今日、いつも通っているカイロに行ったら、N先生が、「足が痛くて触れないぐらいひどい症状で松葉杖で来た患者さんがいて、どうしようかと思ったけれど、ある一か所を正しい位置に戻したら、ほかのすべての症状が消えて奇蹟みたいに直って松葉杖なしに元気そうに帰って行ったよ・・・」とアライメントの大事さを教えて下さいました。
アライメント(alignment)という単語をバレエや解剖学で使います。
日本語にすると一列に並ぶ・整列する・・・などになりますが、あまりうまく概念が伝わらない感じです。
バレエのための解剖学を勉強したことのある人は知っておられるでしょうが、実は各関節や背骨のアライメントが正しくない状態で踊ることは、整備不良の車で高速走行するようなものなのです。
ねじられた筋肉や関節からは本来のパワーが出ず、いいパフォーマンスができないばかりか、最悪の場合、事故(怪我)につながります。
本人に爽快感もありませんし、筋肉が疲労しやすく回復も早くないので、疲れた・・と感じます。
日本全国のバレエ教室でよく見かける、股関節から得られていない、正しくないTurn-outは、アライメントを無視することから始まります。・・・というより、ほとんどの場合、正しいアライメントの概念が無い・・と言った方が正確かもしれません。
バレエのポジションを取るときに、足先だけを外に向けることは、下肢全体にねじりを生み、筋肉は本来の力を発揮できず、また、下肢をねじったことによる各関節や背骨への影響を受けて上半身に不自然な緊張が現れ、背骨の理想的なカーブや重心のコントロールを失い、体全体の調和が損なわれます。
その状態では音楽のタイミングにシンクロナイズ(同調)できず、首にテンションがかかるため呼吸も浅く、表現力にさえも制限がでてきますし、怪我に対してハイリスクです。
これは、まるで一つ嘘をついたら、つじつまを合わせるために嘘にウソを重ねる羽目になるのと似ています。それは大変な労力を使い、ストレスを抱え込むが、その苦労に見合う幸せ感はない・・そういう状態に似たものです。
反対に正しいTurn-outを得た場合は各部位のアライメントは崩れることなく、重心のコントロールは容易で、上半身は優雅に、体全体を使ったコーディネーションが可能となります。
調和があるとそのパフォーマンスはシンプルで美しく、観客の印象もポジティブになりますし、本人も踊っていて楽しいのです。怪我のリスクも減ります。
自然界にあるものは調和して生きています。宇宙の法則を体現しているのです。
そして調和のある優雅さを感じさせるものを「美しい」と人間は感じるのです。
バレエも自然界のような美しさを体現できるようになれば、もっと素晴らしいのに・・・ぶつぶつ・・・・