平成24年7月18日判決言渡
平成24年(ネ)第10012号 特許権侵害差止等請求控訴事件
(原審 東京地方裁判所平成22年(ワ)第43749号)
口頭弁論終結日 平成24年5月14日
1 本件は,原告が被告に対し差止め及び損賠償金の支払いを求めた事案です。
2
2-1 本判決は、文言侵害に関し、「被告製品1の構成要件充足性を判断するにあたっても,最初に被告製品1の「上側」を決定する必要がある。物体が空間の中で回転自在であることは自明であり,被告製品1それだけでその「上側」を決定することはできず,被告製品1の「上側」を決定するには,被告製品1についての取扱説明書等の書面を参照するほかはない。原判決は,このような判断過程を前提にし,被告製品のカタログ(甲4)及び取扱説明書(甲5)の記載を踏まえて被告製品1の「上側」を認定し,これに基づいて「第1のスリット」と「第2のスリット」を認定したのであって, そこに誤りはない」と判断しました。。
2-2 本判決は、さらに、均等侵害に関し、「特許発明の出願人が,特許出願手続において,被疑侵害方法, 本件でいえば説明書記載方法が特許発明の技術的範囲に属しないことを承認し,又は外形的にそのように解釈されるような対応に至った場合には,出願人は,説明書記載方法を特許請求の範囲から意識的に除外したものとして,説明書記載方法が均等なものと主張することはできないと解すべきである」との一般論を述べた上で。「本件特許においては,出願手続において,第1のスリットの水平方向の幅が第2のスリットの水平方向の幅より小さいものを意識的に除外したものと解すべきであり,説明書記載方法が本件特許発明1の方法と均等な方法であると認めることはできない」と判断しました。
3 本判決は、均等の第5要件の充足を否定したものとして実務の参考になるものと思われます。
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