
一般的に、中小企業は意思決定が早く小回りが利く、といわれているが、それは本当であろうか?
先日、ある780社あまりが加盟するという中小企業の団体が主催する、「経営指針を策定するための勉強会」に顔を出してみた時のこと。
この勉強会はシリーズで行われており、2ヵ月近くの間、同じメンバー(いずれも経営者)で喧々諤々やりながら、経営指針を作成し続けているという。
それを聞いて、私は、「これを事業計画に落とし込み、仕組みやルールを組織に浸透させてから実行するとなると、その経営指針とやらが効力を発揮して成果が得られるまでに(あるいは成果が得られないとわかるまでに)、いったい何ヶ月かかるのだろう」、と単純に思ってしまった。
(※それ以前に、「事業の根幹である経営指針を自力で作れないとは、何のための経営者か」と感じたことは言うまでもないが、これを言い始めるとキリがないので割愛する)
他にも、人事評価制度や事業計画作成セミナーと称するものものぞいてみたのだが、やはり同じように行われている様子であった。
どうもこの団体とここに所属する中小企業は、ものごとを端からひとつずつ、順番に消化していくやり方しかご存じないようであり、目の前で作成しているものが効力を発揮するためには、ほかにどのような機能が必要となるか(コラム「継続は力なり、は戦略推進の世界でも生きている」を参照)、といった複合的・実戦的な思考が働いていないようである。
確かに経営者の意思決定のみに焦点を当てれば、その内容はともかく、一定のスピード感はあるのだろう。しかし、決定事項を具現化するプロセスについては、同じ事業規模単位でみた場合、明らかに上場企業の方がスピーディであると私は思う。
中小企業に、いつまでたってもその経営者の個人商店の域を出ないところが多いのは、こんなところにも原因があるのではないだろうか。
とどのつまり、事業の世界においては、経営者やリーダーの決断の速さだけでは不十分なのである。それは必要条件に過ぎず、さらに「決定・決断したあと、計画に落とし込み、やり方を決め、実行に移して成果を得る」というプロセス全体がスピーディに遂行されなければ、決して勝利を収めることなどできないのである。
さらにいえば、50~60%程度の見込みが立った段階ですばやく実行計画に落とし込み、それが終わらないうちから走り始める、といったコンカレント(同時並走的)な発想やスタイルが必要な時代なのだ。
まったく別な言い方をすると、特別なアイデアや先鋭的な戦略を思いつかずとも、現在、そこそこ儲かっている事業にこうしたスタイルを持ち込むだけで、何らかの限界突破のチャンスが見えてくるのではないだろうか。
「スピード経営」、あるいは「コンカレント・エンジニアリング」という、むかし耳にしたキーワードについて、じっくりと考え直してみたいと感じさせる出来事であった。
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この記事の一部またはすべての転載を固くお断りいたします。
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先日、ある780社あまりが加盟するという中小企業の団体が主催する、「経営指針を策定するための勉強会」に顔を出してみた時のこと。
この勉強会はシリーズで行われており、2ヵ月近くの間、同じメンバー(いずれも経営者)で喧々諤々やりながら、経営指針を作成し続けているという。
それを聞いて、私は、「これを事業計画に落とし込み、仕組みやルールを組織に浸透させてから実行するとなると、その経営指針とやらが効力を発揮して成果が得られるまでに(あるいは成果が得られないとわかるまでに)、いったい何ヶ月かかるのだろう」、と単純に思ってしまった。
(※それ以前に、「事業の根幹である経営指針を自力で作れないとは、何のための経営者か」と感じたことは言うまでもないが、これを言い始めるとキリがないので割愛する)
他にも、人事評価制度や事業計画作成セミナーと称するものものぞいてみたのだが、やはり同じように行われている様子であった。
どうもこの団体とここに所属する中小企業は、ものごとを端からひとつずつ、順番に消化していくやり方しかご存じないようであり、目の前で作成しているものが効力を発揮するためには、ほかにどのような機能が必要となるか(コラム「継続は力なり、は戦略推進の世界でも生きている」を参照)、といった複合的・実戦的な思考が働いていないようである。
確かに経営者の意思決定のみに焦点を当てれば、その内容はともかく、一定のスピード感はあるのだろう。しかし、決定事項を具現化するプロセスについては、同じ事業規模単位でみた場合、明らかに上場企業の方がスピーディであると私は思う。
中小企業に、いつまでたってもその経営者の個人商店の域を出ないところが多いのは、こんなところにも原因があるのではないだろうか。
とどのつまり、事業の世界においては、経営者やリーダーの決断の速さだけでは不十分なのである。それは必要条件に過ぎず、さらに「決定・決断したあと、計画に落とし込み、やり方を決め、実行に移して成果を得る」というプロセス全体がスピーディに遂行されなければ、決して勝利を収めることなどできないのである。
さらにいえば、50~60%程度の見込みが立った段階ですばやく実行計画に落とし込み、それが終わらないうちから走り始める、といったコンカレント(同時並走的)な発想やスタイルが必要な時代なのだ。
まったく別な言い方をすると、特別なアイデアや先鋭的な戦略を思いつかずとも、現在、そこそこ儲かっている事業にこうしたスタイルを持ち込むだけで、何らかの限界突破のチャンスが見えてくるのではないだろうか。
「スピード経営」、あるいは「コンカレント・エンジニアリング」という、むかし耳にしたキーワードについて、じっくりと考え直してみたいと感じさせる出来事であった。
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