<スマトラ沖大地震・インド洋大津波>タイ;津波被災者支援のための署名活動

被災コミュニティーの土地を奪い、リゾート開発を目論む投資家、地方行政の動きに対して、「NO!」と言いましょう!

「被災6県の土地問題への対策(一部訳出)」7.19

2005年07月29日 19時24分38秒 | コミュニティー開発機構の資料
「被災6県の土地問題への対策」
CODI HP掲載日 7月19日

被災6県の津波後の状況は、人命や財産、仕事道具そして仕事そのものの損失をもたらし、初期的な被災民の困窮のみならず、時間の経過とともに、いくつかのコミュニティーは、土地の問題によってもとの土地に戻ることができなくなってしまった。土地の問題とは実はもとからの問題なのだが、津波によって海岸沿いの土地の居住権の問題が顕在化したのである。
 災害防止・軽減局の統計では、被災村落数は412村落(後に407村落に修正)、12480世帯が被災し、家屋6824軒が損害を被り(全壊3615軒、半壊3209軒)。コミュニティーネットワークからの資料によると、深刻な被害を受けたコミュニティーは47村落で、およそ5448世帯。


 被災村落のほとんどは漁村であり、海から生活の糧を得て100年以上も居住している。居住民の一部は「海の民(新タイ人)」で、モーケーン族、ウラックラーワーイ族でイスラム教もしくは仏教徒でほどほどの生活をしている。コミュニティーの生活で重要な点は、親族ネットワーク、文化・伝統の継承である。彼らはもう長くこの地に居住しているのだが、その大部分は土地の権利書を持っておらず、公有地や行政機関が責任を負っている土地に居住している。例えば、保護林管理局や港務局、国立公園局などである。また、私有地に住んでいるものや、土地権利書を発給してもらった地域もある。
 被災コミュニティーの資料によると、恒久的住居建設のための土地がなく困っているコミュニティーや津波自体からの被害は受けていないが土地問題を抱えているコミュニティーがあることがわかっている。土地問題を抱えるコミュニティーは合計で77村落あり、その内訳は、パンガー県が14村落、ラノーン県が6村落、クラビー県が13村落、プーケット県県が12村落、サトゥーン県が23村落、トラン県が15村落である。土地問題解決小委員会の統計では、被災村落は48村落なのだが。
 被災地での土地問題解決への取り組みが開始されたのは、実際にコミュニティーがもとの居住地に戻れないと判明してから始まった。例えばパンガー県のトゥングワー・コミュニティー、タップタワン・コミュニティー、ナイライ村コミュニティー、レームポム・コミュニティーなどである。被災6県コミュニティーネットワークは1月26日にセミナーを開催し、協力して対応していく方法について話し合った。さらに2月2日には、CODIが書記長を務める国民貧困撲滅推進協力機関が国家貧困撲滅執行機構に対して被災6県コミュニティー復興への実施方法についての案を提出した。コミュニティーの土地問題への重大な問題とは、すなわち土地問題であり、Chawalit氏は、Surin氏に対して被災6県土地問題解決小委員会の設置を命じた。
 小委員会では 現在までに4回の会議を開いており、被災地であるトラン県クラビー県でも2回の会議、パンガー県では3回の会議を開いている。その成果としては、
1. 被災コミュニティーの土地問題に関する資料調査。災害防止・軽減局の発表では、被災村落412であるが、津波後に土地問題に直面しているコミュニティーは津波の影響を受けていないコミュニティーにおいても発生している。それに対して行政側は、例えば、トラン県では調査機関の設置と各郡での資料調査の実施、プーケット県では29村落全部に対しての土地管理に関する調査と居住地に関する支援を実施している。 
2. 土地問題解決対策に向けた調査の成果
2.1 土地問題への対策案が既に承認されているのは、13地域、1156世帯。すなわち、パンガー県のパークトリアム村、トゥングワー村、クラビー県のフアレーム、サンガーフー、プーケット県のパークバーン・コミュニティー、ノークレー村(ハートカマラ)、トラン県のムック島村、ターセ村、レームサイ村、チャーンラーン村、クワントゥンクー村、コックワノーイ村、プラムアン村、ハートサーイトーン村で、具体的内容は以下の通り。


1.パークトリアム村;パンガー県クラブリー行政区、ムー9
津波によって23軒が全壊。寄付金を使って、3ライの私有地を住居再建地として購入したので、コミュニティーに対して土地権利書が発行された。
◎ 関係行政が調査を既に実施し、過去の土地調査から漏れていたことが判明したので、土地調査の結果、パンガー県土地管理事務所から土地権利書を発行することができる。
◎ 23家屋は再建され既に住民が移り住んでいる。絞り染めの職業グループもできた。
王妃が村を訪問し、村人の職業グループへの支援を行った。

2.トゥングワー・コミュニティー;パンガー県タクアパ郡クックカック行政区ムー5
26ライの公有地に昔から居住しているモーケン族で、71世帯。もとの土地への住居再建計画を提出済み。
◎ 26ライの土地について、行政が公有地として利用する10ライと、コミュニティーが使用する16ライというような土地分譲案をコミュニティー計画案として作成することで、もとの土地に住居を建設することができる。
◎ 建設には各地からの寄付金を使用し、現在までに56軒の建設終了、引き続き建設作業を継続している。

3.(リムコローン)パークバーン・コミュニティー;プーケット県クラトゥー郡、パートン行政区
 16世帯の漁民のコミュニティーで、港務局が管理する土地に30~40年居住。
◎ 土地に関する法律第9条によってもとの土地に住居を再建することが可能で、条件としては、環境と、観光産業のための景観維持に配慮すること。
◎ ITVを通した寄付金をもとに16軒の住居を既に再建し、住民すべてが既に移り住んでいる。漁業ももと通り行え、2005年8月12日には、沿岸林の植林活動を実施する予定。

4.ノークレー村; プーケット県クラトゥー郡カマラ行政区ムー3
 コミュニティーが暮らす土地は、現在では27ライ、12ライの2種類の政府の土地になっている。全壊した家屋は97世帯、半壊が201世帯で、村人たちは約50年間その土地に居住している。
◎ 当初、郡長は1972年第3版国家管理委員会規定に基づいて、一年間の一時的居住を許可した。
◎ その後土地に関する法律第9条に即した2000年内務省規定によって、5年間の土地管理許可をコミュニティーに与えた。
◎ クラトゥー郡では87人が土地レンタルを申し出ている。

5.フアレーム・コミュニティー~サンガーフー・コミュニティー;クラビー県ランター島郡、ランターヤイ行政区ムー1
 住民はムスリムで170世帯。土地は港務局管理の土地で、住民の大部分は漁民。全壊家屋は55軒、半壊88軒、漁船50隻を損失。コミュニティーはもとの土地での居住を保障してくれるよう要請
◎ コミュニティーは環境に配慮したコミュニティー計画を作成することで、もとの土地に住むことが可能である。
◎ UNDPがコミュニティー復興計画とランター島の持続的な土地管理を支援している。コミュニティーの居住地や職業、伝統文化などの復興と持続的な環境・天然資源利用を支援すると、2005年5月13日に署名がなされた。住居再建作業については、全壊家屋15軒、半壊家屋72軒の再建、そして漁船の修理を現在までに実施した。

6.ムック島村;トラン県カンタン郡リボン島行政区ムー2
 6つの湾に全部で420家屋480世帯が居住しており、津波によって248世帯が被災し、損傷を受けた家屋が83軒、漁船被害75隻、漁業関連用具の損失185人。津波によって個人の土地占有登記に影響が生じ、行政は145世帯を移住させる。また、パーガン湾近くの保護林内に住む92世帯は居住に関する安定性を欠いている。そこで145世帯向けの新しいコミュニティーを保護林内に建設させてもらうこと、そしてパーガン湾の92世帯に対して居住の権利を保障してくれるよう要請している。
◎ 真相究明調査実行機関に詳細な資料収集を行わせ、土地調査とコミュニティー設計計画を作成させた。そこで、145世帯の新しい居住地として、パンカー湾近くの20ライの土地を、新しいコミュニティーの土地として適していることから利用する。またパーガン湾の90世帯の土地19ライに関しても土地調査を終え居住権の保障が可能と考えることから、今後コミュニティー計画とより良い公共事業開発計画を作成する。
◎ 建築家がコミュニティー住民と協力して、詳細な調査を実施し、コミュニティー計画案にも携わっており、CODIの「安定した住まい計画」の公共部門の予算へ今後申請する。

