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JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

狩野舞子選手2枚替え分析 OQTタイ戦

2012-10-10 15:18:18 | メディア注目選手のその後
OQTタイ戦も全日本女子のストレート勝ちでした。

前記事と同じように、前衛2枚ローテと2枚替えローテの得点推移の比較をしましょう。

第一セット
前衛2枚ローテ 4得点6失点→-2点
2枚替えローテ 4得点3失点→+1点

第二セット
1回目の前衛2枚ローテ 7得点6失点→+1点
2回目の前衛2枚ローテ 3得点4失点→-1点
2枚替えローテ(0.5ローテで終了) 2得点0失点→+2点で、これが3ローテ続けば12点

第三セット
前衛2枚ローテ 5得点6失点→-1点
2枚替えローテ 4得点3失点→+1点

このように、タイ戦では2枚替えにより、第一セットは3点、第二セットは12点、第三セットは2点の効果がありました。特筆すべきはその得点の中身です。2枚替えで入った狩野舞子選手が、相手のレフト攻撃に対して多くの素晴らしいブロックを見せました。やや足踏み感があった第三セットの2枚替えローテですが、不用意な江畑幸子選手のサーブミスが無ければもう少し数字は上がっていたはずです。

これほどの効果があり、またその得点に狩野舞子選手がかなり絡んでいたので、この試合では2枚替えは非常に有効であったと言えます。4つの交替枠は無駄にはなりませんでした。

もちろん文句なしの結果ですが、実況には文句を言わせていただきます。この試合、第一セットの2枚替え時、つまりまだ2枚替えが成功するかどうか分からなかった時点で、実況は「ここまで2戦を見て、吉原さん、この2枚替えですね、効果というのは出てますよね。」と発言。解説の吉原さんは微妙に口ごもりつつ、中道瞳選手のサーブについてのみ誉めました。ここまで2戦の2枚替えについては、前記事と前々記事で分析したとおり、ほんの僅かな効果しかありませんでした。4つの交替枠を使ってでも2枚替えをした方が良いと断言できる効果ではありませんでした。実況アナウンサーの方には、私が前記事と前々記事で行ったような分析をしていただき、その上で責任を持って正しいと言えることのみを発言していただきたいと思います。

狩野舞子選手2枚替え分析 OQT台湾戦

2012-10-10 14:06:23 | メディア注目選手のその後
台湾戦も日本がストレート勝ちでした。

前記事と同じように、前衛2枚ローテと2枚替えローテの得点-失点数を計算しましょう。

第一セット
2枚替えなし

第二セット
前衛2枚ローテ 6得点4失点→+2点
2枚替えローテ(2.5ローテで終了) 9得点2失点→+7点で、これが3ローテ続けば+8.4点

第三セット
前衛2枚ローテ 5得点4失点→+1点
2枚替えローテ 9得点4失点→+5点

この試合では、第二セットは2枚替えにより6.4点、第三セットは4点を獲得したことになります。このくらいの効果があるなら、4つの交替枠を使ってでも2枚替えをする価値はあると言えます。

しかし、この2枚替えローテ中の得点-失点数は、本当に2枚替えによる効果なのでしょうか。それを確認するには、2枚替えをしなかった第一セットを分析すれば良いですね。

第一セット
1回目の前衛2枚ローテ 4得点5失点→-1点
2回目の前衛2枚ローテ 7得点3失点→+4点

なぜな、2回目の前衛2枚ローテでは1回目より5点も多く取れています。これは非常に不思議ですし、もしたまたまでなければ第二セットや第三セットでの2枚替えによる8.4点や4点という効果も色褪せて見える結果です。

ではこの謎の解明のために、実際に試合の中身を見てみましょう。

台湾は、毎セット新たなコンビを解禁し、セット序盤に相手が対応できない中得点を重ねます。しかし、セット後半からは集中力が切れて、サーブレシーブが全く返らなくなります。実際、第一セットの2回目の前衛2枚ローテでは江畑幸子選手のサーブに苦戦しましたし、第二セットの2枚替えローテでは荒木絵里香選手のサーブに苦戦しました。

つまり、台湾はセット前半に点を取り、セット後半にサーブレシーブミスから点を失うチームなのです。そのようなチームと対戦すれば、セット後半に行われる2枚替えが有効に見えてしまいますが、2枚替えせずともセット後半に連続得点できるのは第一セットが証明しています。

