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JUN SOUNDSYSTEM 公式BLOG

JUN SOUNDSYSTEMの音楽活動ブログ。自作曲、YOU TUBE、好きな音楽、お酒、旅、ダイエットなどなど。

【名盤】影響を受けた音楽をうすーくディスクレビューする【紹介】System of a down/MEZMERIZE

2020-12-01 19:14:07 | 名盤紹介

JUN SOUNDSYSTEMが影響を受けた私的名盤をうすーく語る。
主に若かりし頃に沢山聴いた音楽を紹介していきます。
System of a down/MEZMERIZE システム・オブ・ア・ダウン/メズマライズ


何しろボーカルのサージ・タンキアンが好きで彼の別ユニット「セラート」も買いました。

Serart - Track 3 - Devil's Wedding + Lyrics


彼らをご存知でない方にさらっと紹介だけ。システム・オブ・ア・ダウンはアメリカのアルメニア人コミニティから
生まれたバンドで、サージの変幻自在のボーカル、メタルを根底とした地響きのようなサウンドが魅力です。

そこにアルメニア音階が加わって、初めて聴く方は戸惑うかもしれませんが、他のバンドとは一線も二線も画すような
オリジナリティ溢れる面白い音を鳴らしていると思います。

まぁ前作「毒性」の大成功及び、このアルバムは全米ビルボードチャート1位を獲得したし、今さら説明するのも
不粋なのですが。本作は良い意味で今まで一番ポップなアルバム。
このアルバムをきっかけにファンになった人も多いでしょうね。

今までの彼らからは想像の付かない打ち込み音の導入により、ゴジラがメカゴジラになったような衝撃。
ただ前作までの獣のような荒々しさがなくなっていかにもメジャーなマスタリング、ギターリフがよりメタリックに
なったせいもあってナタが柳刃になったような鋭利さとシャープ感。

System Of A Down - Revenga


それがここまでの聴きやすさを引き出したとも言えますが、それに加えてギターのダロンとのツインボーカルが
主になってきているので、賛否が分かれるところかなぁと思います。
                        
僕が初めてこのバンドを知ったのはMTVのオズフェスト(元ブラック・サバス、オジー・オズボーン主催)でしたが、当時は
ラップ・メタル隆盛期だったせいもあり、ほとんどのバンドが忘れ去られていく中、やっぱりいいバンドはブーム云々じゃなく
生き残るなぁと感じた類稀なるバンドです。

System Of A Down - Sugar (Official Video)


双子的なアルバム「HYPNOTIZE」もリリースされましたが、両方含めて1つと見なしました。

System Of A Down - Question! (Official Video)


作品的にはこちらの「MEZMERIZE」のほうが良い出来かと思います。トータルでは「毒性」が一番かな。



System Of A Down - Toxicity (Official Video)




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【名盤】影響を受けた音楽をうすーくディスクレビューする【紹介】Mamalaid rag/Mamalaid rag2

2020-12-01 17:24:18 | 名盤紹介

JUN SOUNDSYSTEMが影響を受けた私的名盤をうすーく語る。
主に若かりし頃に沢山聴いた音楽を紹介していきます。
Mamalaid rag/Mamalaid rag2 ママレイド・ラグ/ママレイド・ラグ2


当時タワーレコード新宿店で買えばインストア・イベント参加チケットが手に入ったのにと悔しい思いをした一枚。
まぁ、そんなことはどうでもいいんです。というわけで、ママレイド・ラグの2ndです。
                          
前作から4年。待ちましたねぇ。その間にミニアルバムがリリースされたりして、惑わされもしましたが
「どうしてもフル・アルバムで聴きたい!」という訳の分からない理屈で敢えて買うのは避けてきました。
                          
ひとくちに4年と言ってもコンスタンスに音源は出しているし、どこかの誰かとは違って引きこもってたわけ
ではなさそうですが(岡村さんは9年ですが・・・)当時のCD屋の店頭で「1年ぶりとなるニューアルバム!」なんて
ポップに書かれているのを見るのはザラなので、やはりリリースペースはゆったり目ですね。

