隠れ家-かけらの世界-

今日感じたこと、出会った人のこと、好きなこと、忘れたくないこと…。気ままに残していけたらいい。

誰と観ても「恥ずかしくない」芝居たち~井上ひさし氏の死

2010年04月13日 19時51分36秒 | 日記
2010年4月13日 (火)

 私の住んでいる街では桜の日々がそろそろ終わり、目に映る光景が一日ごとに変わっていく季節がやってきた。
 新しい緑が目に沁みる時は、いくつになっても気持ちが高ぶる。
 そういう季節の始まりに、井上ひさし氏の死の知らせが届いた。
 小説は『吉里吉里人』『手鎖心中』しか読んでいないが、2000年以降、舞台には何度か足を運んでいる。また、政治的な発言や行動も目にすることが多かった。
 スキャンダルにまみれたこともあり、ミーハー的に私生活や素の面に興味をもったこともあったけれど、最後はやはり舞台の人だった、私にとっての井上ひさし氏は。
 東京裁判三部作は最初の「夢の裂け目」を見逃しているのだが、今年の再演にも行けなかった。残念。
 覚えているだけで、
  「夢の泪」 「太鼓たたいて笛ふいて
  「小林一茶」  「箱根強羅ホテル
  「夢の痂」(ココにレビューまがいがあります)
  「ロマンス」(ココにも「レビューまがい」あり)
  「紙屋町さくらホテル
 などなど。
 最近はちょっと足が遠のいていたけど、どの作品もちゃんと記憶にある(なかには、観たことは覚えていても内容をすっかり忘れてしまっている作品もあるんで)。
 平易な日本語でこの国の政治家やある意味で国民の罪さえも描き訴え、その底に流れる一貫した思いを観客はそれぞれに背負うことができる。
 卓越したユーモア(出発点があの「ひょっこりひょうたん島」だったなんてね)、バランス感覚。
 誰を誘っても、観ていて「お互いに恥ずかしくならない」芝居。
 うまく言えないけど、また誤解されるかもしれないけれど、私にとってはそういう芝居だった。
 公演後、お酒でも飲みながら、ちゃんと語り合えたりする(なかには、うーん、という感じで話の糸口が見つからない芝居もあって、それはそれでおもしろいんだけど)。
 いつも感じたのは、観客の年齢層が高いなあということ。これから、ぜひぜい若い人たちにも観てもらいたい。
 まず理屈抜きにおもしろいのです。
 そしてわかりやすい。ただ、作者の真意を「私」自身が正確に受け止めていたかは疑問ですが。

 作家はいなくなったが作品が長く残る…。間違いなくそういう作家だと思う。私なんぞが言うまでもないことですが。

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