歌舞伎学会事務局

歌舞伎学会の活動を広報します.

「演劇の証言 山田洋次氏に聞く」(2016年7月16日)

2017-07-12 13:48:30 | 企画報告
本年の夏期企画を今週末7月16日(日)に控えておりますが、それを直前にして、昨年、同じ日付にて開催しました夏期企画のレポートをアップいたします。

昨年の夏期企画は、50周年を迎えた国立劇場の伝統芸能情報館レクチャー室にて、映画監督の山田洋次氏に歌舞伎との関わりについてお話をうかがいました。



司会の犬丸治氏のご挨拶のあと、まずは、山田監督が撮られた作品の中から、歌舞伎俳優の出演シーンをご自身の編集・解説にてたっぷり見せていただきました。



「男はつらいよ」の嵐寛寿郎、十三代目仁左衛門から、「ダウンタウン・ヒーローズ」の橋之助・芝翫親子、「学校Ⅱ」の富十郎、「たそがれ清兵衛」の梅雀、「母べえ」の梅之助、「武士の一分」の三津五郎、そして、シネマ歌舞伎の勘三郎まで…。



様々な出演シーンを楽しんだ後に、聞き手の上村以和於氏も加わって対談形式でお話をうかがいました。



最初は、やはりシネマ歌舞伎を撮影する際のさまざまな工夫についてお聞きしました。カメラの配置、撮り方だけでなく、作品の見せ方において、台本から演出まで、監督と勘三郎さんを中心に、現場では様々なディスカッションがあったことを知るのは大変興味深いものでした。

その後、山田監督の作品に出演のあった歌舞伎俳優の方との様々なエピソードについて語られました。特に「武士の一分」での十代目坂東三津五郎さんの配役は、若妻を犯す敵役なのですが、そういう役にこそ魅力的な色気が欲しいという気持ちで監督自らオファーされたところ、随分悩んでご出演を決められたというお話が印象的でした。

また、橋之助さん(現八代目芝翫)主演の「ダウンタウン・ヒーローズ」のラストシーンに、滅多に映画に出演しない七代目芝翫さんが出演されているのも、監督の思いつきで依頼されたとのこと。貴重な出演であるともに、ワンシーンでもその顔を見せることで物語る歌舞伎俳優の特性を生かした使い方だと感じられます。

上村氏からの歌舞伎俳優を映画に使うことの利点ついての質問に、山田監督は「説明できない色気」であると答えられました。さきほどの話の三津五郎さんはもちろん、「学校Ⅱ」で甲高い声で叱る校長先生を演じた十代目中村富十郎さんにも、とても色気を感じるということ。「それはハッキリとは表現できませんが、子どもの頃から育ってきた世界が作り出すものかもしれない」とおっしゃっていました。



さらに、撮ってみたいと思っている作品や、企画まで立ち上がって実現不可になった案のほか、ご参加の皆様からの質問にもお答えいただき、本当に充実した二時間となりました。

(事務局N)



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「演劇の証言・竹本駒之助師に聞く」(2015年7月18日)

2016-07-14 15:44:59 | 企画報告
2016年の夏期企画が今週末に控えておりますが、本日は、前年2015年に開催されました夏期企画をレポートいたします。

昨年の夏期企画は「演劇の証言・竹本駒之助師に聞く」と題しまして、国立能楽堂大会議室に女流義太夫の人間国宝・駒之助師匠をお迎えしました。


開演を待つ会場には歌舞伎学会会員の皆様の他、義太夫ファン、女義ファンの方々、そして一際目を引くお弟子さん達のお姿。
資料とともに配られた沢山のチラシが、駒之助さんが牽引されてきた女流義太夫の隆盛を物語っています。



駒之助さんの登壇を前にして、まずはVTRで『一谷嫩軍記・林住家の段』をじっくりと聞かせてもらいました。聞く者の腹にも染みわたるようなずっしりと響く語りに圧倒されます。
その後に登場された駒之助さんは、軽やかな夏のお着物に、お多福をあしらった帯を締められた洒脱な装いで、聞き手の濱口久仁子さんのインタビューに答えながら、幼少期の思い出から語り出されました。