ママレイド ラグ 田中拡邦 インタビュー 2002年 self liner notes 「MAMALAID RAG」特集

                          
営利第1のレコード会社としてはどうなんでしょう。ただ彼らの場合、「有機ポップス」と言われるぐらい、
ハンドメイド感溢れる「陶芸家」的丁寧な音作りが魅力的ですし、本来音楽製作にかける時間としては、むしろ自然な
量だとも思います。当然、贅沢を言ってればキリがないですが、「作曲家がいて、アレンジャーがいて」という世界とは違い、
彼らは作編曲をこなすバンドであるし、その上、当時、ドラムの人が脱退+残るメンバー2人が宅録にのめり込むという
「時間かかるループ」に入った影響も多かれ少なかれあったのかも。

なにぶん自分の話で恐縮なの ですが、宅録はやってるとキリがありません。僕のレベルでさえ、あれはどうだこれはどうだと
試行錯誤し、 ボーカル録りだけで気付くとスタジオに5時間居たとかザラなんですよねぇ。

参考にもならないので、話は戻しまして、確かに流行の音楽はコロコロ変わっていきます。でも全人類の共通キーワード
であろう 「ポップ」を求める気持ちは、やはり揺ぎ無いものがあると言えます。MAMALAID RAGのペースで、その「ポップ」を
突き詰めた結果がこのアルバムとなったのでしょう。

では、まず簡単に彼らの紹介から。メンバーは佐賀出身の2人組。 元々、共にビートルズのコピーバンドをやっており、
その影響の大きさは今作でも至る所で窺い知ることが出来ます。そしてシングル「春雨道中」でメジャー・デビュー。

ママレイド ラグ 2002年 ライブ映像「春雨道中」


僕もこの曲で彼らを知ったのですが、何と言ってもいきなりサビから始まり、日本語とその醸し出す情景を大事にする詞世界、
和洋折衷なメロディ。大瀧詠一を思わせるやや線の細いボーカル。品の良さがありつつも、ロック・バンドのダイナミックさも
兼ね備えているので即座にCDを買い求めたのを覚えています。

大瀧詠一 君は天然色

                          
友達に聞かせた途端、「うわ!ビートルズじゃん!」って言ってたのも印象深いですねぇ。

で、まず彼らの特徴として挙げられるのは、難解なコード進行をポップに響かせるという要素かと思います。
かといって、 他多くの「捻くれポップス」と呼ばれる部類ほど意図的、形式的(捻くれてるって事自体がもはや
形式的なような気がします。)ではなく、耳に残るのに単調にならず奥ゆかしさがある程よいポップのさじ加減。

それと1stからブルースやボサを絡めてきたり、今作ではジャム・セッション、はたまたヴィブラホンを使った
ジャズ・インストを収録したりと、フットワークの軽さ、それらを凌駕してポップスを形成してしまう裏打ちされたセンス。
                          
定型をなぞることは出来れど、上手く混ざってないというか消化しきれてないと感じてしまう音楽は多々あるかと
思いますが(この場合、僕は違った意味でのイージー・リスニング過ぎると感じてしまいます。)その点MAMALAID RAGは
マニアックさを感じさせつつも、柔らかくポップで聴きごたえのある音楽に仕上げていると思います。

やはり1stの時からそれぞれの楽器の鳴り方から、要所要所で楽器に歌わせたりと見事なまでの完成度と演奏と声の
一体感を感じていましたが、楽器1つとっても、物凄いこだわり持っているのが容易に察しがつきます。

夜汽車 ライブ 2002年 / MAMALAID RAG


またボーカルの田中さんは、富田ラボの楽曲にゲストボーカルとして呼ばれているのもあり、ラボさんの多彩な音楽性から
今作での彼の創作にスパイスになったかもと想像しています。

冨田ラボ - アタタカイ雨 feat. 田中拡邦(MAMALAID RAG)


と・・・ やたら長文書きましたが、とりあえず過去の4年間に温存されたシングル曲、人気曲が目白押し。
全編通して聴いても前作よりかなりスケール・アップ&4年間の凝縮音源がたっぷり入った新作です。

ただ、中間の数曲があってオリジナル・アルバム然としてますが、やはり聴いてみた印象だと「カレンダー」「レイン」
「ふたりで目覚めたら」「銀の爪」「そばにいたい」「きみの瞳の中に」「消えた恋」どれもシングル・クオリティorシングルの
既発音源ですし、なかば 「グレイテスト・ヒッツだな。これは。」と感じました。それくらい充実した内容ですが、
いきなりこれを出されれば「凄過ぎる!」ってなりますが、言わば4年間小出ししてきた集大成とも取れるので、
ほぼ全部揃えてるコアなファンな方にはどうなんでしょう?中途半端に持ってた自分には嬉しい限りなんですが。

