JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

木村沙織選手

2012-09-12 18:52:57 | 選手紹介
・基本情報
背番号18番、185cmのレフト

・スパイク
木村選手はWC2007からロンドンにかけてスパイクが年々変化してきました。WC2007のころは、決まるのが不思議で仕方ないような軟攻で嫌な所に嫌なタイミングで落としていました。当時は高速ブロックアウトの高橋みゆき選手や強打の栗原恵選手がいたので、木村選手は打ち屋ではありませんでした。北京では、バックセンターの攻撃が速くなり、強打も見られるようになりましたが、前衛では基本的にライトからややブロードしながら両足ジャンプでクロスを中心に嫌な所に落とす感じでした。2009年からはレフトエースとして、前に大きくジャンプして体重を乗せた攻撃を見せ始め、また手首の柔らかを活かしたレフトからの超クロスも次第に強打できるようになりました。WC2011のころからはパワーもつけています。ロンドンでは圧倒的な攻撃力を活かして、前衛では主にレフトから打ち、S1時のみライトから打ちます。バックからは、ほとんど全てをセンターから高速で打っていました。ただ、バックセンターはトスが合わず、軟攻になっていました。

・レシーブ
表レフトなので、サーブでかなり狙われ、乱される場面が多いですが、あそこまで狙われたら仕方ないでしょう。自分のサーブレシーブが乱されても、自分で2段を打ち失敗を帳消しにしていました。ただ、本当に狙われ続けるとどうにもならないことになってしまいます。スパイクレシーブは、読みも上げる確率も上がったレシーブの球質も最高峰と言えます。強打に対する守備範囲はやや狭いですが、軟打に対してはどこまででも食らいつきます。

・トス
球質も良いしクイックやブロードにも上げられます。しかし、2段を上げるより2段を打つ役割が大きいので、最近ではあまりトスを上げません。

・ブロック
なぜか昔から苦手のようです。最近ではブロードに対する待ちかまえるブロックは上達しました。その他についても上達に期待です。

・サーブ
コートの左側から、ブロードジャンプフローターを打ちます。以前のネットに平行に走ってふんわり揺らすサーブのイメージがありますが、最近はネットに垂直に近い斜め方向に走り、球速がフローターとは思えないくらい速いです。狙いも抜群です。

・JMが選ぶ思い出のシーン
ロンドンの中国戦、相手レフトのクロスをレシーブしてからレフトからクロスに打ち込んだりと、本当に覚醒している感じでした。

江畑幸子選手

2012-09-09 22:31:23 | 選手紹介
・基本情報
背番号16番、176cmのレフト

・スパイク
江畑選手は176cmと小柄ですが、ジャンプ力とスパイクフォームのおかげでそれを感じさせません。最後の2歩で前に突っ込み、体勢そのままで高く空中にジャンプし、右手を真っ直ぐのばした状態でボールにミートし、手首で重く打ち込みます。レフトからは強烈なストレート打ちかストレート側のブロッカーの右手に当ててコート外に真下に落とします。指先狙いは有効ワンタッチを取られがちです。バックセンターからの決定力もあり、セッターの竹下佳江選手のトスが低くなってもその分前でボールを捉えて打ち込みます。ライトからは2枚替え時のS1でのみ打ちますが、ライトからも同じような助走とスパイクフォームで、ストレートとクロスの間くらいに打つようです。またローテによってはバックライトとバックレフトからも打ちます。S1でライトの山口舞選手がBクイックやAセミ、江畑選手がバックレフトに入るコンビを頻繁に見せていました。

・レシーブ
裏レフトなのでサーブレシーブには参加しません。スパイクレシーブは、綺麗に上げることは少ないですが、守備範囲はかなり広いです。手が届かないように見える強打に対しても、ワンハンドで弾かれずに上げてくれます。そのため、後衛のバックセンターを守っているときには、守備範囲が広い選手がコート中央にいることになり、とても安心感があります。

