般的に健康に良い場合が多く、それによって循環器病の発症率が抑制されていることも考えられる。

(2)リューマチ性関節炎

①科学的な証拠について
■リューマチ性関節炎の症状に対するω-3脂肪酸の効果については数多くの研究が為されている。

②研究結果
■2012年に報告された系統的レビューでは、魚介類/魚油に存在するω-3脂肪酸の一部には、リューマチ性関節炎の症状を若干緩和する効果があると結論づけられている。具体的には、魚油を摂取することにより、
・起床直後の筋緊張が短時間で解消する
・関節の腫脹/痛みが少ない
・抗炎症剤の摂取量が減る
と多くの被験者が報告している。

(3)乳幼児の発育
①科学的な証拠について
■乳幼児の発育(特に脳/眼の発育)に対するω-3脂肪酸の影響について、多くの研究が実施されている。

②研究結果
■適量のω-3脂肪酸(特にDHA)を妊娠期~授乳期に摂取することにより、乳幼児の健康状態が改善する事、特に脳/眼の発育に好影響を及ぼしている事を示唆する研究結果が複数報告されている。
■アメリカ人の為の食事ガイド(2010年版)では、妊娠/授乳期の女性は、多種多様な魚介類を240~360g/週摂取することが推奨されている(但し、水銀含有量が高いとされる魚介類は避けた方が良い)。

(4)脳及び眼の病気
①科学的な証拠について
 脳/眼の病気とω-3脂肪酸の関係に関する研究は現在進行中である。現時点では、何らかの結論を導き出すに足る証拠は報告されていない。

②研究結果
 DHAは脳/眼の機能発揮に於いて重要な役割を担っている。多種多様な脳/眼の症状の予防/治療に於けるω-3脂肪酸の役割について精力的に研究が進められている。
■眼については、加齢性黄斑変性症/ドライアイ症候群を対象に研究が進められている。特に加齢性黄斑変性症については、米国国立衛生研究所(NIH)が資金提供している大規模な研究(加齢に伴う眼病研究2、AREDS2)のテーマである。その結果では、(ビタミンC+ビタミンE+βカロチン+亜鉛)といったサプリメントの組み合わせにω-3脂肪酸を追加しても、効果が増強されることは無かった。
■脳神経系の症状(認知症/多発性硬化症)を対象とした研究も行われている。
■心理/行動上の症状(抑うつ性気分障害/注意欠陥多動性障害/自閉症/双極性気分障害/境界性人格障害/統合失調症)を対象とした研究も行われている。

(5)ω-3脂肪酸の安全性について

■ω-3脂肪酸のサプリメントは、適量を摂取している限り通常は副作用は発生しない。発生したとしても、大抵の場合は軽度の消化器系症状(げっぷ/消化不良/下痢など)である。
■魚類/甲殻類に対しアレルギー反応を示す人が、魚油のサプリメントを安全に摂取出来るかどうかについては、余り研究が為されていない。
■ω-3脂肪酸のサプリメントを摂取することにより、出血時に血液が凝固する迄の時間が延長する場合がある。血液の凝固に関する薬剤(抗凝固剤/非ステロイド性抗炎症剤等)を摂取している人は、ω-3脂肪酸のサプリメントを摂取するに当たり、事前にかかりつけ医に相談するべきである。
■魚(鱈など)の肝油は、魚油とは別物である。魚の肝油には、ω-3脂肪酸の他にビタミンA/Dが含まれている。これらのビタミンを過剰に摂取するのは有害である。魚の肝油に含まれているビタミン類の量は、製品間で異なる。
■アメリカ人の為の食事ガイドでは、妊娠/授乳期の女性は魚介類を240~360g/週摂取することが推奨されている。但し、胎児/乳幼児の神経系に障害を発生させ得る水銀を多く含む一部の魚類の摂取は避けるべきである。
■前立腺がんの発症リスクとDHAの関係については、対立する研究結果が報告されている。
・3つの大規模な研究結果では、ω-3脂肪酸/DHAサプリメントの摂取が、前立腺がんの発症リスクを高める可能性があると報告されている。2013年に報告された研究結果によると、血中のω-3脂肪酸濃度が高い男性では、前立腺がんの発症リスクが高いと示されている。また、2011年に報告された研究結果によると、血中のDHA濃度が高い(≒脂肪酸の摂取量が多いことを反映している)男性に於いて、高グレード(≒より進行した)の前立腺がんが発症するリスクが高いとされている。更に、それらより以前に報告された研究結果でも、血中のDHA濃度が高い男性で前立腺がん(高グレード/低グレード共に)の発症リスクが高まっているとされている。
・他方、複数の研究結果を纏めたデータ分析結果では、DHA供給源である魚介類を摂取することにより、前立腺がんでの死亡率が低下することが示されている。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