昭和十年九月、浄瑠璃が盛んな淡路島に生まれた女の子が、自然に息をするかのように義太夫節と出会い、その才能を見いだされて十五歳で大阪に出て、女流義太夫の竹本春駒師匠の内弟子となり、義太夫の道を究めて行く様が、まるで一篇の映画を見るように目に浮かんできます。
その師匠は女義にとどまらず、十代目豊竹若太夫、四代目竹本越路太夫にも入門され、小松太夫や土佐太夫、岡太夫といった個性的な師匠達とのエピソードを聞いていると、時間が経つのを忘れるほどでした。

最後に質問に立たれた内山美樹子先生が、駒之助さんの語りで忠臣蔵の「お軽」が鮮やか浮かび上がった思い出を話され、駒之助さんの「芸の華」を堪能する二時間の締めくくりとなりました。



ちょっとした手振りでも目をひきます。

最後にお多福の帯を見せて下さいました。

〈事務局N〉
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歌舞伎学会秋季大会のご報告

2015-02-15 15:23:17 | 企画報告
歌舞伎学会では、昨年12月13日(土)・14(日)の両日にわたり、東京女子大学に於きまして、2014年度秋季大会を開催いたしました。
当日は寒いながらも天気に恵まれ、第一日目は56名、二日目には91名と、会員のみならず非会員の方にも多数ご参加をいただき、盛会のうちに幕を閉じることができました。

研究発表は、江戸時代から近現代まで、様々なテーマでの発表が並び、それぞれのコメンテーターの解説に加え、来場者からも活発な質疑応答が行われました。

開催地にほど近い吉祥寺所縁の「前進座」をテーマとした二日目の大会企画では、まずは前進座の立役・嵐圭史氏にご登壇いただき、「前進座歌舞伎と歴史劇」と題したトークと、木下順二作「平家物語による群読『知盛』より」と題した朗読を行っていただきました。

圭史氏の『平家物語』の朗読は新潮CDにもなっていますが、ライブで聞く朗読は、それはそれは迫力満点で、知盛入水の場面が鮮やかに目に見えるようでした。休憩時間には、御自身の書籍に、その場でサインをして下さるサービスもあり、講演に魅了された来場者の長蛇の列ができていました。

休憩後には、シンポジウム「戦後歌舞伎と前進座」が行われました。
吉祥寺に幼少の頃からお住まいの原道生氏のお話では、吉祥寺の地図をもとに、通われていた小学校の校舎などの写真を見つつ、近くにあった前進座住宅のことや前進座学校巡演の「アリババ物語」の思い出、さらに研究者になられてからの稽古場見学のことなども語って下さいました。

昭和29年から昭和63年までの三十四年間、前進座の制作に関わられてきた小池章太郎氏は、昭和三十年代の前進座名コンビ、四代目河原崎長十郎と三代目中村翫右衛門の、個性的な芸の表裏を語って下さいました。幕内にいた方にしか分からないエピソードの数々は、舞台姿を直接知っている方はもちろん、知らない者にとっても大変興味深いものでした。

次にお話し下さった渡辺保氏は、まずは企画タイトルである「戦後歌舞伎」をどう定義するかという点を論じられた上で、御自身が観劇された前進座の歌舞伎演目を、所謂大歌舞伎と見比べ、相撲の星取表よろしく白黒つけた結果を発表され、『五大力恋緎』や『心謎解色糸』など、江戸後期の生世話物に圧倒的な存在感を持つ前進座歌舞伎の特徴を明らかにされました。

司会の犬丸治氏は、これまでの前進座の歩みを、「創成期」「全国巡演期」「翫右衛門・長十郎期」「国太郎・梅之助期」など、現在までを七期に分けて整理した資料を用意してくださり、パネリストの話を理解する手助けをして下さいました。


フリートークでは、やはり昭和三十年代の翫右衛門・長十郎のことが話題の中心となり、中国での公演の際の二人の激突や、芸質の違いからくる必然的な確執から長十郎の脱退に至るまでが詳細に理解できる有意義なシンポジウムとなりました。

ご来場下さった皆様をはじめ、発表者や講演者の方々、会場をお貸し下さった東京女子大学の皆様、企画調整段階からご尽力いただきました運営委員の方々にこの場を借りましてお礼申し上げます。
本年も、夏の企画、年末の秋季大会に向けて準備を進めておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

(事務局N)


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