ミックスが違ったりヴァージョン違いでもあるので、 ファンの方も納得ですかね。 
                          
あぁ・・・なんか一番大事な曲自体についてほとんど触れないまま書き終えてしまった気がしま す・・・。当時ドコモ
九州のCMソングに起用されたとかそういう話もあるんですけど・・・。これ以上長いと読むのもダルそうなので控えます。

[CM] NTT Docomo 九州 FOMA 「そばにいたい」篇




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【名盤】影響を受けた音楽をうすーくディスクレビューする【紹介】Tom waits/Rain dogs

2020-12-01 16:44:20 | 名盤紹介

JUN SOUNDSYSTEMが影響を受けた私的名盤をうすーく語る。
主に若かりし頃に沢山聴いた音楽を紹介していきます。
Tom waits/Rain dogs トム・ウェイツ/レイン・ドッグス


トム・ウェイツという人は、過去、自分の中で「役者」というイメージが強くて、CDもリリースしてるらしいけど
「副業っていうか片手間でしょ?」程度にしか考えていなかったのが本当のところです。
                          
でも、ちょっとした店なら仕切り板にも名前がきっちりあるし、ここまでメジャーなら人気の理由を探るべく一度は
耳を通してみたい。でも、かつての幾多の俳優兼アーティストに魅力を感じなかった経験から、やっぱり訝しく思う
気持ちが先行してた矢先に、このアルバムをアマゾンの980円セール で見つけました。

他のサイトでもやたら喝采を受けてるし、「そんなにすごいの?」と、便乗というか興味本位で試聴したのが最後、
彼の音楽を今まで知らなかった事が悔しく思えて仕方なくなりました。 
                          
そもそも思い間違いをしていたのは自分の方で彼は元々生粋のシンガーソングライター。10年ほどのキャリアと
数枚のアルバムを発表した後、かの映画監督フランシス・コッポラから「ワン・フロム・ ザ・ハート」という作品の
スコア制作依頼を受けます。それを機に、映画音楽~俳優としての銀幕デビュー。

Tom Waits & Crystal Gayle - One From The Heart (1982) [FULL ALBUM]


映画界でも評価を受け、現在に至るというわけです。もともとの音楽というか初期の頃の作品はわりと時代性も
あってかフォーキーなものが多く、自分の理解力では、さほどピンとは来ないのですが、代表曲と呼ばれるものも多く、
若いフレッシュなトム・ウェイツの声と、スタンダードな演奏が味わえます。

Tom Waits - "Ol' '55"

                          
のちに激渋声に変わるところはブルース・スプリングスティーンと似てるところがありますね。
 
Bruce Springsteen - The River (The River Tour, Tempe 1980)


話は戻りまして、このアルバムは彼がいくつかの映画音楽制作を通過した後、85年に発表されたのですが、
これがまた物凄く面白い。意図的にチューニングを狂わせたかのようなギター、破れたようなドラム、ウッドベースの
ような重みのある低音、バンジョー、マリンバ、オルガン、トロンボーン。そしてシェイクスピアの演劇のような大雨のSE。

Tom Waits - Clap Hands music video


ロック、R&B、ブルース、ジャズ、はたまたポルカのような音楽までが混沌と一枚に凝縮されています。
聴いてると、幾度となくどこの国の音楽だか分からない不思議な瞬間に襲われるし、リズム1つ取ってみても、
言い表せない異様さがあって、音から浮ぶイメージを音像と言うのは言葉として間違っているのかもしれないけれど、
閉鎖して寂れた遊園地のテントの中で薄汚れたピエロの楽団が演奏してるような薄気味悪さ。あとは古いキャバレーと
深夜の裏路地を行ったり来たりするような。経験した事はないのだけれど、そんな退廃的なムードが漂っています。

Tom Waits - Rain Dogs


一言で「アヴァンギャルド」と片付けてしまうには、メロディがやたらと耳に残る。つまり、ポップなんですよね。
高度な実験精神と、ジャンルや国境をマッハのスピードで飛び越え独自の形にしたようなサウンド。
そういう意味では、まさに異形のポップアルバムと言えると思います。

