つい昨日、常連客の一人がポツンと言った。
「僕、リストラ対象になっちゃってねぇ」
周りの人たちもびっくりしたような表情を見せる。
「今はどの会社も厳しいからね」
「会社ってのは、会社の都合だけで社員のクビを切るからねぇ」
「そんな会社なんか、さっさと辞めて、違う会社に勤めたほうがいいよ。あなたなら、どこだって勤められるよ」
みんな優しい! なんて感じさせてくれる場面だったに違いない。少なくともリストラを宣告された人にとっては。
本当に親切だったのかな? と思うのは僕だけではなかった。
みんな、彼に優しい言葉をかけながら、「このままじゃぁ、この人は人並みの生活なんて送れない」ことを確信していた。
彼が帰ったあと、みんなが言う。
「あの人は、かなり自己改造しないとどこへ行ったって嫌われ者だよ」
「零細だったらもうとっくにクビになってるのに、大企業ってのは何もできない人でも今まで残れたんだね」
「悪い人じゃないんだけどね。人と普通に付き合うってことができないからなぁ、彼は」
「尺度が違うんだな、あの人は。社会じゃ生きていけないよ」
「オレが社長だったら、もっと早く辞めさせていたと思うよ」
みんな無責任。親切そうに振舞うのではなく、彼に直接言ってやればいいじゃないか、と思う。
「そんなこと、可哀相で言えないよ」
本当に?
本当は気がついた事を言ってあげればいいじゃないか。
嫌われるかもしれないし、聞く耳を持たないかもしれない。
でも、言えばわかることもある。
言わなかったら、何にも変わらない。
言わずにわからないままいるより、きちんと言って分かってもらえなければそれまでのこと。
確かに彼は少し人と違う。
彼の会社の同僚たちも彼のことを嫌っている。
多分、仕事も与えられたことしかしない。
ゴルフもマージャンも、ギャンブルも、スポーツもしない。
友達も殆どいない。もちろん彼女もいないし、結婚もしていない。
政治の話や経済の話、芸能界の話、音楽の話、何もかもが普通の人と話し合うことなどできない。
スナックなど、行った事も無いという。
社会人として、欠陥だらけの人間なのだ。
でも悪意を持った人でもなければ、言葉使いが悪いわけでもない。
ただ、親の教育のせいか、社会性が皆無なのだ。
そんなこと、誰もがわかっている。
本人だけが分かっていないのだ。
教えてあげればいいと思う。
妙な優しさばかりが氾濫して、彼のためになることを言うなんてことはない。
本当の親切って一体なんだろう?
次回もこのことについて考えてみようと思う。
「僕、リストラ対象になっちゃってねぇ」
周りの人たちもびっくりしたような表情を見せる。
「今はどの会社も厳しいからね」
「会社ってのは、会社の都合だけで社員のクビを切るからねぇ」
「そんな会社なんか、さっさと辞めて、違う会社に勤めたほうがいいよ。あなたなら、どこだって勤められるよ」
みんな優しい! なんて感じさせてくれる場面だったに違いない。少なくともリストラを宣告された人にとっては。
本当に親切だったのかな? と思うのは僕だけではなかった。
みんな、彼に優しい言葉をかけながら、「このままじゃぁ、この人は人並みの生活なんて送れない」ことを確信していた。
彼が帰ったあと、みんなが言う。
「あの人は、かなり自己改造しないとどこへ行ったって嫌われ者だよ」
「零細だったらもうとっくにクビになってるのに、大企業ってのは何もできない人でも今まで残れたんだね」
「悪い人じゃないんだけどね。人と普通に付き合うってことができないからなぁ、彼は」
「尺度が違うんだな、あの人は。社会じゃ生きていけないよ」
「オレが社長だったら、もっと早く辞めさせていたと思うよ」
みんな無責任。親切そうに振舞うのではなく、彼に直接言ってやればいいじゃないか、と思う。
「そんなこと、可哀相で言えないよ」
本当に?
本当は気がついた事を言ってあげればいいじゃないか。
嫌われるかもしれないし、聞く耳を持たないかもしれない。
でも、言えばわかることもある。
言わなかったら、何にも変わらない。
言わずにわからないままいるより、きちんと言って分かってもらえなければそれまでのこと。
確かに彼は少し人と違う。
彼の会社の同僚たちも彼のことを嫌っている。
多分、仕事も与えられたことしかしない。
ゴルフもマージャンも、ギャンブルも、スポーツもしない。
友達も殆どいない。もちろん彼女もいないし、結婚もしていない。
政治の話や経済の話、芸能界の話、音楽の話、何もかもが普通の人と話し合うことなどできない。
スナックなど、行った事も無いという。
社会人として、欠陥だらけの人間なのだ。
でも悪意を持った人でもなければ、言葉使いが悪いわけでもない。
ただ、親の教育のせいか、社会性が皆無なのだ。
そんなこと、誰もがわかっている。
本人だけが分かっていないのだ。
教えてあげればいいと思う。
妙な優しさばかりが氾濫して、彼のためになることを言うなんてことはない。
本当の親切って一体なんだろう?
次回もこのことについて考えてみようと思う。