
メシア──世界唯一のスケプティックハンター。懐疑論者の嘘を暴く達人。
クラウディア──陰謀論好きのハーフの美女。
クラウディア 原田実さんはASIOSの『検証 陰謀論はどこまで真実か』の中で次のようなことを言っているわ。
ノンフィクション作家・柴田哲孝氏は自分の祖父がGHQの秘密工作にかかわっていた可能性を追求するうちに下山事件の真相に到達したと主張している。
〈ここにひとつの図式が浮上してくる。日本政府は外資から国鉄を守るために、下山総帥を抹殺したのではなかったか。その謀殺の陰に米大統領の直属諜報機関であるCIAの関与が浮上すれば、スキャンダルにより後の『単独講和』と『日米安保条約』の締結が白紙に戻る可能性があった〉(単行本『下山事件 最後の証言』柴田哲孝著、442ページ)
この箇所は文庫版では次のように改められている。
〈ここにひとつの図式が浮上してくる。日本政府は外資の導入を加速させるために、下山総帥を抹殺したのではなかったか。その謀殺の陰に米大統領の直属諜報機関であるCIAの関与が浮上すれば、スキャンダルにより後の『単独講和』と『日米安保条約』の締結が白紙に戻る可能性があった〉(文庫版『下山事件 最後の証言』柴田哲孝著、562ページ)
下山を殺した者の動機が見事に正反対になっている。もちろん新たなデータに基づいて当初の結論が修正されるということは、いかなる研究においてもありうることだが、柴田氏の著書について文庫版で新たに増補された箇所を見ても、この結論の変更に結びつく新資料が提示されているわけではない。
さらに推定された動機が正反対になるということは事件全体の構図を描く前提が変わるということのはずだが、単行本と文庫版で他に大きな論旨の変更は見当たらないのだ。つまりは柴田氏による動機の推定は、具体的な根拠を持たない憶測であることを、この変更が図らずも示しているわけである。
メシア 柴田さんの『下山事件 最後の証言』は450ページ以上の大著であり、最初の1ページから最後の1ページまで、下山総裁の自殺説がありえない強力な根拠が、これでもかこれでもかというほど出てくる。
私は柴田さんの本を参考資料にして原田さんの嘘を暴いてきたんだけど、今までの私の説明を読めば、柴田さんの本を読んだことがない人でもそれがわかると思う。
クラウディア うん。たしかにね。
メシア 原田さんがすべきことは、柴田さんの主張1つ1つを論破することなはず。
しかし、「まともに戦ったら勝ち目がない……」と判断したのか、『下山事件 最後の証言』の単行本と文庫版のたった1箇所の文章のちがいにツッコミを入れるなんてことをしている。
言うまでもなくこんなもの、ただの苦しまぎれの重箱の隅つつきでしかない。
クラウディア あらあら……。
メシア それも他殺説の可能性を柴田さんみずからが打ち消しているようなポカに対してならまだしも、「下山総裁を殺した者の動機が正反対になっている」などという、自他殺論争と比べればどうでもいいようなことにツッコミを入れている。
厚顔無恥、ここに極まれりというところだね。
クラウディア メシアさんが敵でなくてよかった……。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます