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『火と汐』 松本清張

2013年02月04日 22時58分00秒 | ■読書
「松本清張」の推理小説集『火と汐』を読みました。


神と野獣の日疑惑に続き「松本清張」作品です。

-----story-------------
夏の京都で、男と大文字見物を楽しんでいた人妻が失踪した。
その日、夫は、三宅島へのヨットレースに挑んでいたが……。
本格推理の醍醐味。
『火と汐』『証言の森』『種族同盟』『山』収録。
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「松本清張」作品って、次々と読みたくなる魅力を備えていますよね。

本書には以下の四篇が収録されています。

 ■火と汐
 ■証言の森
 ■種族同盟
 ■山



『火と汐』は、アリバイ崩しモノ。

「美弥子」は、夫の三宅島ヨットレース参加中に、夫の大学時代の友人「曾根晋吉」と京都で大文字見物を楽しんでいたが、突然失踪、、、

その後、東京の「曾根晋吉」自宅近辺の雑木林から絞殺死体として発見された。

当然、「曾根晋吉」が容疑者として浮かぶが、彼の行動は、犯人としては不自然な点があり、刑事の「神代(くましろ)」「東」は完璧なアリバイのある夫「芝村」に容疑を向ける、、、

「芝村」は、ヨットレース中にパートナーを事故で失っており、その事故にも不審な点があることから、益々疑惑が強まり… 二人の刑事の地道な捜査により、真相が明らかになります。


『証言の森』は、昭和13年の東京(中野?)を舞台に、夫の留守中に自宅で絞殺された妻の死の真相に迫る物語。

当初から警察は夫「青座村次」を容疑者と決めつけて捜査を進め、物的証拠が少ない中、自白による解決を目指しますが、取調べでの「青座村次」の証言は二転三転… 何が真実なのか、何が嘘なのか、最後の最後までわかりませんでした。

他にも殺害の機会があった人物もありましたが、結果的には状況証拠と本人の犯行自供により有罪… 戦時下にあって、懲役を科せられることは徴兵を免れるということ、、、

当時は複雑な状況にあっただけに、偽証により有罪になるということも、選択肢として考えてしまうかもしれませんよね。

そんな時代は嫌ですねぇ。


『種族同盟』は、強盗・強姦・殺人事件の容疑者を冤罪から救った(はずの)弁護士の活躍と、その後の悲劇を綴った物語。

国選弁護士の大活躍により、容疑者を無罪放免にする… という展開が、先日読了した『疑惑』と似通っていましたね。

その後、無罪となった容疑者「阿仁連平」を、雑役夫として弁護士事務所に雇い入れるのですが、次第にその本性が明らかになり、本人の口から事件の真相が語られ… そして、怖ろしい結末が待っていました。

内容は全く異なりますが、正義感に溢れ、人助けをしたはずの弁護士の身が危うくなるところも疑惑と似通っていましたね。

こちらもこわ~いエンディングでした。


『山』は、会社の金を使い込みして逃亡中の男が、潜伏(逗留?)先の温泉近くの山中で資産家の秘密を知ったことから、運命が変わる物語。

ただし、あまりに身勝手な行動から、上手くはいかないんですけどね。



昭和42年から昭和43年にかけて発表された作品ですが、現在でも面白く読めますねぇ。

背景は昭和の匂いをプンプン感じさせますが、内容は現代にも通じる感じです… 読んでいると、人間不信になりそうですけどね。




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