JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

狩野舞子選手2枚替え分析 ロンドン中国戦

2012-12-13 14:22:26 | メディア注目選手のその後
さて、第一、第三、第五セットを取ってメダルを大きく引き寄せたロンドンの中国戦は、狩野舞子選手を正確に評価するにはもってこいの試合です。

第一セット
2枚替えなし

第二セット
1回目の前衛2枚ローテ 7得点4失点→+3点
2回目の前衛2枚ローテ 3得点6失点→-3点
2枚替えローテ(2.5ローテで終了) 4得点3失点→+1点で、これが3ローテ続けば+1.2点

第三セット
1回目の前衛2枚ローテ 4得点6失点→-2点
2枚替えローテ 4得点2失点→+2点

第四セット
1回目の前衛2枚ローテ 6得点4失点→+2点
2回目の前衛2枚ローテ 7得点4失点→+3点
2枚替えローテ(S1回せず0.5ローテで戻す) 1得点2失点→-1点で、これが3ローテ続けば-6点

第五セット
2枚替えなし

さて、これはうれしい驚きではないでしょうか。狩野舞子選手を応援している私は嬉しくて仕方がありません。強豪の中国を相手に、第二セットでは+1.2点、第三セットでは+4点の効果があったのです。この試合は全セットが2点差という僅差の試合でした。その中での+1.2点や+4点は非常に大きく、狩野舞子選手2枚替えが無ければ負けていたかも知れません。

しかし同時に気になるのは、第四セットで狩野舞子選手2枚替えが-4.5点の悪影響を及ぼしていることです。第二セットと第三セットの狩野舞子選手と第四セットの狩野舞子選手では、何かが異なっていたのでしょうか。

実は、異なっていたのは狩野舞子選手本人ではなく、使われ方でした。狩野舞子選手2枚替えがあった第二セットと第三セットでは、狩野舞子選手にトスが上がっていません。S1でレフトに狩野舞子選手、ライトに江畑幸子選手がいた場面で、約束事ではレフトの狩野舞子選手に上がるトスをライトの江畑幸子選手に上げていたほどで、狩野舞子選手にはスパイクを打たせない、という約束事があったかのようです。第四セットでは、S1で狩野舞子選手にトスが上がりました。これが唯一の違いです。狩野舞子選手はスパイク効果率がマイナスの選手ですから、トスが上がれば失点するのです。しかし、レシーブは巧いしブロックも竹下佳江選手よりは格段に巧いです。つまり、狩野舞子選手は第二セットと第三セットではレシーバー兼ブロッカーという希なポジションで才能を発揮し、第四セットではスパイカーとして効果率マイナスぶりを発揮したわけです。