
メシア──世界唯一のスケプティックハンター。懐疑論者の嘘を暴く達人。
リネンちゃん──メシアの弟子。
メシア と学会に所属していた物理学者の前野昌弘さんは『トンデモ本の逆襲』の中で『「相対論」はやはり間違っていた』という本をトンデモ本としてとりあげている。
そしてその本の著者の1人である森野正春さんという人の主張をコケにしているんだけど……。
リネンちゃん それが的が外れている、ということですか?
メシア いや、今回はちょっと違うんだ。
私は森野さんがどういう人なのかよく知らないんだけど、『「相対論」はやはり間違っていた』の共著者の中に早坂秀雄と後藤学という名前があるんだ。
実はこの2人、日本の反相対論の世界では飛び抜けたビッグネームなんだよ。
リネンちゃん えっ?そうなんですか?
メシア まず、早坂秀雄とはこういう人。
●北海道大学物理学科、東北大学大学院卒。
●東北大学教授、工学博士。
●ロシア科学アカデミー学術組織委員。
●アメリカ物理学会論文審査委員。
●世界で最も権威あるアメリカの物理学専門誌『フィジカル・レビュー・レターズ』に発表した【右回転ジャイロによる重力減衰の効果】がニュートンの万有引力の発見に匹敵すると言われる。
メシア 次に後藤学。
●岐阜大学工学部教授。
●非弾性力学、非線形大変形数値シミュレーション、塑性成形の専門家。
メシア ちなみに後藤教授には『テンソル解析と連続体力学』という訳書がある。
私にはなんのことやらさっぱりだけど、そんなタイトルの本を訳せるということは、後藤教授はテンソル解析というものと連続体力学というものに精通している人なんだと思われる。
リネンちゃん 雲の上の人たちですね……。
メシア 前野さんは「反相対論者の主張は間違っている!」と言うのなら、森野さんではなくこの2大巨頭をとりあげて、彼らの主張を論破したほうが手っ取り早くて効率がいいと思うんだけど?
リネンちゃん たしかにそうですね……。
メシア さらにだよ。山本弘さんは『トンデモ本の世界』の中に次のようなことを書いているんだ。
翌年、窪田氏はやはり相対性理論を誤解している人たちと共著で、『相対論はやはり間違っていた』(徳間書店)という本を出した。この本に詳しく触れる余裕はないのでひと言葉で要約するが、「『相対論はやはり間違っていた』はやはり間違っていた」という内容である。
リネンちゃん え?それで終わりなんですか?
メシア うん。これで終わり。
なぜ間違っていると言えるのか、具体的なツッコミが0なのはもちろん、前野さん同様、早坂博士と後藤教授をスルーしている。
理由は言うまでもないと思う。
ライターやジャーナリストであるコンノケンイチさん、ミン・スギヤマさん、窪田登司さんなどは偉大な実績や権威があるというわけではないので、敵に回しても卑怯な手を使えばなんとか勝てる。
が……偉大な実績と権威がある早坂博士と後藤教授には、勝ち目がないと判断したんだと思われる。
そのためと学会は、反相対論を語る上でぜったい避けて通れない人物たちであるはずの早坂博士と後藤教授を無視したというわけなんだ。
リネンちゃん サイテーですね。