歌舞伎学会事務局

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書籍紹介『歌舞伎―研究と批評』創刊号

2013-01-21 14:57:47 | 書籍紹介
『歌舞伎―研究と批評―』創刊号は、昭和63年(1988年)8月8日に、リブロポートより出版されました。
多くの学術団体の学会誌は会員のみに配付され一般の目に触れる機会が少ないのですが、開かれた学会を目指していた歌舞伎学会の学会誌は、創刊当初から全国の書店で一般発売される形で発行されています。

巻頭には、「歌舞伎学会の歩み」でも紹介しました設立総会での木下順二氏の講演「歌舞伎とドラマ」が収録されており、劇作家の目から、非論理的な台詞を持つ歌舞伎と、論理的な台詞で構築されるヨーロッパの古典劇とを比較することで歌舞伎台本の特質を照らし出す「雑談」は、現在の歌舞伎研究にも大きな示唆を与えてくれています。

特集「現代歌舞伎の問題点」には、学会創立以前の昭和61年(1986年)9月に行われた分科会「歌舞伎を考える会」でのシンポジウムが載録されているほか、1月から4月の舞台批評、作品研究、翻刻、座談会と、まさに「研究と批評」のタイトルに恥じない充実した内容になっています。この時の座談会「新しい歌舞伎史を求めて」は、創刊号を第一回として第12号まで続けられ、創立十周年を記念して出版された『歌舞伎の歴史―新しい視点と展望』(平成10年・雄山閣出版)にまとめられました。





現在と大きく異なっているのは、八頁にわたる舞台写真が掲載されている点。
ほんの一例↓↓


手元に置いていて惜しくない一冊ですが、残念ながら販売用在庫は事務局でも品切れです。
ご興味を持たれた方は、どうぞ図書館等でご参照ください。