
メシア──世界唯一のスケプティックハンター。懐疑論者の嘘を暴く達人。
リネンちゃん──メシアの弟子。
リネンちゃん と学会の2作目である『トンデモ本の逆襲』によると、デビュー作『トンデモ本の世界』でとりあげた武田了円さんから手紙が来たそうです。
メシア そうみたいだね。
そして武田さんの「太陽が熱いならば、なぜ太陽に近づくほど温度が下がるのか?」という質問に対して、山本弘さんは次のような返答をしている。
ちょっと長いけど引用する。
うーむ、深野一幸氏や三上晃氏に限らず、こういう初歩的な誤解をしている人は多いようですね。わかりました。この機会にご説明しましょう。
まず、高い山に登れば寒くなる理由ですが、簡単に言えば「空気が薄くなるから」です。
地球は太陽からの熱を受けていると同時に、宇宙空間に熱を(赤外線の形で)発散しています。もし地球に空気がなければ、熱は逃げる一方で、陽の当たらない部分はたちまち冷えてしまいます。しかし、空気は熱を蓄えて逃がしにくい性質があるので、そういうことにはならず、地表はほぼ一定の温度に保たれています。
高い山では空気が薄いので、熱が宇宙に逃げやすく、したがって寒くなります(厳密にはシャルル=ボイルの法則とかもからんでくるんですが、面倒なので省略)
映画『アポロ13』の中で、暖房の切れた船内で宇宙飛行士が寒さに苦しむ描写がありましたが、これを見て「宇宙はやっぱり寒いのか」などと思ってしまってはいけません。宇宙船の周囲には温かい空気がないので、熱が逃げやすいというだけのことです。(中略)
太陽に近づくほど熱くなることを示す明瞭な証拠は彗星でしょう。彗星の本体は雪と氷の玉です。太陽から遠くにあるときは暗く凍てついてますが、太陽に近づくにつれて熱を浴びて蒸発してガスを発散しはじめ、それが太陽からの粒子や光の圧力で吹き飛ばされて長い尾を形成します。太陽に近づくたびに彗星は蒸発して小さくなり、ついには消滅します。(中略)
おわかりでしょうか武田さん?宇宙でもやっぱり太陽は熱いのですよ。
リネンちゃん やっと終わった……。
メシア 山本さんって偉そうに科学の話をするけど、はっきりいって説得力ないんだよね。
リネンちゃん え?なぜです?
メシア 理由は以下の2つ。
●大学の理工学部を出ているわけでもなんでもないから。
●マイケル・ファラデーのように学歴はなくても、偉大な科学的発見をしたといった実績があるわけでもなんでもないから。
リネンちゃん なるほど!
メシア そんな人間に専門用語びっしりの科学の説明などされても、説得力なんてこれっぽっちもない。
リネンちゃん たしかにそうですね。
メシア ちなみに先ほど引用した太陽が熱い科学的説明なんだけど、なにかからの受け売りなんだと思われる。
しかも山本さんがネタ元にしているのは、《アカデミズムの常識》にすぎない。
トンデモ呼ばわりされている人たちというのは、そのアカデミズムの間違いを指摘している人たちなわけであり、彼らの主張を《アカデミズムの常識》で否定してもなにも意味はないんだよね。
リネンちゃん 山本さん、御愁傷様です……。