大阪講演会「仏教と食」および「日本ベジタリアン学会大会」の報告

2018年11月25日 | 講演会

11月25日に、大阪市中央区のカーニープレイスで、日本ベジタリアン学会大会ならびに、日本ベジタリアン協会が共催の大阪講演会「仏教と食」が行われ、東京や名古屋などからもおられ、約30名ほどの方々にご参加いただきました。

特別講演の講師には、佛教大学歴史学部教授で佛教大学宗教文化ミュージアム館長の小野田俊蔵先生をお招きし、仏教における精進食の歴史や位置づけについて詳しくお話しいただきました。講演内容は以下になります。

仏教と食

1.インド仏教での食への態度

釈尊は、一般信者食べ残しの施しを受けることで食の量や種類に対する欲求を制限し、食への欲求を減少させることを目論んで、教団での基本を乞食(こつじき)によって得たものに限定した。肉食に対する特別な拒否は当初には存在しなかった。残食である以上、植物食材をみずから収穫したり動物食材を得るために動物を屠殺したりする行為を避けることが出来る。植物であれ動物であれ、他の命を奪う行為を直接は行なっていないという点が重視されたと考えられる。

仏教が輪廻という考えを取り入れるようになると、輪廻の主体や心があるかどうかという問題が中心的な関心となる。そして心を持つものの特徴のひとつとして苦痛を感知するという点が重要な意味を持って来る。一部の仏教者はこの点を重視し、肉食を菩薩の利他行とは相容れない行為と看做すようになった。肉食は、長い輪廻の連鎖の中では親兄弟を食する行為と大差ないと感じ始めたのである。

 

2.辟穀や木喰

中国の僧院では早い時期から、インドでは意識して避けられていた耕作や、実際の調理行為まで僧院内で行なわれていたようである。これに対して僧院外

で暮らした一部の修行者は穀類を含め調理調製した食を避ける修行をしていたと考えられる。これは、仙道を志向する仏教以外の行者の「辟穀」とか「服餌」の影響を強く受けたのではないかと思える。

「辟穀」とはいわゆる五穀断ちのことで、農耕で収穫された米やら麦やらの穀類を食べずに、山野で野生の物を採って食べながら修行することであった。

日本にもそれらの行法は伝えられた。木喰行あるいは五穀絶ちとよばれる修行で主として山岳修行者がこれを行じた。「松を餌し」ながら修行したことが役小角の事績として記録されている。最近欧米で流行っているローフード・ベジタリアンあるいはフルータリアンのような食生活であったと考えられる。

仏教側の高僧伝類でも蔬食という言葉は出てくるが、仏教側での「蔬食」という言葉は、単に蔬末な食事という意味で使われている。高僧伝類に出て来る食物名を少し書き出すと、胡麻、麦、棗、松の葉、柏葉餅などがある。

 

3.精進食の発展

中国の僧院で確立され継承された食事法、つまり基本的に肉や魚を食べず、午後に食事を摂らないという僧侶の食生活は日本仏教の祖師たちによってもほぼ堅持されていた。大乗仏教の戒律解釈の伝統の中で五辛あるいは五葷という臭いの強い葱などの特定の食材を避ける伝統も僧侶の食生活を規制することになる。このオリエンタルヴィーガンとも呼ばれる食習慣は『梵網経』という経典に起源する。また、曹洞宗や臨済宗そして黄檗宗などのいわゆる禅宗の僧院では食を司る典座たちがいわゆる精進料理という洗練された食の伝統を発展させていった。極度に洗練された精進料理の文化が創造され、その一部は茶席の懐石料理などを経由して世俗の料理文化にも大きな影響を与えることになる。

 

同時開催の日本ベジタリアン学会では5つの発表が行われました。どれも重要なテーマだと思割れますが、今回は講演題目の紹介のみとさせて頂きます。

<一般講演1>

2017年と2018年に日本にて発表された不適切なベジタリアン食が原因と考えられる症例報告に関する検討

○宮城智央 (琉球大学医学部)

 <一般講演2>

植物性食品であるクロレラの可能性

○藤島 雅基11株式会社サン・クロレラ)

<一般講演3>

佐藤流キッチンサイエンス

月の満ち欠けの学習が可能なビーガン対応型チョコレートフォンデュの作成実験―

〇佐藤 陽子、太田 尚孝(1東京理科大学大学院科学教育研究科)

<一般講演4>

ベジタリアニズムの視点から考察する動物倫理学の動向

○橋本晃一(大阪市立大学大学院)

 <一般講演5>

シカの増加と利用上の論点環境とアニマルライツの視点から

〇中川雅博(総監技術コンサルティング)

 

なお、若手研究者の優れた研究発表に授与される「学会プレゼンテーション賞」は、「植物性食品であるクロレラの可能性」を発表された株式会社サン・クロレラの藤島雅基様が受賞されました。

 

プログラム修了後には、協会認定レストランのグリーンアースでの懇親会に20名近くが集い、講師を囲んでベジタリアニズムや菜食に関心のある方がたの交流が深まったと思います。

 

日本ベジタリアン学会大会は今年で18回目になりますが、ご参加下さった方々にお礼を申し上げます。

(報告:橋本晃一)

NPO法人日本ベジタリアン協会

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