C型肝炎とサプリメント

2013年05月20日 | 米国補完代替医療研究センター公開文書
米国補完代替医療研究センターのニュースレターから転載します。原文(英語)はこちら

結論は「効くものは無い」です。溺れそうだからといって、藁を高値掴みしませんように。
第一、本当に効くんだったらサプリメントでなく、医薬品の認証を取得していますしね。

いつもいつも書きますが、こんなネタまで取り上げるところにアメリカの豊かさを感じます。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
C型肝炎とサプリメント

 C型肝炎(伝染性の肝臓病)はC型肝炎ウィルスが引き起こす病気である。既にC型肝炎に感染した人との間における血液感染が主で、稀に性的接触により感染する。感染した場合、通常は慢性化する。慢性C型肝炎の治療は、ウィルスの排除を目的とした薬物療法が主となる。それによって肝臓に対するダメージの進行が抑制される/停止する可能性があるが、同時に副作用が発生する例もあるし、中には薬物療法が無効な例も見られる。

 C型肝炎患者の中には補完代替医療を試みる者もおり、その多くはサプリメントの摂取を試みている。C型肝炎に対するサプリメントの効果を調べた研究は複数見られるし、かなりの人数のC型肝炎患者がサプリメントを試している。例えば、C型肝炎が原因である肝硬変の長期治療を受けている患者1,145名を対象とした調査(米国国立衛生研究所が支援)では、23%がサプリメントを服用していた。サプリメントの種類は様々であったが、最も普遍的に服用されていたのはシリマリン(マリアアザミからの抽出物)であった。但し、いずれのサプリメントも、C型肝炎に対する有効性は認められなかった。

 本文書では、マリアアザミ抽出物を始めとする様々なサプリメントについて、C型肝炎を対象に有効性と安全性に関する科学的事実に基づく情報を提供する。

マリアアザミ
 マリアアザミ(学名Silybum marianum)はキク科の植物である。シリマリン(Silymarin)はマリアアザミ抽出物に含まれる主要活性成分である。マリアアザミは16世紀以降のヨーロッパにおいて、肝臓障害/黄疸の治療に用いられている。アメリカ合衆国においても、シリマリンは肝臓障害を患う人が摂取するサプリメントの内、最も普遍的なものである。

●科学的証拠の確からしさ
 殆ど全ての研究結果では、C型肝炎に対するマリアアザミの有効性は認められなかった。

●研究結果について
・米国国立補完代替医療センター(NCCAM)と米国国立糖尿病/消化器病/腎臓病研究所(NIDDK)が資金提供した臨床試験(2012年実施)では、シリマリンの投与量を通常の2倍にしても、肝臓の損傷程度の指標となる酵素の血液中の濃度(肝臓が損傷していると高い)は対照群(プラシーボ)と差が見られなかった。具体的には、慢性C型肝炎に対する通常の抗ウィルス薬治療が有効でなかった154名を被験者とし、ランダムに
・シリマリンを700mg/回投与
・シリマリンを420mg/回投与
・プラシーボを投与
の3グループに分け、24週間に渡って3回/日投与した。臨床試験が終了した時点で、酵素の血中濃度を測定したが、グループ間で有意差は見られなかった。

