国際税務研究ブログ

こんにちわ、TOKYO在住の税理士、木村俊治と申します。国際税務のことについてアレコレ書いています。木村国際税務研究所も

源泉徴収の免除・特例

2015-10-06 20:09:48 | 国際税務問題
p第4章 非課税所得及び源泉徴収の特例

非課税所得

 所得税法の非課税規定(所法9

所得税法は次の各号に掲げる所得について所得税を課さないことにしている。

)当座預金の利子 ロ)学校等の児童等の預金等・合同運用信託の利子・収益の分配 ハ)恩給等、遺族年金等の給付金 ニ)給与所得者の旅費・転居旅費等 ホ)給与所得者の通勤手当 ヘ)給与所得者が使用者から受ける金品以外の物(経済的な利益を含む)でその職務の性質上、欠くことのてきないもの ト)国外で勤務する居住者の受ける給与のうち、その勤務により国内で勤務した場合に受けるべき通常の給与に加算して受ける在勤手当(これに類する特別の手当を含む。) チ)外国政府、外国の地方公共団体または政令で定める国際機関に勤務する者で政令で定める要件を備えるものがその勤務により受ける俸給、給料、賃金、歳費、賞与及びこれらの性質を有する給与(外国政府・地方公共団体の勤務者がその外国において勤務する日本国の公務員の給与に所得税が課されない場合に限る。) リ)自己または配偶者の生活用家具、什器等の譲渡による所得 ヌ)資力喪失者のための強制換価手続きによる譲渡所得るオープン型投資信託の収益分配のうち、元本の払戻し部分 オ)内廷費、皇族費 ワ)文化学術の年金、若しくは金品で指定されたもの カ)学資に当てる為給付される金品(給与所得となるものを除く) ヨ)相続、遺贈、または個人からの贈与により取得するもの(相続税・贈与税が課税される タ)損害保険契約保険金、損害賠償金のうち、精神的損害または突発事故により資産に加えられたもの レ)公職選挙法により収支計算の報告がなされた法人からの贈与により取得した金銭、物品 国外勤務者の在外手当の非課税(所法9七、所令22)国外で勤務する者が受ける給与でその勤務により国内で勤務した場合に受けるべき通常の給与に加算して受ける在勤手当ては非課税である。非課税とされる在外手当には勤務地の物価生活水準、生活環境為替相場の状況変化に伴う補てん等を行うことが国内における勤務に比べて利益(特別給与)を受けていると認められない程度の手当てをいう。

 在外手当(内外勤務格差給与)については次のようになる。

旅費・転勤旅費旅費の範囲を超えるものは給与所得・雑所得・退職所得などの課税がある(所基通94)旅費の範囲は通常の社会通念で考えるが、居住者が主に国内出張をする場合の旅費と外国人が国際的に転勤する場合とでは違いがある。 ロ)通勤手当

 その者の通勤に係る運賃、時間、距離等に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤費が免税となる。外国人に限らずグリーン車定期券の普通定期券を超える部分や、個人的理由により特定の地域を経由する通勤費は非課税とならない。ハ)在外手当: 我が国の居住者が国外で勤務する場合(すなわちその時点では非居住者となる、国内で勤務した場合に支給される通常の給与に加算して受ける金銭でその勤務地における物価、生活水準、及び生活環境並びに勤務地と国内との間の為替相場等の状況に照らし、加算して請求を受けることにより、国内で勤務した場合に比して利益を受けると認められない部分の金額は非課税となる(所令22)。これは我が国給与水準を念頭にいれ、物価水準・生活環境が高い国へ転勤した場合の生活水準を保つための格差補填は「経済的利益」ないしは「所得」を構成しないという考え方に基づいているものと考えられる。

 ホームリーブ等

イ)居住者(外国人)の他国から我が国への赴任旅費、あるいは我が国から他国への赴任旅費はどちらか一方(「ワン -way方式」という)を我が国の法人(日本支店等)の経費としている場合、法人(日本支店)の損金として認められている。その場合にその非居住者(外国人)が通常の生活用動産を当該赴任地から搬出(搬入)する経費は旅費の範囲に含まれる。主に母国以外で勤務する外国人従業員(Expatriate/Expats)は母国において勤務したとしたならば受けられる所得水準、生活環境の確保を目的として被用者との間で雇用契約条件を取り決めている場合がある。条件は赴任先国での住居・環境の確保(近くに公園があるとか子供の教育環境など)、12年に一度程度の一時帰国旅費(Home Leaveという。)を航空券(現物)で支給するなどである。昭和50年直法6-1は、「使用者が、国内において長期間引き続き勤務する外国人に対し、就業規則等の定めるところにより、相当の勤務期間(おおむね1年以上の期間)を経過するごとに、休暇のための帰国を認め、その帰国のための旅行に必要な支出(その者と生活を一にする配偶者その他の親族もっとも経済的、かつ、合理的と認められる通常の旅行の経路及び方法によるものに相当する部分に限り、課税しなくても差し支えない。」と規定する。

