ジョンタークの存在を知ったのは、3年ぐらい前だった。アメリカのシーカヤッカーいう雑誌の2001年の号で、北海道から千島列島に渡り、カムチャッカ半島を経由して、アラスカまでシーカヤックで渡ったレポートがでていると、シーカヤッカーのHPで見たからだ。しかし記事のタイトルだけで、細かい内容は分からずじまいだった。
確かにすごい遠征だと思ったが、僕の興味を一番引いたのは、どのような方法で根室から国後島に渡ったかだった。僕はカヌーで国境を越えるというコンセプトでツーリングが出来ないかと模索している時だった。日本の場合、台湾~西表、対馬~釜山などの方法が考えれれたし、大陸では陸続きなので、いくらでもバリエーションが考えられた。でも国後島に渡ると言うのは、考えもつかなかった。
そのため、この話は本当なのか?イマイチ信じられなかった。日本のイミグレーションが出国のスタンプをパスポートに押してくれるなんて、到底考えられなかったからだ。また、日本からシーカヤックで渡った人間を、ロシアのイミグレが迎えてくれるのだろうか?
疑問のまま、ジョンタークのことは頭の隅っこに押しやられていた。
数ヶ月前、アルガフォレストの柴田さんが面白いHPがあるよと教えてくれたのが、パドラーと言う雑誌のHPで紹介されていた、「史上最も偉大なシーカヤック10大遠征」だ。古いものは1860年のジョンマグレガーの北海、地中海、中東のカヌー遠征、他にはエドジレットのカルフォルニア~ハワイ横断、フランクグットマンの初ケープホーン回航、そして、「ジョンタークの日本~アラスカ遠征2000」も紹介されていた。
そして今月に入って、パタゴニアのカタログの中で、ジョンの遠征が紹介されているのを見つけた。彼は「縄文人の航跡を追って」という本を書き終えていることを、この時初めて知った。なんと、北海道からアラスカへのシーカヤックによる航行は、縄文人が北アメリカに渡ったのではないかという仮説の、実験航海として行ったもののようだ。以前、アラスカのイヌイット(エスキモー)の起源は最後の氷河期にユーラシア大陸と北米は氷の回廊でつながっていて、アジアから徒歩で渡った人々だと聞いたことがある。そして、これが通説だとも。この通説の徒歩横断説に対抗する仮説なのだろうか、縄文人の航海による、北米移動と言うものは。
さらに調べると、この「縄文人の航跡を追って」が和訳されて、日本で発売されていると言うことを、アマゾンで調べて知った。早速取り寄せてみて、読み始めている。日本では「縄文人は太平洋を渡ったか(青土社2800円)」というタイトルで発売されている。お勧めの一冊だ。
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