
これがのちにM資金になった可能性がある。
メシア──世界唯一のスケプティックハンター。懐疑論者の嘘を暴く達人。
リネンちゃん──メシアの弟子。
メシア M資金が本当に実在するかどうかは、ぶっちゃけ誰にもわからないと思う。
しかし、M資金である可能性が非常に高い金塊財宝が実在することは、歴史的な事実なんだ。
リネンちゃん たとえばどんなものがあるんですか?
メシア 1番ロマンがかきたてられると同時に、日本人としてメチャクチャ情けなくなるのが、天皇の金塊、またの名を金の百合=ゴールデン・リリーというものだ。
リネンちゃん 天皇の金塊?ゴールデン・リリー?
メシア 高橋五郎さんの『天皇の金塊』には次のようなことが書かれている。
●第2次世界大戦中、日本陸軍は黒龍会、玄洋社、日本のヤクザ集団、中国の地下組織とともにアジア12カ国の金塊財宝を略奪し、フィリピン各地の175ヶ所のトンネル地下サイトに隠した。
●最後に爆破した8号サイトに蓄えられた金塊だけでも、中世ヨーロッパの全銀行が保管した金塊の総量や、世界一の金塊保有量を誇ったアメリカの全量の10倍以上の量だった。
リネンちゃん めまいがしてきたんですが……。
メシア 高橋さんはこれらの話をなんの根拠もなく言っているわけではない。
ネタ元はアメリカの調査報道作家、シーグレーブ夫妻の『ゴールド・ウォリアス』という本。
ちなみにこの本はかなりやばい内容ゆえか、日本では発売されていない。
リネンちゃん しかしメシア様、なぜシーグレーブ夫妻の『ゴールド・ウォリアス』という本を信用できると言えるんですか?
メシア シーグレーブ夫妻が集めた資料に次のようなものがあるんだ。
●欧米の巨大銀行とマルコス大統領の間で交わされた金塊交渉書簡
●日米欧三極委員会のレターヘッドに書かれた金塊取引指示書
●FRBやメンバー銀行発行の金塊預かり証券、マネー・ロンダリングの実務記録コピー
●日本政府発行の銀行証券、信用手形、金塊の船荷証券
メシア シーグレーブ夫妻はこれらを根拠に、戦中・戦後の金融や経済の裏話を書いているんだよ。
前述のような資料などただの1枚も集めることができない我々素人は、彼らの話を信用するしかないでしょ。
リネンちゃん なるほど。
メシア また、シーグレーブ夫妻は……
●カナダ(ブリティッシュ・コロンビア州)の離れ小島に潜伏して著作活動を続けた。
●サンフランシスコから夫妻たちを訪ねてきた中国人暗殺団が間違えて別人を殺害した。
●アメリカ財務省と国税担当局のエージェントからいやがらせを受けた。
●夫妻の両親にかけ続けてくる無言電話。
……といった苦渋を味わったことがあるらしく、オーストラリアのエコノミストから「彼らがあなたたちを生かしてくれるよう希望する」という同情文が寄せられたらしい。
リネンちゃん 怖い話です。
メシア しかし、シーグレーブ夫妻も負けてはおらず、もしも自分たちが何者かに殺害された場合、誰もが犯人を特定できるように取材資料を900メガバイトのCDに記録し、世界中に公開する手筈を整えているそうだ。
これでシーグレーブ夫妻の言っていることが、胡散臭いデマでないことがわかってもらえたと思う。
リネンちゃん そうですね。
メシア もう1つ。
先ほど「8号サイトを爆破した」と言ったけど、そこには3人の人物が立ち会っていたんだ。
1人がベン・ハーミンというフィリピン人男性。
あとの2人が日本人なんだけど……落ち着いて聞いてね。
リネンちゃん は、はい。
メシア 昭和天皇の従兄弟で陸軍中佐の竹田宮恒徳と、マレーの虎と呼ばれた陸軍大将の山下奉文(ともゆき)。
彼らが立ち会っていたんだ。
リネンちゃん えっ!皇族の人たちが立ち会っていたんですか!?
メシア うん。さらにベン・ハーミンによると、三笠宮崇仁軍参謀、朝香宮鳩彦(やすひこ)陸軍中佐といった人たちも金塊略奪に加わっていたらしい。
リネンちゃん 言葉が出ません……。
メシア また、《山下財宝》って聞いたことがあると思うけど、それは先ほど言った山下奉文大将からきているんだ。
リネンちゃん 山下財宝も本当にあったものなんですね。