kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ペッピーノの百歩

2007年05月05日 | 洋画(良かった、面白かった、気に入った)
日時:4月29日
映画館:広島市映像文化ライブラリー
パンフレット:800円(イタリア映画祭傑作選のもの)

この邦題だと親子の情愛をテーマにした映画みたいだが、70年代なら「ジョルジョ・インパスタート ある青年活動家の記録」とか「怒りの百歩」といったタイトルがつきそうなバリバリの社会派映画。もはや、こういった映画はロードショー公開されないのか。

シチリアの一地方で、マフィア側の家に生まれた青年が社会主義に目覚め、ラジオ局を開局し、マフィアを徹底的にコケにし、糾弾する。しかし、世間の風当たりは強く、やがて・・・といったお話。とても「ペッピーノの百歩」なんて甘っちょろいタイトルからは想像できない内容。原題の百歩は、主人公の家とマフィアのボスの家の距離であり、それが両者の世界の隔たりを指している。

とはいえそこは2000年代。(映画自体は2000年の作品。)監督自身、インタビューで答えているように、何かを批判することを目的にしておらず、それぞれの明と暗を描いているため、物語が奥深く、登場人物にも感情移入がしやすい。(バリバリの左翼で声高に訴えるケン・ローチの作品はワタシは好きじゃない。)

マフィアというと殺人などの実力行使で日本の暴力団のようなイメージに近いが、実際には成り立ちや形態などが違うため、地域住民の関わり方や接し方もそれとは全く異なるようだ。

舞台が70年代ということもあって、アニマルズなどの曲がガンガンに流れ、スコセッシの映画を彷彿とさせる。こういった描写は70年代当時のイタリア映画ではなかったね。

最後の最後でこの話が実話だと紹介されるが、最初に「事実に基づく」などのテロップが入ったら、だいぶ映画に対する印象が違ったと思う。実話だと知って、ちょっとビックリした。

ところで、主人公が部屋に貼っているのは「24時間の情事」のポスター。なかなかカッコいいぞ。

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2 コメント

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ルイジ・ロ・カーショ (モリ・キチ)
2007-05-10 17:38:55
お気に入りの俳優です。「僕の瞳の光」の物静かなハイヤー運転手役が最高。本作品は結末が分かっているので重いところではありましたが3年ほど前の映画祭で見ました。放送局でペッピーノがマフィア達を揶揄するシーン、彼の仲間達が「続・夕陽」のコヨーテ・ボイスを熱唱!?勿論気が付かれましたね?これからもイタリア映画には頑張ってもらいたいです。
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気づかんかった (kamacci)
2007-05-12 10:30:18
今回のイタリア映画祭では「僕の瞳の光」ほかも上映されたのですが、全て仕事等で行くことが出来ませんでした。残念!

コヨーテ・ボイスは気付きませんでした。何たる不覚!
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