広島の山

隠された古代史を明らかにする

京都・奈良・そして大阪 古代探訪の旅(2)

2014-09-11 17:29:10 | 歴史

この説話の骨子は次のようになろう。
(1)帝釈天に仕える牛頭天王は帝釈天の命によって、妻を求めて南海に行く。
(2)広遠国の巨旦大王は宿を断り、下女が、蘇民将来に宿を求めよとすすめる。
(3)東の広野の蘇民将来は宿を与え、宝船を与える。
(4)牛頭王は南海に着き、頗梨采女をめとる。 
(5)牛頭王は巨旦大王を殺し、呪文を与えて下女を助ける。
(6)牛頭王は蘇民将来に広遠国を与え、26の秘文を授ける。

ここで先ず(1)「帝釈天に仕える牛頭天王が、帝釈天の命によって妻を求めて南海に行く」というところを考えてみよう。
 (1)「帝釈天(インドラ)に仕える牛頭天王」というのは「ダゴン(インドラ)神に仕えるその息子のバアル神」である。 
また帝釈天は檀君桓因ともいうから、牛頭天王は桓雄である。ウガリット神話ではダゴンとバアルの親子が主題となっているが、『旧約聖書』では出エジプトのモーゼに牛の角があったとして、バアル神との関わりを示している。

(2)牛頭天王のバアルに宿を貸さなかった「巨旦大王」とはモーゼを受け入れなかったエリコの王ということになる。これは 
「バアル神と死の神モートの争い」をユダヤ人がモーゼとエリコの王という説話に書き換えたのである。

(3)「東の広野の蘇民将来」とは、ソロモンの神殿を建てたフェニキア人の王ツロのことである。
ここで説話の主人公は、モーゼからソロモンに移っているが、モーゼもソロモンもバアル神の代理人だからという理屈であろう。したがって「蘇民将来が与えた宝船」とは、フェニキア人がソロモン王に与えたタルシシ船である。
 蘇民の「蘇(ソ)」は朝鮮語で牛(ソ)を表すから、「蘇民将来」とは牛頭神バアルの一族、すなわちユダヤ人やフェニキア人のことである。 

(4)「牛頭王が南海に着いてハリサイ女をめとった」というのは、ソロモン王が、紅海の南方を支配したサバの女王ビルキースを娶ったということである。
サバビルキースのうちの バ・ル・ス がハリサイ(頗梨采)になったのである。 
(5)「牛頭王は巨旦大王を殺した」というのは、モーゼがエリコの王を殺したことで、コタン(巨旦)の「コ」がエリコの「コ」である。もともとエリコタンといったのであろう。

(6)「牛頭王は蘇民将来に広野国を与えた」というのは、ソロモン王のタルシシ船がマレー半島に到着して、バンチェンなどの周辺諸国に植民したことである。この時のタルシシ船とドラヴィダ水軍との争いが、ワニだまし説話(いなばの白ウサギ)になった。 

このように考えると、日本の蘇民将来説話は、ベドウィンの説話が下敷きになって、モーゼとソロモンに関するユダヤ人の説話と、マレー半島のワニだまし説話が合成されたことがわかる。

説話を伝えたのがフェニキア人だとすると、モーゼとソロモンがフェニキアの神バアルの代理人と書かれたことが理解できよう。

編者の吉備真備は孝霊天皇の皇子稚武彦命の子孫だから、東表国系、すなわち極東のオッフル人ということになるが、実際ユダヤ的あるいはアラビア的なキャラクターである。 

吉備は唐から天皇家の滅亡を予言する「野馬台詩」を伝えたほか「カンオシデ・モトウラツタエ」を増補注解した。このなかに、太占(ふとまに)をトウラ(トゥーラ)、天祖尊をアウワ(ヤーウェ)と書いてある。アウワは『ミカサフミ』にも書かれている。

さて『備後国風土記』の蘇民将来説話は『続日本紀』に引用されている。

【昔、武塔神が南海の神の娘の所へ夜這いに出かけたが、途中で日が暮れてしまった。
そこに蘇民将来と巨旦将来の兄弟がいて、武塔の神は一夜の宿を頼んだ。弟の巨旦将来は金持ちで家や蔵が100もあるのに惜しんで宿を貸さなかった。
兄の蘇民将来は、たいへん貧しかったが宿を貸した。栗殻で座るところを作り、栗飯をごちそうしたので、武塔の神は無事に出発することができた。

年月が流れ、武塔の神は南海の神の娘との間に8人の子をもうけて戻ってきた。
武塔の神は、兄の蘇民将来に再会して言った。
「弟の巨旦将来に報復しよう。お前の子が弟の家にいるか?」
蘇民将来の娘は弟の家に婦としてはべっていた。すると武塔の神は
「彼女に茅草で作った輪を腰につけさせよ」と言った。
武塔の神は、その夜、蘇民将来の娘一人を残して、弟の一族をことごとく殺してしまった。そして、
「わたしは速須佐雄の神なり。後の世に疫病があれば蘇民将来の子孫といって茅草の輪を腰につけよ。そうすれば疫病を
まぬがれるであろう」と言った。】

この説話で注目すべきことは、牛頭神バアルがスサノオの命になっていることである。
実際、祇園神社ではスサノオを牛頭天王と書いてあるから、スサノオのモデルが牛頭神バアルであることは間違いない。


最新の画像もっと見る