
メシア──世界唯一のスケプティックハンター。懐疑論者の嘘を暴く達人。
リネンちゃん──メシアの弟子。
メシア ジェイ・ハリソンは完璧をきすため、間違いなくマルコム・ウォレスのものだと断定できる指紋を手に入れようとした。
そして訪れたのがオースティン警察署の記録保存所。
なんとそこには1951年、ウォレスがほかの殺人をおかした際に採取された指紋があり、ハリソンは見事理想的な指紋を手に入れることができたんだ。
リネンちゃん ハリソンさんの熱意、すごいです!
メシア 次にハリソンが訪れたのが、94歳と高齢ながら《指紋の世界の権威》として君臨するネイサン・ダービーという人物のもとだった。
まずハリソンはダービーに、教科書倉庫ビル6階の指紋から鑑定してもらう。
ダービーは言う。
「人間は、極度の緊張に襲われると、体中にある種の汗が分泌されるんだ。この指紋は、指の内側が異常に暗い。多量のアドレナリンが出ている証拠だよ」
「段ボールは吸い取り紙みたいなものなんだ。指紋を吸収してしまうんだよ。残るとしても、付着してからせいぜい数時間が限度だな。空気の循環が悪く、閉め切った場所なら、さらに短時間で消えてしまう」
メシア そしてダービーは指紋が残された時間を指定した。
その時間とはまさにケネディー大統領が暗殺された瞬間と同時刻だったんだ。
リネンちゃん えっ!
メシア さらにハリソンはオズワルドの指紋も見せたのだが、ダービーによると2つの指紋は同じ強度だったそうだ。
つまり、同じ時刻に残されたものということだよ。
リネンちゃん と、ということは、ケネディー大統領が暗殺された日、教科書倉庫ビルの6階にはオズワルドのほかに何者かがいたということですね?
メシア そういうこと。
最後にハリソンはその指紋と、オースティン警察署で入手したウォレスの指紋を比較してもらったんだ。
アメリカでは6つ以上の類似点が確認されれば同一人物確定になるんだけど、ダービーの鑑定の結果、33カ所の類似点が確認され、同一人物のものという結論が出たんだ。
リネンちゃん じゃあ、やっぱり、ウォレスはオズワルドと一緒にいて、ケネディー大統領を狙撃したんですね。
メシア 間違いない。
リネンちゃん これでついにオズワルド単独犯説がくつがえりますね!
鳥肌がたってきます!
メシア また、この物的証拠によって、ビリー・ソル・エステスの証言が嘘でないことも明らかになった。
リネンちゃん そうですね!
メシア ちなみに奥菜秀次さんによると1979年、アメリカ下院暗殺調査委員会が音声記録に基づき、「2人の狙撃者がいた可能性がある」と発表したそうなんだ。
しかしその主張は、次のような理由で否定されてしまったらしい。
事件現場で録音されたものなのに、JFKの訪問予定地だった貿易センターにあった鐘の音がかすかに録音されていたので、集音マイクが暗殺現場以外の場所にあった可能性が指摘されていた。委員会が陰謀ありと結論した2年後、アメリカのセミポルノ雑誌『ギャラリー』が音声記録を収録したソノシート(薄いプラスチック製のレコード)を付録したところ、読者の1人が、専門家でさえ聞き逃した、暗殺直後でも何も起きなかったかのように警官が話していたことを発見した。その結果、音声記録は暗殺現場で録音されたものでも暗殺の瞬間を記録したものでもない、として証拠認定を取り消されていたのだ。
メシア しかし、これだけではウォレスの指紋の存在をくつがえすことはできない。
やはりケネディー大統領暗殺の狙撃者はオズワルド1人ではなく、2人以上いたと結論づけざるをえない。
リネンちゃん すごいことになってきました……。
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