絵本やおはなしをつくるとき、願うことがあります。それは、わたしの書いた物語の「おしまい」が、読んでくれた誰かさんにとって、すてきなできごとの「はじまりはじまり~!」になりますように…ということです。
たとえてみれば、こんなこと。
本を読んだ子、あるいは読んでもらった子が、あるとき、あるおはなしの、ある場面を思いだし、ふと、まねをしてみたくなる。
くちびるをつきだして、タコタコ星人のダンスなんかをソロソロユラーリ、おどけておどってみたりする。
すると、よっぱらって帰宅した父ちゃんが、わけもわからずまねをして、オカンムリの母ちゃんがふきだして、ふたりはアレレ、いつのまにやらナカナオリ…なんてことになったらば、それはもう、作者のあずかり知らぬ物語の「はじまりはじまり~!」になるのです。
わたしの書いたおはなしは印刷されて、何千何万、一字一句もたがわない本の形になりますが、それを読んでくれた方たちの、その後の現実世界のできごとは、唯一無二の物語。
いったいどんな物語が、はじまるのかな? いえいえ、わたしがなにを書こうとも、なんにもはじまりやしないかな? それは神のみぞ知る境地。
できれば、わたしのおはなしのおしまいが、読者のみなさんの幸せなひとときのはじまりになりますようにと願わずにはいられません。
そこでわたし、とろりとろりと考えました。自作の本からひろがる、いろんなあそび。
クイズ・まねっこ・なりきり、ゲーム。歌や手あそび、楽器あそび。お絵かきごっこ、親子で工作タイムも、おもしろそう…。
小さな読者さんから大きな読者さんまで楽しめちゃうあそびをと、欲ばる作者が、じつは、いちばんあそんでいるのかも?
これまで、読みがたりをメインに、おはなしライブを年に数回催しました。
これからは、もっとおはなしあそびを取り入れて、さらに楽しいイベントにしていきたいな。自治体からのお声がけで、子育て応援事業にも参加の予定。
かつて、わたしが保育士だったころ、「子どもとどんなふうにあそべばいいの?」と悩むママさんたちに出会いました。
子どもも大人もハッピーになれちゃう時間を、絵本やおはなしの世界をとおして、お届けできたらうれしいです。原稿も、ちゃーんと書きつつ、母親業も、どうにかこうにか、こなしつつ。
■京都新聞 2007年12月18日 丹波ワイド版 口丹随想掲載