・トス
あまり積極的に上げに行くことはありません。なぜなら江畑選手は2段を打つのが役割なので、セカンドタッチを回避しているからです。

・ブロック
スパイクジャンプは高いのに、なぜかブロックでは高さが活かされていません。また、横移動すると指先まで横に傾くため、ブロードに対するブロックは良くありません。しかし、通過点が低いスパイクに対するブロックは良いです。ロンドンの中国戦でも、レフトのオウイメイ選手のスロットがずれた安易な低いバックライトを1枚で真下に落としていました。

・サーブ
コート後方の中央~左からジャンプフローターを打ちます。ネットすれすれを通過して胸元をえぐるサーブとネットを越えてからストンと落ちるサーブの両方を使い分け、よく崩しています。

・JMが選ぶ思い出のシーン
WC2011のアメリカ戦の江畑選手は本当に凄かったです。持ち味をしっかりと活かしていただけではなく、前衛レフトからのクロス打ちなどでもしっかりと得点していました。

迫田さおり選手

2012-09-09 22:15:15 | 選手紹介
・基本情報
背番号14番、175cmのレフト

・スパイク
迫田選手はキレのあるバックアタックが持ち味です。素早くコートの最後方の助走開始地点に入り、スプリンターのスタートのような低い姿勢で滑らかな助走に入り、バネを使った前飛びで空中に上がり、空中移動してネットにかなり近い所から打点を活かして打ちつけます。この教科書的バックアタックを、ファーストテンポで打てます。バックセンターとバックライトがメインですが、セッターに技量があればそれ以外の場所からも打てます。前衛でも、空中移動をして打つ方が打ちやすそうです。そのため、レフトからはロングBセミに切り込んで、切り込んで斜めに飛ぶ分空中移動を長くしていることが多いです。ただ、前衛レフトからは普通のレフトセミやレフトオープンとロングBセミしかないため、下に打ちつける分だけブロックの危険性もあります。ライトからは、助走を長くしてバックライトのような攻撃をすることもあれば、逆に短い助走から真上にジャンプしてブロックの間や上から真下に強打することもあります。ただ、どこから打っても、レシーバーにまっすぐ行くと上げられやすい球質と言えます。

・レシーブ
裏レフトなので全日本ではサーブレシーブをしません。スパイクレシーブは、技術はあまりありませんが、身体能力の高さと気合いで食らいついています。ただ、後衛のラリー中でもバックアタックを打ちたがるので、バックアタックの助走開始地点から遠いところに落ちるボールに対してはあまりレシーブが上手くありません。

・トス
全日本では2段トスを上げません。

・ブロック
ジャンプ力があるので、175cmという身長を感じさせません。ただ、腕が細いため、止められるコースの範囲は狭いです。そのため、迫田選手の場合は、最低限のコースは必ず塞ぎ、後はワンタッチを狙いに行っているようです。空中での体のこなしが上手いため、ブロードに対するブロックは全日本のレフトの中では最も上手いように思います。

・サーブ
コートの後方から狙ったところに斜めに落とします。そのため、崩せるかどうかは狙った場所の的確さによります。2012年からは、延ばして揺らしたり、揺らして前に落とすようなサーブも打てるようになりました。

・JMが選ぶ思い出のシーン
ロンドンの韓国戦の第2セットの6-1の場面、全日本では久しぶりとなるライトからの高い強打で流れを変えてくれました。

石田瑞穂選手

2012-09-06 19:09:11 | 選手紹介
・基本情報
背番号13番、174cmのレフトのリザーブ

・スパイク
小柄ながら、ダイナミックな助走から打点を活かしたスパイクが持ち味です。レフト、ライト、バックレフト、バックセンター、バックライトの全ての場所から速い攻撃ができます。セッターの竹下佳江選手のバックアタックのトスは最高点が低くなりがちですが、石田選手はそういったトスも打てます。体制が崩れたりスロットがずれても必ず早いタイミングで全力の助走をするため、囮の役割を果たすこともあります。また、バックセンターからバックライトにかけては、どこからでも打てます。ライト側のサイドラインから1.5mほど内側など、他のチームが使わない場所から早いバックアタックを強打してくるので、流れを変える力を持っています。ただ、試合後半やレシーブが乱れたときなど、集中力がなくなると、レフトオープンが連続してブロックされることもあります。

