家事塾ブログ~家のコトは生きるコト~

家事塾代表・辰巳渚の、講座日誌や家事エッセイ、お知らせなどを掲載します。

家事は自然に身につくもの?

2009年05月21日 | 「家事」ってなに?
今日は、目黒区の「子どもを伸ばすお手伝い」講座の日でした。
前日夜に、都内で新型インフルエンザの患者が見つかったとの報道に、「これは中止かな」と心配したのですが、無事、3回目を開くことができて、とても嬉しかったです。

どんな場所の、誰を対象とした講座でも、その都度楽しみで、そして緊張し、反省したり学んだりすることがあるものです。
この目黒区の講座は、毎回、行くのが楽しみな講座となりました。

今日の講義のあと、感想文のなかに、疑問や質問がありました。
ブログを見てくれている人とも共有したい内容でした。
長くなるけれども、ここで紹介しますね。

「家事とは、生活の中で自然に身につくものではなく、やはり技術として仕込むものなのでしょうか。であるとすると、親もその技術を持っていないと教えられないですね」

私は、生活技術や生活文化が、家庭で育つうちに、自然に身につくものではなくなったことに、現代の困難があると認識しています。
戦後の生活文化の激変が、戦後3世代経たいまに至って、家庭で自然に身につくこと、受け継ぐことを、家庭から失わせている。
それと同時に、家庭の仕事が電化されて、作業量としては減っていて、母親一人の手でもなんとかこなせる。

理想は「自然に」だけれど、「自然に」とは「何もしない」ということでないのではないかしら。
親が技術(とか、身体の動きとか、家事の流れとか、役割とか……)を意識しないでも身体が動くくらいに身につけている。それらを、やはり意識しないでも口うるさくしつけたり、子どもの手を当てにしたり、「子どもがすること」として組み込んでいて、自然に子どもに伝えている。

そんな自然にいろいろしている状態が、いいなあと思います。

私たちは、戦後から次の時代への橋渡しとして、あるいは明治以来の和魂洋才から(グローバリズムを凌駕するものとしての)ローカリズムへの自信を備えた者として、いま、意識的にいろいろなことをなすことで、「自然に」の生活文化を作り出す役割を持っている気がします。