7.ターセ村;トラン県ハートサムラーン支郡ターセ行政区
 保護林内に18世帯、港務局管理の土地に67世帯が居住している。村人たちは1992年より現在まで沿岸林の保護に取り組んでおりその面積はおよそ1500ライ。津波によって漁船や漁具に被害が出た。問題は、土地に関する安定性を欠いていることで、保護している沿岸林の面積の詳細も不明。
◎ 居住を保護するために、森林局の土地の18世帯、港務局の土地の67世帯に関しての土地を明確にし、コミュニティーが協力して自然環境保護に取り組むようにする。

8.レームサイ村;トラン県シカオ郡カーオマイケーウ行政区ムー3
 海岸沿いの村で港務局管理の土地200~56ライに住む58世帯。生活と漁業の安定性を求めている。
◎ 58世帯の居住を保護するために、200~56ライの土地の詳細な土地調査を実施し、コミュニティー計画を作成してコミュニティーの居住の権利を保護する。

9.チャーンラーン村;トラン県シカオ郡マイファー行政区ムー3
 44世帯が居住しており、土地は国立公園局、港務局管理の土地であり、居住権の保護を要請している。
◎ 44世帯がもとから居住してることが土地調査によって判明したので、コミュニティーの居住権が保護され、恒久的で安定な居住が可能。


10.クワントゥンクー村;トラン県カンタン郡バーンサック行政区
クワントゥンクー河口近くの村で、津波の被害を受け、特別環境保護区に16世帯、保護林内に27世帯が居住している。津波の被害を受けた河口近くの住民グループは、海岸沿いに移住しなければならず、正確な居住権の保護が施されなければならない。
◎ 移住しなければならない世帯、もとの土地に住む世帯あわせて43世帯に対して行政側は合計4ライの土地での居住権を認め、環境に配慮して安定的な居住が可能。

11.モットタノーイ村;トラン県カンタン郡リボン島行政区ムー3
 150世帯が昔から暮らしているが土地権利書は持っていない。村には学校があり、土地は保護林と港務局管理の土地。村人は土地権利書を要求している。
 ◎150世帯の居住地に関して、コミュニティーの居住権を明確に保障するようにする。

12.プラムワン村;トラン県カンタン郡ナークルア行政区ムー6
 船着場近くの村で、6ライの港務局の土地に41世帯と、プラムワン学校の土地に4世帯が暮らしている。
◎ 以上の世帯の居住権を明確に保障するようにする。

13.ハートサーイトーン村;トラン県ハートサムラーン支郡スコン島ムー4
 130世帯が居住。1984年3月12日国有地として制定されており、住民は居住権を求めている。
◎ 土地に関する法律9条と土地に関する貧困問題解決政策に基づいて、低価格で居住者に土地を貸し出す。


土地問題解決小委員会の取り組みとしては、書記長が関係機関に対して、恒久的な国民の居住を保障するため、関連する法律に照らし、住民の居住権を保障すること、またそのための真相解明の土地調査や居住に際しての環境配慮などの条件を設定するよう求める文書を作成した。

2.2 資料を提出したグループは増加しているが、以下のものは未だ公正な解決策が見つけられていない。すなわち、コミュニティーと所有者の間で争いが起きている、パンガー県の3地域(レームポム、ナイライ村、タップタワン村)、新土地規定が明らかでない地域(ピーピー島)、小委員会が対策を評価しているのだが、未だ詳細なコミュニティーの情報を収集していないトラン県の11地域である。
2.3 新しく土地問題を提出したクラビー県の12村落については、津波の影響を受けた地域で、保護林や国立公園の土地に属している。土地問題解決小委員会は2005年5月28日に現地を視察した。

3. 南部6県津波被災地土地問題解決小委員会のこれまでの取り組みは、概ね会議を、住民と関係行政を交えたセミナー後に開催し、直接入手した情報をもとに対策を講じた点である。しかし、小委員会メンバーの一部は、被災地での土地問題というものが必ずしも直接的な被災地域でなく、取り組みというのは、津波前からあった問題への取り組みではないかという意見を持っていた。そうであるあらば、貧困問題解決政策の一部として、今後も継続して取り組むべき事柄であると、貧困撲滅執行機構に提案書を出した。そして、被災地域・関連他地域における貧困問題解決のための土地問題解決推進小委員会の設置が決まり、2005年6月17日にチッチャイ・ワンナサティット副首相が署名をなさった。


<以下津波支援から学んだことについては後日訳出>

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