長尾景虎の戯言

読んだり聞いたりして面白かった物語やお噺等についてや感じたこと等を、その折々の気分で口調を変えて語っています。

山本一力著【晩秋の陰画(ネガフィルム)】

2018-09-15 15:29:38 | 本と雑誌

著者初の現代ミステリー。
予期せぬ事態が心の奥底に潜んでいた思いを炙り出す。
時代小説の名手が、不可思議な心のさまを描き切った。
表題含め四篇の短編集。
『晩秋の陰画(ネガフィルム)』
ひと仕事終えたある日の午後、装丁家の高倉俊介の元に、使用した形跡のある黒革張りの日記帳が届いた。
それはバイク事故で他界した、叔父であり仕事の師でもある尚平のものだった。
しかも日記は事故死した当日で終わっていた…。
『秒読み』
飛行機恐怖症の男が、ある日、香港旅行で同宿となった老人に、そのことを指摘され、怪しげな針治療に連れていかれたのだが…。
『冒険者たち』
利野伴忠(としのばんちゅう)は実は、フランスの俳優リノ・バンチュラからつけられた名前である。
子供の頃、父と見た「冒険者たち」という映画に魅了されていた…。
『内なる響き』
前田賢治は音楽評論社のオーナーである。
米田玄賽は「月刊オーディオ」特別編集顧問であり、賢治の片腕とも評してよい男である。
その玄賽が突然行方をくらました…。
著者と現代ミステリーはミスマッチだと思うが、なかなかやるなぁと感心させられた。
『冒険者たち』と『内なる響き』は、取りようによってはミステリーというより、人情話とも受け取れるのだが…。
それに、「それゆえ」とか時折、時代劇口調にもなったりして、一力節は不変ってとこですかね?

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