・C型肝炎が原因である肝硬変の長期治療を受けている患者を対象とした調査の結果では、シリマリンの摂取によって症状が若干改善した/生活の質がいくらか向上したことが示唆されているが、同時に肝炎の症状/ウィルスの活性には変化が見られないことも報告されている。この調査を担当した研究者達は、この調査が遡及的研究(レトロスペクティブ研究)であることを強調している。なお、2012年に実施された上記の研究では、シリマリンの摂取によって患者の生活の質が向上したという結果は追認されていない。

・2009年に実施されたコクラン系統的レビューでは、アルコール摂取による肝臓病/B及びC型肝炎の患者を対象として、マリアアザミの有効性/有害性を評価しているが、それによると、マリアアザミの摂取を強力に支持する証拠は存在しないと結論づけている。

●安全性について
・肝臓病患者を対象とした臨床試験の結果からは、マリアアザミの摂取は一般的に問題無い事が示唆されている。

・副作用としては、緩下効果/吐き気/下痢/腹部膨満感及び痛み/場合によってはアレルギー反応が見られる。

・2010年に実施された、C型肝炎患者を対象としたシリマリンの研究(米国国立衛生研究所が資金提供)によると、副作用の発生頻度は、シリマリン摂取群/プラシーボ摂取群の間で差は見られなかった。しかしながら、この研究は規模が小さく、慢性C型肝炎患者を対象にシリマリンの摂取が安全であることを保証するものではない。

その他のサプリメント
 その他のサプリメントについても、C型肝炎との関係が調べられている。しかし結果としては、その有効性が明確に証明されたものはない。

プロビオティクス
 プロビオティクスとは、摂取することで健康上何らかの利益をもたらしうる微生物のことである。

●科学的証拠の確からしさ
 C型肝炎に対するプロビオティクスの効果について試験した研究例はごく僅かである。

●研究結果について
 プロビオティクスがC型肝炎患者にとって有益であるという明確な証拠は報告されていない。

●安全性について
 プロビオティクスの摂取による副作用は殆ど見られない。しかし、健康上何らかの重大な問題を抱えている人がプロビオティクスを摂取した場合、重大な副作用が発生したとする報告が複数発表されている。

亜鉛

●科学的証拠の確からしさ
 予備実験(その大半はアメリカ合衆国以外で実施)のレベルで、C型肝炎に対する亜鉛の効果を調べた研究が複数報告されている。

●研究結果について
・亜鉛を摂取することにより、C型肝炎に伴う亜鉛欠乏症などの症状が改善/低減する可能性が考えられるが、その可能性を支持する報告例は少ない。

・(ラクトフェリン+亜鉛)の組み合わせによる、C型肝炎の治療効果を調べた研究例が複数報告されている。それらからは、何らかの効果/安全性を結論づけるだけの証拠は得られなかった。

●安全性について
 適正な摂取量を守っている限り、亜鉛の摂取は一般的に安全と考えられている。但し、過剰摂取は有害となる。

グリシルリジン(もしくはグリシルリジン酸)
 グリシルリジンは甘草の根に含まれる化合物である。
 
●科学的証拠の確からしさ
 グリシルリジンをC型肝炎患者に投与した臨床試験例はほんの僅かしか無い。

●研究結果について
 現時点では、グリシルリジンがC型肝炎に対して有効であるとするに充分な証拠は無い。

●安全性について
 高血圧/腎臓障害/循環器病を患った経験のある人がグリシルリジン/甘草を大量に摂取するのは危険な場合がある。

銀コロイド
 銀コロイドとは、銀の微粒子が懸濁した液体のことである。銀コロイドは様々な病気(C型肝炎を含む)の治療効果があると宣伝されている。

●科学的証拠の確からしさ
 銀コロイドの治療効果を裏付ける科学的証拠は存在しない。そして、その服用による重大かつ不可逆的な副作用が報告されている。

●研究結果について
 現時点では、C型肝炎に対する銀コロイドの使用を支持する研究結果は報告されていない。

●安全性について
 銀コロイドは重大な副作用を引き起こすことで知られている。具体的には、銀沈着症と呼ばれる、皮膚に不可逆的な(≒永久的な)青みがかった変色をもたらす症状を引き起こす。

 
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする