俳句日記/高橋信之

高橋信之(愛媛大学名誉教授・俳句雑誌「花冠」創刊者)

花冠11月号掲載作品(2010年)

2010-09-25 13:25:54 | 今日の俳句

秋蝉
高橋信之

九月来て桜の幹のくろぐろと
子らの声聞きサルビアの青の濃し
秋茄子の紺を朝日が輝かす
菊苗の水吸い上げている勢い
朝顔の空へとのぼる青いくつも
台風過ぎ去って青空の雲が軽い
秋蝉鳴くその奥にまた秋蝉が正午(ひる)
秋天の青の深さと明るさと
秋の陽の傾きて影濃くなれり
秋蝶の低きを飛んで去りゆけり


●オンライン版俳句雑誌「花冠」11月号
http://blog.goo.ne.jp/kakan12/

十五夜ネット句会投句作品

2010-09-22 13:45:33 | 今日の俳句
★西へ傾く月のあしたが満月よ
月夜が明るい。西の空の月を見ながら、明日の中秋を思う。空気の澄んだ秋の夜の風情が醸し出されています。(高橋秀之)
ふと目覚めて、夜更けの空の明るさ。微かな虫の声と傾く大きな月。「あしたが満月よ」に清清しく大らかな秋を感じます。 (宮地祐子)

★樹の影の愁思の吾を入れて濃き
秋の日差しの強い時は、日当たりと日陰の対比が強く感じられる事がある。この景は木陰を物思いに耽りながら歩かれたものであろうか?秋の深まりゆく光景の中で、ふと感じる愁思の一瞬を捉えられた。(桑本栄太郎)

★天高ければもろもろの影深し


○十五夜ネット句会(月例ネット句会)入賞発表
http://blog.goo.ne.jp/kakan15/
○1997年11月7日に開設した<ネット句会>が今年で13年となる。長く続いたものだと思う。「細く長く」であった。
http://suien.ne.jp/0003/dk/

今日の俳句/9月10日

2010-09-10 14:03:58 | 今日の俳句
菊苗の水吸い上げている勢い
台風過ぎ去って青空の雲が軽い
秋蝉鳴いてその奥にまた鳴いて正午(ひる)
秋天の青よし地上の生きものに
秋天の青の深さと明るさと
正午(ひる)過ぎていよいよ眩し秋の晴れ
秋の陽の傾きて影濃くなれり
秋蝶の低きを飛んで去りゆけり
蟻が幾匹も這っている目的がある
風にはたはた幟が「実りの秋メニュー」
菊苗の葉の表情の生きいきと
秋蝉の鳴く山を背に空の青
秋天に今日充足の青を見る