シトシトと雨の降る中、一人、また一人、一癖も二癖もありそうな顔つきの人たちが、新松田駅改札の前に集まってきました。総勢8人。東京ファルトボートクラブの耐久徒歩50km大会です。このクラブは40年の歴史と、50人近いメンバーがいるのですが、徒歩大会に来るのは例年は4ー5人。今回は人数が多いそうです。若いクラブメンバーの間では「Mっ気の人」が参加すると揶揄されていて、特定の人しか参加しない行事です。なんせ新人部員が入ると、よっしゃ!と参加するのですが、その後二度と来なくなる。僕もそうでした。入部したその年に一回参加したっきり。苦しかった、つらかったという記憶しかありません。今回は10年ぶりの参加です。
スタート地点で幹事さんから、小さなカードが配られました。儀式のひとつです。ここから目指すは鎌倉、小町通の養老の滝(ゴール)。この居酒屋のビールが100円で飲める券が渡されるのです。歩いているとき、苦しくなったり、ちらりと棄権が頭をよぎったとき、このカードを見るとムクムクと勇気がわき、がんばる意欲が湧いてくるものなのです。「養老の滝で美酒を飲むぞ!」と。
僕以外はほとんど還暦前後の先輩なのですが、元気一杯。徒歩大会なのに物足りないのか走ってしまう人や、銭湯で汗を流してゴールするほど余裕のある人、すごいです。
24歳のときにこのクラブに入りました。川地図101の著者、斉藤康一さん(白い帽子の人)や矢野さん、そして一番お世話になりカヌーのイロハを教わったF女史(前列右)。こういった先輩の背中を見ながらカヌーを続けてきました。そして今もそれは変わらない、まだまだ後追いしてるのが現状と認識しました。
夜の7時、11時間かかって養老の滝のノレンをくぐりました。10年前よりタイムが1時間落ちましたが、まったく違うのは、一度も「苦しい」「辛い」と思わなかったこと。一歩、一歩、ゴールへ迫ることを楽しんでいる自分をそこに発見しました。30代になってちょっとは成長したのかな?
若いころは無茶ばかり。臆病のくせにやるときは天下を取ったような気になってる。向こう気の強いのは臆病の証拠だ。 青木功
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