仮に第一セットを基準として考えると、第二セットの2枚替えによる効果は3.4点、第三セットは-1点です。この数字からは2枚替えに4つの交替枠を使うメリットがあるようには思えません。

狩野舞子選手2枚替え分析 OQTペルー戦

2012-10-08 00:07:21 | メディア注目選手のその後
OQTペルー戦は日本がストレート勝ちしました。全セットで狩野舞子選手による2枚替えがありました。

まずは得点-失点数を計算しましょう。

第一セット
前衛2枚ローテ 10得点3失点→+7点
2枚替えローテ(1.5ローテで終了) 5点1失点→+4点で、これが3ローテ続けば+8点

第二セット
前衛2枚ローテ 2得点5失点→-2点
2枚替えローテ 4得点4失点→±0点

第三セット
前衛2枚ローテ 3得点3失点→±0点
2枚替えローテ 6得点4失点→+2点

このように比較すると、狩野舞子選手2枚替えにより、第一セットは+1点、第二セットは+2点、第三セットも+2点の効果があったことが分かります。つまり、めでたく2枚替えの最低条件はクリアできています。

しかし、だからと言ってこれは良い数字ではありません。前衛2枚ローテと比較して絶大なメリットがあるはずの2枚替えをしても、その効果はセットあたり1点や2点です。この効果を出すのに、1セットの上限が6つのうち4つの交替枠を使っているわけです。最低条件はクリアでも、1点や2点の効果なら、2枚替えに4つの交替枠を使うだけの絶大なメリットがあったと主張できるほどの効果とは言い難いです。(もちろん、交替枠の消費というデメリットさえなければ、僅かな効果とは言え積極的に使うべきですが。)

次回もこのような形で狩野舞子選手2枚替えを分析します。

狩野舞子選手2枚替え分析 最低条件は厳しくない

2012-10-07 23:23:36 | メディア注目選手のその後
一つ前の記事で、2枚替えの最低条件を書きました。これは、厳しい条件ではありません。

2枚替えすると、

・前衛の竹下佳江選手の159cmの大穴が無くなります。
・前衛に長身アタッカーが加わります。
・必ずAパスで返される山口舞選手のサーブが無くなります。
・サーブの良い中道瞳選手が入ります。
・ライトは攻撃力と高さのある表レフトと表センターに囲まれます。
・中道瞳選手は竹下佳江選手ほどのセッターではありませんが、大差はなく、前衛に上がる木村沙織選手と荒木絵里香選手とは東レで普段から合わせています。
・サーブレシーブで崩されやすい山口舞選手がいなくなります。

これだけの利点がある交替で、狩野舞子選手は使われるわけです。そのため、前記事で書いた最低条件は、何も厳しい条件ではありません。この最低条件をクリアできないなら、それは狩野舞子選手の2枚替えライト起用が相当のマイナスに働くということを意味します。

狩野舞子選手2枚替え分析 2枚替えの最低条件

2012-10-07 23:07:16 | メディア注目選手のその後
2枚替えとは、セッターが前衛の3ローテで、セッターをライトに、ライトをセッターに交替することです。こうすることによりセッターが前衛に来なくなるため、セッターが前衛の3ローテで失点が多い場合、その対策には持って来いの戦略です。

全日本女子では、セッターはブロックが低すぎる竹下佳江選手で、彼女が前衛に上がるのとレフトオープンで楽々決められてしまいます。また、ライトの山口舞選手と新鍋理沙選手はバックライトを打てないため、後衛にいても攻撃参加できません。山口舞選手に至っては、サーブが笑っちゃうくらい下手でサーブレシーブも崩されることが多いため、後衛にいる存在意義が少ない選手です。そのため、2枚替えは全日本女子には有効な戦略と言えます。

では、2枚替えの最低条件とは何でしょうか。それは、セッター前衛の3ローテでの得点-失点数より、2枚替えの3ローテの得点-失点数を増やすことです。これが出来ていれば、どれだけ下手なセッターやライトが2枚替えをやろうと、最低条件はクリアと言えます。

全日本女子の場合は、竹下佳江選手にワンブロを入れたり、センターにピンサを入れて山口舞選手を後衛でリベロと交替したり、単純にセット途中で山口舞選手と新鍋理沙選手を交替するオプションもあります。このように他の交替オプションもありますので、それを捨ててまで2枚替えをするなら、上記の最低条件+αを満たして欲しいところです。

では、狩野舞子選手を起用する2枚替えは、この最低条件を満たしているでしょうか。OQT初戦から分析します。