それにしても、このアルバムに収録されている名曲と名高い「タイム」が、むしろ耳障りが良すぎて浮いてしまう
くらい他の曲の印象が濃い。「なぜこの中に?」 とも思いましたが、繰り返し聞いてるうちに非正常の中に正常が
入り込むことで、張り詰めた緊張感が解けるような気分になることに気が付きました。
全体として異様になり過ぎず、まだ現実との接点もあるように感じるのも、この曲のおかげと言えるのかもしれません。

Tom Waits - Time


さ、アレンジ面ばかりの話になりましたが、トム・ウェイツのボーカル。これも特筆に価するもので、時に怪しく、
時に盛りのついた獣のように野性的。年季と煙草とアルコールで焼けたであろうしゃがれた渋さがあるのに、クールで
知性すら感じます。

Big Black Mariah Tom Waits


この編曲の世界観に、この存在感のある特異な声。声はもっとも情報量の多い楽器だといいますが、
彼の歌声を聞くと、その話も納得がいきますし、やはり好きな声には本能的に反応するのでしょうかね。
俳優として評価されるだけあって表現力にも長け、鬼気迫るものがあります。

また重要な追記としては、ゲストとして、ローリング・ストーンズのキース・リチャードや、ロカビリーの大物、
またはジャズとパンクを融合させた俗称「フェイク・ジャズ」のラウンジ・リザー ズの中心メンバーが参加しています。

これだけ豪華なだけあって、彼らによって創作意欲が沸いたり、いいスパイスになったことも大きいのかもしれませんが、
それにしたって音からここまで心地良かれ逆に不快であれ、「映像」が浮んだ作品に出会ったことはありませんでした。
やはり映像と音楽のコラボレーションを経験し突き詰めた人間が作ったからこそ、一感からのみで、これだけのインパクトと
想像力を掻き立てる作品が出来上がったのでしょうね。

昔から流行の音楽なんて興味がなかったという彼だけあってレトロさもある、この異空間のような本盤を気に入るか
どうかも、その人次第。ぜひ聴いてみてください。 

最後に結びとして、異性より同性のアーティストに惹かれるというのは、音楽を聞く全ての人に言える事だと、
個人的には思ってるのですが、彼の音楽を 好んで聴くのも、ここまで長文になってしまったのも、多かれ少なかれ
自分が同性として「こうなりたい」という 「憧れ」を持っているからなのかもしれません。

【名盤】影響を受けた音楽をうすーくディスクレビューする【紹介】John zorn/Naked city

2020-11-30 21:10:25 | 名盤紹介

JUN SOUNDSYSTEMが影響を受けた私的名盤をうすーく語る。
主に若かりし頃に沢山聴いた音楽を紹介していきます。
John zorn/Naked city ジョン・ゾーン/ネイキッド・シティ



あふりらんぽのレビューでも触れたTZADIKというレーベルを主宰するジョン・ゾーンの代表作と名高い90年の作品。
HMVのサイトでたまたまセールで安くなってたのも手伝って、彼が手掛けた映画音楽集「フィルム・ワークス」を試聴して
みたところ、そのエキゾチックな雰囲気にすっかり嵌ってしまい、とりあえず代表作をと手に取ってみたのが始まりです。

John Zorn - Zhakor (vocal) [Filmworks XIV - Hiding and Seeking]

                    
通常、レビューはその人自身の人となりやキャリアに触れることからはじめるべきなのでしょうが、数十年もの音楽家人生を
持つ彼の歴史や足跡を事細かに説明できるほどの知識は残念ながら僕にはないし、彼と共演、共作したり、関わった人達が
どれくらい偉大かも良く分からないレベルです。知ったようなつもりの文章書くためにウェブで調べるだけでも膨大な時間が
かかるのは間違いない人物なので、そういう類の話は専門家の方や、精通なさってる方に託すとして、スムーズに内容に
ついての言及に移ろうと思います。

ちなみに彼の生き様は参考になること間違いなしなので興味ある方は是非どうぞ。 精神論も含めて。
                    

で、まず目を引くのはそのジャケット。男性の死体と彼を死に至らしめたと思しきリボルバー。ジョン・ゾーンの場合、
各種プロジェクト作品のアートワークはグロいものも多いです。なぜか学生時代に学校の図書室にあった死体だけをまとめた
写真集を怖いもの見たさで開いた時と、その後の重い気分をまさか大人になってからも味わうとは・・・といった感じです。
CDを開けるとこれま たグロい漫画が・・・。丸尾末広さんという方の書いた絵のようですね。