ロ)同通達を注意深く読むと、問題点が浮き彫りとなる。ホームリーブの制度が外国(特に米国)の海外勤務給与所得者の勤務条件を自国において勤務した場合に比べ不利になることを避け、その平等な取扱いのためのフリンジ・ベネフィット(福利厚生経費)の使用者からの供与たる性質があるため、勤務外国人はできるだけ、自らに有利かつ有益な権利を主張することになる。源泉徴収義務者としては、我が国においては、例えば、通勤費の非課税の取扱いについても厳格な経済的、合理的な通勤経路、方法が求められており、そういう国であることを外国人社員等に説明する必要があろうと思われる。なお、外国社員であれば誰でもホームリーブの恩典(旅費等の非課税化)を受けられるわけではない. また、日本人社員であっても二重国籍者もいる。米国の市民権を有している場合は、認められるべきであると考えられる。

ハ)ホームリーブ関し、具体的に次のことに留意する。:使用者の命令による国内勤務でなければならない(支店採用者は原則、給与となる)。 本人の業績によって褒賞的にあるいは報償とした性格でないこと(給与となる。) 受給者本人の個人的用務のための旅行でないこと(「帰国」が条件である。) 役員のみに支給されるものでないこと(役員報酬とされる。) 受給者に換価の余地を与えない航空券の交付によることを原則
⑥あらかじめ、届け出ている原籍国(地)と国内勤務地との旅費としての支給であるから、経済的、合理的経路計算によるべきこと その制度を利用しない場合に金銭で支給するものでないこと

  外国人等(Expats等)は従来から個別の社員派遣条件(どの国へ派遣されても生活水準が一定になるようにプランするいわゆる「Tax Equalization Plan
5)を企業との間に取り決めているのが常態である。いわば、派遣社員の手取給与が保証されており、生活・税金などの本来、給与所得者が負担すべき支出をすべて企業が負担しているのと同様であるから、非課税所得を除き、本人に支給される現金の他、企業が負担する本人の租税公課(所得税等)・高額家賃(豪華社宅・法定家賃を超える家賃・調度・Stationary(光熱費・駐車場・管理費等))を外国人勤務者の給与とすることになる。 

 国際機関の勤務者の給与所得の非課税(所法9①八、所令23、所令24

財務大臣の指定「告示」した国際機関の勤務先からの給与は、その給与を受ける者が日本国籍がなく日本永住の許可を受けていないこと及び長期在留資格がないことを条件として非課税である。

「告示」(昭和号)・犯罪の防止及び犯罪者の処遇に関するアジア及び極東研修所 ・東南アジア貿易投資観光促進センター

 外国政府職員(外国公務員)の給与所得の非課税(所法9①八、所令23、所令24

外国政府職員(我が国の国家公務員地方公務員がその外国において行う勤務に対し非課税とする場合に限る)の我が国における当該機関における勤務に関して受ける給与は非課税である。ただし、その勤務する者が日本国籍、永住許可、長期在留資格を持っていないこと、かつ、その者が行う外国政府等のための勤務が我が国及び地方公共団体が行う業務に準ずる業務(公益目的業務)であって、収益を目的としたものでないことを条件としている場合に限られる6

 在日大使館に勤務する者に対する所得税の課税(所法9①八、所基通9-119-12

 外国関係に関するウイーン条約3437)国内に居住する7外国の大使、公使及び外交官である大公使館員並びにこれらの配偶者に対しては、いかなる所得税も課されない 7.0pt">9(所基通9-11)。それらの子が国内源泉所得を得た場合については、所得税についてはウイーン条約によっても「特定の租税(日本国内に源泉がある個人的所得に対する所得税」は免除されないので、徴収義務者は源泉徴収する10。その他の当該大公使館に勤務する者が受け取る当該大公使館から受ける給与・報酬等の所得税の申告及び源泉徴収は次のとおりである。

勤務者の属性

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