恋の歌なんて

■恋の歌なんて

五分待つだけでわかるのなら
恋の行方は案外　たやすい
だけど　気づくまでの時間が長すぎて
たいてい　季節をまたいでしまう
ひとつの意味がいくつにも姿を変えて
始まりがどこだったか　見えなくなる

あの日に拾った気持ちが　袋詰めにされて
どこかの店に並んでいるかもしれない
そうやって　恋は姿を変えて
いつか透明の衣をかぶる
消えゆく雲の流れになぞらえて
恋の歌はいくつも生まれるだろう

あの日の思いに　色を塗らずに
あなたまで　届けばいいのに
恋の歌なんて　なくても
衣を破って　飛んでいくだろう
恋の歌なんて　なくても
心は泣いて　笑うだろう