・レシーブ
サーブレシーブは、チーム事情でやむなく参加することがありますが、かなり崩されることが多いです。もしサーブレシーブが完璧なら、全日本では裏レフトではなくライトに入るのではないでしょうか。スパイクレシーブは、守備範囲の前半分に来るボールの処理は良いですが、その他の地点に来るボールに対する反応や処理は悪いです。

・トス
全日本では2段トスを上げません。

・ブロック
相手のスパイクコースやタイミングを読めていれば、そのコースやタイミングを塞ぐブロックができます。ただ、読みが外れたときのブロックは悪いため、ブロードに対するブロックなどは良くありません。ライトに左利きの大砲を擁するチームに対しては有効なブロックをできるタイプです。

・サーブ
エンドライン後方から飛距離の長いサーブを打ちます。飛距離が長い分、変化も大きいですが、そのためサーブミスになることもあります。以前は、ネットを越えるまでに変化をし、越えてからは素直なコースで落ちるサーブでした。最近、ネットを越えてからも変化するようなサーブに改良したようで、それに伴って一時的にサーブミスが増えたようです。

・JMが選ぶ思い出のシーン
ロンドンの決勝トーナメントで、同じ裏レフトの迫田さおり選手が石田選手のユニフォームを重ね着していたそうです。それもそのはず、WGP2011のロシア戦でのリリーフ出場などを見ていると、石田選手がロンドンでメンバーに入らなかったのが不思議なくらいです。

新鍋理沙選手

2012-09-06 15:27:26 | 選手紹介
・基本情報
背番号12番、173cmのライトアタッカー

・スパイク
ライトからもレフトからも、セミを中心としたテンポで攻撃に参加します。大袈裟ではない助走から左肩をネットに差し込むようなスパイクフォームで、やや被り気味に見えるのに被った分の右腕の移動距離が全てスパイクの威力に変換されます。このスパイクフォームさえ保持できれば、ライト・レフト問わず攻撃できます。ただ、このフォームですので、レフトからの超クロスは無く、ライトからはクロス打ちがメインとなります。ライトからCセミやDセミへの切り込みも強打で決められます。またロンドンではDクイック並のライト平行や、高橋みゆき選手を彷彿とさせるBクイック並のレフト平行も強打で決めていました。セッターの竹下佳江選手の低く速いぶん投げる平行トスが合うようです。バックアタックは国内の試合では打っていますが、代表では少なく、2012年はロンドンOQTで高いバックライトを1本、WGPでバックセンターから1本を打っただけです。新鍋理沙選手の身長では、竹下佳江選手の戻り気味のバックライトのトスは打てないでしょう。また、新鍋選手は、同じスパイクの失点を2連続ですることがほとんどありません。1本止められても、同じスパイクを次は決めてくれる感じです。さらに、2枚ブロックにつかれても、タイミングか場所に狂いがあれば決められます。

・レシーブ
サーブレシーブは非常に良いです。守備範囲が広いため、木村沙織選手の負担をかなり軽減しています。また、スパイクの助走が大袈裟でないので、サーブレシーブしたらすぐに助走に入り簡単にスパイクを打ちます。スパイクレシーブは、コースに来たボールの扱いは上手いですが、強打軟打問わず、コースに入るのは苦手のようです。

・トス
レフトオープンにしか上げませんが、レフトの選手の体勢を見てトスの位置や高さを調整しているようです。

・ブロック
低いですが、形とタイミングは抜群です。そのため、相手レフトが不用意に叩きつけてくれれば綺麗にブロックできます。

・サーブ
ロンドンメンバーでは唯一のジャンプサーバーで、サーブミスもジャンプサーブにしては少ないです。ただ、レシーバーにとっては程よいドライブ回転なので、正面に来たらAパスを返されることもあります。

・JMが選ぶ思い出のシーン
ロンドンの韓国戦、第2セット6-1の場面、Bパスからの長い速いレフト平行が凄いの一言でした。