goo blog サービス終了のお知らせ 

伊達 純のヒロシマ日記

反戦・反核・反基地などの平和運動、反原発運動、反貧困運動、グローバリゼーションの問題などについてヒロシマから発信する

太田忠司『男爵最後の事件』読了

2009年02月24日 15時26分40秒 | 推理小説・ミステリ
 久々の日記更新でございます。

 書きたいことはあるのですが、精神的な余裕を無くしているせいか、書くことが出来なくなっていました。

 今日はハードルを思いきり下げ、太田忠司さんの「霞田兄妹シリーズ」最終話『男爵最後の事件』の感想にします。ちなみに今日は太田さんの誕生日です。

 透徹した思考力・推理能力を持つが、自らも事件に飛び込んで行くことによって傷ついてしまう主人公の名探偵・霞田志郎と人を操作し、支配するということまでやってしまう「男爵」という異名を持つ伝説の名探偵・桐原嘉彦。

 前作、『藍の悲劇』で「男爵」は、犯人を自殺へと追いやった。エピローグで志郎は呟く、「僕は、桐原さんを、許さない…」

 今回、志郎と千鶴は「男爵」の屋敷の晩餐に招かれる。晩餐には「男爵」に因縁のある人たちも招かれていた。そして惨劇は起こった…。

 人を操作し、支配することへの欲望というモチーフは、『倫敦時計の謎』などとも共通しており、太田さんにとって重要なモチーフのひとつになっていると思う。

 今回は人を操作し、支配することが出来るほどの能力を持つ「男爵」の意外な弱さも明らかにされる。そして志郎は、男爵からあるものを引き継ぐ。それは、ある登場人物が言っていたように、男爵から志郎に渡された重い責任のように思える。

「霞田兄妹シリーズ」は今回で最終話だということだが、霞田志郎の物語は、以後も書くことは可能だと思う。

 本のカバーに推理小説作家の法月綸太郎氏による解説が書かれていたが、その言葉を借りれば、男爵からの「バトン」は受け継ぎつつ、「操りの呪縛」「終わりのない地獄巡り(ネバー・エンディング・サイクル)」は断ち切り、「異なる未来を切り開く」、そして透徹した思考力・推理能力を持つが、人を操作したり支配したりということのない、また自らが傷つくことも厭わないが、つよさをも併せ持つ新生・霞田志郎の物語である。

 しかし長々とシリーズを続けるよりも、終わらせた方がよいと太田さんは判断したのだろう。新生・霞田志郎をモチーフとする物語は、別のかたちで発表されることを期待しよう。

 志郎くん、千鶴ちゃん、亜由美ちゃん、三条君、ダミアン、磯田警部、太田さん、お疲れ様でした! そして、ありがとうございました!

※この文章は、太田忠司さんの掲示板への投稿を加筆したものです。

太田忠司さんの掲示板
http://6609.teacup.com/peh00725/bbs

追記)
 この物語が映像化された場合、霞田志郎役には堺雅人を思い浮かべている。


最新の画像もっと見る