漫画喫茶で興味本位に読んだホラー漫画を思い出します。でも、彼が音楽に求めるものだったり、打ち出すイメージとは
こういうものなんでしょう。確かにヴァイオレンスを感じる演奏を聴かせてくれます。同時にいまだ知られていない
日本の文化をもっと世界に発信すべきという姿勢には脱帽です。

また話が逸れ気味なので、手っ取り早く内容を説明すると、世に言うフリー・ジャズ、アヴァンギャルド・ジャズ、
ハードコア・ジャズに当てはまるのかな。でも、聴いていただくと分かると思いますが、時に自慰行為とも取れるその手の
即興演奏の脈絡のなさは感じないどころか、メロディの骨格はむしろしっかりしてます。

John Zorn (Naked City) - Batman, The Sicilian Clan


Naked City Track 4 Latin Quarter


しかも全ての楽器がスタンドプレーしているようでいて、不快な触れ幅を感じないのはその実、計算し尽くされている
という事ですし、それぞれが一人歩きすることなく統率が取れてる恐ろしいクオリティ。ジャズとは複雑なコード進行や
理論が示しているように知性の音楽とも言えますし、演奏するのも曲を書くのも難儀であるのは想像に難くないのですが、
今作はロック・バンドの形で体現するのが目的だけあって、僕のようなライトリスナーにも門戸が広く、馴染み深くも
新鮮であるという強烈なインパクトを与えてくれます。

個人的な感想としては中盤の山塚アイ(ヴォアダムス)のスクリーミング・シャウトはいらないと思ってしまいますが
(これが入ることで、グッとアングラっぽくなってしまう。といっても8 曲4分程で終わりますが。)

John Zorn & Naked City with Eye - NYC live


特に前半と後半のスリリングさ。そしてほぼ全曲にいえる性急で圧倒される急展開。ハードコアからお洒落なバーが
似合いそうなモダン・ジャズに突如変貌するところなどは聴いていてゾクゾクします。ソリッドなギターサウンド、
超技巧ながらもパワフルなドラム、時おり絡むニューウェーブにも通じるシンセ・サウンドやオルガン、そしてジョン
自身のサックスも含めて、ジェームズ・チャンスやノーウェイブ周辺、ポスト・パンク、ポップグループなんかを
聴く人には抵抗ないと思います。

John Zorn-Naked City - A Shot In The Dark


個人的に阿部薫で一度は挫折を思い知ったジャンルですがこうやって徐々に耳を慣らしていければなと思います。
また超有名なジェームス・ボンドのテーマや、バットマンのカバーといった馴染み深いものが入っていたり、
エンリオモリコーネの曲が絡んできたり、その他多種多様なジャンルの音楽が見え隠れします。
それもそのはず彼のプロジェクトは多岐に渡っていて、中近東の音階を用いたり(僕が買ったフィルム・ワークスは
この色が濃い)、トラディッショナル(この辺りが好きな方は MASADAをどうぞ。ユダヤ音楽です。)

John Zorn - Masada - Live at Tonic 1999 - Beeroth


または中国の音階や日本の純邦楽を思わせる曲、クロード・チアリが弾きそうな曲まであります。クラシックの素材集めに
没頭しているという発言もあり、彼の中に根付く「ハードボイルド」、または「エロ・グロ・ナンセンス」とも取られかねない
過激な感性と、あの教養の固まりとも言えるクラシックがどんな形で融合するのか。物凄く興味が湧きますが、
それこそ彼の創作意欲に呼応するように湯水の如く作品を発表しているので、とても追いつく事や全ての把握は出来ません。
徐々に造詣を深めていけたらと思います。

ちなみに、彼はユダヤ人で人種の坩堝であるNYで育ったらしく、それがこれだけ多岐の音楽を吸収する礎になったと
インタビューで語っています。そんな中で日本にも興味を持ったと。この「ネイキッド・シ ティ」制作時も、NYと日本を
行ったり来たりの生活をしていたようで、日本を愛してくれる外国人が大好きなお国柄なんですから、もっとクローズ・アップ
されてもいいと思います。といってもご本人は「外人扱い」されるのを嫌ってるようですが。

