俳句日記/高橋信之

高橋信之(愛媛大学名誉教授・俳句雑誌「花冠」創刊者)

花冠6月号掲載の作品と後記

2009-04-06 15:15:39 | 花冠掲載の俳句
桜しべ降る
          高橋信之

花咲いて子ら喜びの歓声挙ぐ
軽くあり重くありさくら風に揺れ
 愛代句集『花の昼』出版記念会
花の昼大きな空がわが頭上
 回想
花らんまんの中より吾子の旅立てり
高きより降るもの多し桜しべ降る
花あしび花垂れて日を透かせいる
柿若葉きらきら白きみどりを弾き
子を抱きてつつじの咲ける坂上る
青空透かし欅若葉の拡がれり
この山に風吹き抜けて竹の秋


後記

★今日は四月十八日で、花冠の編集を終え、
後記を書いていますが、この頃には、花冠の
原稿を印刷所に送ることにしています。花冠
は、水煙を引き継ぎましたので、水煙三百号
と花冠六号をあわせると随分沢山の仕事をし
たことになります。句誌編集は、飽きること
の無い仕事で、私の好きな仕事の一つです。
蜜柑の花咲く初夏となれば、松山での編集を
懐かしく思い出します。少し開けた書斎の窓
から流れ来る花蜜柑の香に疲れを忘れます。
★今月の秀句は、巻頭の陽炎抄十句ですが、
これらの句の選について、正子先生が「選後
に」の文中で書かれていることに「私の場合
は、実際の句に触れて、常に、あたらしい発
見や価値が流動的に加わってきます。」とい
う文があります。虚子は「選は創作」と言い
ましたが、俳句や詩は、作者の手を離れ、読
者の手に渡れば、あたらしい命が吹き込まれ、
作品は、独自な道を歩んで成長します。自分
が生み、育てた子ども達の成長と同じで、作
者の手を離れた作品は、世の人々に受け入れ
られ、その人達によって大きく育てられるの
です。嬉しいことです。
★「一句鑑賞」は、月刊俳句界四月号の「花
冠広告」の中にある七句についての鑑賞で、
ネット句会での毎日の精進の結果が出ていま
す。それぞれの持ち味があって、短いが、と
ても充実したものです。毎号の連載となりま
すので、楽しみにしてください。
★川名ますみさんの「書評のページ」も毎号
の連載です。ますみさんは、長い病床生活を
続けられていますが、力のある俳句、力のあ
る文を書かれます。読み応えがあるのは、書
き手の内面の力によるもので、こちらが励ま
されます。良質の文学は、読み手に励ましを
与えてくれます。
★私の「句集の序」を載せていただきました
が、序文執筆のことをその末尾に書きました
ので、お読みいただければ、幸いです。句集
序文も四十冊の多くを数えることになり、一
区切りと致します。私の文学にとってのいい
勉強となりました。
★今月も「こどもの俳句」を掲載しています
が、六月六日(土)に全国こども俳句協会の
総会を横浜の神奈川近代文学館で開催いたし
ます。花冠同人の多くのご参加をお待ちして
います。こども俳句は、大人の私達にとって
のいい勉強になります。芭蕉の「俳諧は三尺
の童にさせよ」が思い起こされます。
★散策のいい季節になりました。戸外での嘱
目が楽しみです。月々の「花冠作品」や日々
のネット句会へのご投句をお待ちしています。
ご健吟を。           (信之)

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