余談としてマイク・パットン率いる「Mr.Bungle」というグループがいまして、1stがとんでもない奇天烈ミクスチャー音楽で
僕も気に入って聴いていたのですが、プロデューサーが何と「ジョン・ゾーン」だと知った時、納得過ぎて、すっごい笑いました。

Carousel


自分の聴く音楽はやっぱり知らない間にどこかで繋がってるんだなぁと痛感しましたが、未だに狭い檻の中からすら
出ていないじゃないかと改めて「井の中の蛙大海を知らず」の意味を思い知りました。

【名盤】影響を受けた音楽をうすーくディスクレビューする【紹介】Nirvana/In utero

2020-11-30 20:46:28 | 名盤紹介

JUN SOUNDSYSTEMが影響を受けた私的名盤をうすーく語る。
主に若かりし頃に沢山聴いた音楽を紹介していきます。
Nirvana/In utero ニルヴァーナ/イン・ユーテロ

「IN UTERO」、「子宮の中」という意味ですか。ジャケットの女性像は「ハート・シェイプド・ボックス」のPVにも出てくるし、
ライヴの際も、演出として使われています。グロテスクを売りにしたバンドのホラー趣味のそれとは違い、カートの遺作と
なったせいもあるのか、もっと深い意味があるような気がします。ソニック・ユースのサーストン・ムーアも言ってましたが、
木から胎児がぶら下がってるビデオなんて作っても単なるカルトに終わらないのは彼らがゆえって感じですよね。

Nirvana - Heart-Shaped Box

                                
で、このアルバムに関しては、ちょっと前まで、好きな曲も収録はされているものの、前作二枚のように通しで聴こうとは
思えなかったのが正直なところです。でも以前買ったブートレグを聴いて、ハッとさせられたんですよね・・・・。
狂い過ぎてて好みじゃなかった曲がやたらとカッコいいのです。やはり生粋の叩き上げバンド。ライヴの方が曲が生きると
いうのもあるのでしょうね。
                                
前作の成功を素直に喜べなかったバンド(というより、カート)が次回作に講じた手は、インディー一徹職人「スティーヴ・アルビニ」
にプロデュースを任せるという方法でした。(多少いざこざはあったようですが)  詞の面でも「ネヴァーマインド」より退廃感、
過激さが増し、「サーヴ・ザ・サーヴァンツ」は両親の離婚による不幸を歌い(メンバー3人共に両親は離婚していたと記憶しています)
「レイプ・ミー」は、有名になった自分達を揶揄したかのような歌詞。

Nirvana - Serve The Servants (Live And Loud, Seattle / 1993)


Nirvana - Rape Me (Live At The Paramount, Seattle / 1991)

                                
しかし、その反面、「ハート・シェイプド・ボックス」はコートニーへのラブ・ソングともとれるし、娘フランシスの名の由来
でもある女優について歌った「フランシス・ファーマー・ウィル・ハヴ・ハー・リヴェンジ・オン・シアトル」も収録。
今までより、より内面を搾り出したかのような作風にシフトしていっています。 売上的には「コケた」ことになっている本作。
しかし未だに熱心な信望者も多いようです。

Nirvana - Frances Farmer Will Have Her Revenge On Seattle


「売れたからといって、なめられたくない」という気持ちが、こういう轟音に駆り立てたのか。ただのリスナーの自分には
想像もつきませんが、本作の次回作として考えていた曲「ヴァース・コーラス・ヴァース」や「ユー・ノー・ユア・ライト」を
聴いても、カートがパーティーで口づさんだアバのようなポップなオリジナル曲という話からも、強力なアルバムになったに
違いないと思います。

Nirvana - Verse Chorus Verse [Lyrics]


Nirvana - You Know You're Right


これを遺作にショットガン自殺をするカート・コヴァーンですが、彼の未知の才能が立ち消えた事を考えると残念で
仕方ないです。



最後に、レコード会社がベストアルバムを乱発していますが、個人的には聞くに耐えないです。おすすめしません。
ニルヴァーナに関してはベスト盤は薦めません。オリジナルアルバム3作のみというのもあります。
不謹慎ですが、試聴してみて絶望に近いものを感じました。ブート買った方がマシの気がします。